タイトルは、「鈴木政吉と鈴木鎮一〜親子の絆」
2月1日(土)、愛知県大府市のおおぶ文化交流の杜こもれびホールで、大府市が主催するレクチャーコンサートが開催されました。開演に先立ち、鈴木政吉の銅像があるロビーで、スズキ・メソードの東海地区ヴァイオリン科・チェロ科の子どもたちによるロビーコンサートがあり、たくさんのお客様が、駆けつけてくださいました。子どもたちの生演奏を熱心に見守る方々が多く、関心の高さが窺えました。
演奏曲は、以下の通りです。
・ゴセックのガヴォット
・習作
・楽しい朝
・無窮動
・アレグロ
(ここで、観客の皆様にもっと近づいていただきました)
・こぎつね
・ちょうちょう
・キラキラ星変奏曲
さて、第1部。ホールのステージでレクチャーしてくださったのは、昨年に続く出演となる愛知県立芸術大学の井上さつき教授。
『日本のヴァイオリン王〜鈴木政吉の生涯と幻の名器』の著者として、よく知られています。そして第2部のコンサートには、大府市生まれでスズキ・メソード出身の若手ヴァイオリニスト、水野紗希さんと、ピアニストの鈴木孝彦さんが、スズキ・メソードに深く関係する作品を演奏されました。
開催にあたり、大府市の岡村秀人市長から「幼児の音楽教育として知られるスズキ・メソードを創設されたのが鈴木鎮一さん、そしてその鎮一さんのお父様が政吉さんで、現在、至学館大学のあるところに戦前にヴァイオリン工場を建てられ、日本のヴァイオリン王と言われていた方でした。大府とは大変深い縁があります。政吉さんのことを大府の皆さんに知っていただこうと、広報活動に力を入れています。昨年は、銅像を制作、小中学校での道徳教育の副教材でも郷土の偉人として、政吉さんの生き方を紹介しています。こうした広報活動のきっかけとなったのが、今日レクチャーしてくださる井上先生の『日本のヴァイオリン王』でした。また、第2部のコンサートに出演される水野紗希さんも先輩の竹澤恭子さん同様、スズキ出身で、大府市広報大使を務めてくださっています。ロビーコンサートで演奏した子どもたち同様、鎮一さんとも深い関係があります」と、ご挨拶をいただきました。
第1部の「レクチャー」では、ドイツのヴァイオリンの町、マルクノイキルヘンにならい、1935年に政吉が大府に分工場を建てたこと。その敷地の隣に研究所を作り、大量生産のスタイルから、高級手工ヴァイオリンの製造に手を広げることになったのが、実は鎮一のヴァイオリニストとしての活動であったことが、冒頭に紹介されました。
講演の中で、政吉の人生が語られ、鎮一の人生が綴られる中で、井上先生は鎮一がベルリン留学時代に偶然入手した名器グァルネリを日本にいる政吉のもとに持ち帰ったことで、政吉のものづくりへの興味の眼差しが、本格化していったと強調。その時の政吉の表情は、まさに三味線製造をしていた時に出会った、一丁の西洋楽器、すなわちヴァイオリンとの出会いと似ていたかもしれないことを、私たち聴衆に想起させました。どちらの場面でも政吉の脳内に、スイッチが点灯したのかもしれないわけです。そのきっかけを鎮一が提供したというのですから、面白い視点です。
開催にあたり、大府市の岡村秀人市長から「幼児の音楽教育として知られるスズキ・メソードを創設されたのが鈴木鎮一さん、そしてその鎮一さんのお父様が政吉さんで、現在、至学館大学のあるところに戦前にヴァイオリン工場を建てられ、日本のヴァイオリン王と言われていた方でした。大府とは大変深い縁があります。政吉さんのことを大府の皆さんに知っていただこうと、広報活動に力を入れています。昨年は、銅像を制作、小中学校での道徳教育の副教材でも郷土の偉人として、政吉さんの生き方を紹介しています。こうした広報活動のきっかけとなったのが、今日レクチャーしてくださる井上先生の『日本のヴァイオリン王』でした。また、第2部のコンサートに出演される水野紗希さんも先輩の竹澤恭子さん同様、スズキ出身で、大府市広報大使を務めてくださっています。ロビーコンサートで演奏した子どもたち同様、鎮一さんとも深い関係があります」と、ご挨拶をいただきました。
第1部の「レクチャー」では、ドイツのヴァイオリンの町、マルクノイキルヘンにならい、1935年に政吉が大府に分工場を建てたこと。その敷地の隣に研究所を作り、大量生産のスタイルから、高級手工ヴァイオリンの製造に手を広げることになったのが、実は鎮一のヴァイオリニストとしての活動であったことが、冒頭に紹介されました。
講演の中で、政吉の人生が語られ、鎮一の人生が綴られる中で、井上先生は鎮一がベルリン留学時代に偶然入手した名器グァルネリを日本にいる政吉のもとに持ち帰ったことで、政吉のものづくりへの興味の眼差しが、本格化していったと強調。その時の政吉の表情は、まさに三味線製造をしていた時に出会った、一丁の西洋楽器、すなわちヴァイオリンとの出会いと似ていたかもしれないことを、私たち聴衆に想起させました。どちらの場面でも政吉の脳内に、スイッチが点灯したのかもしれないわけです。そのきっかけを鎮一が提供したというのですから、面白い視点です。
井上先生のレクチャーは、毎回、とてもユニークで、貴重な写真資料などが見られるため、目が離せませんが、同時に、資料収集中に得られたご自身の疑問点を正直に公開されるところも親しみがわくところです。例えば、「三味線を作る工具で、いったいどのようにして、まったく異なる構造のヴァイオリンを政吉が制作することができたのか」とか、鎮一がベルリン時代に「誰からのオファーでフランクのヴァイオリン・ソナタをドイツで録音し、ドイツで世に出すことができたのか、実はまったくわかっていないのです」などなど。そのために、世界各地の図書館や関係する芸術大学が所蔵する資料を求めて、足を運ばれておられるそうです。将来、何かのきっかけでこうした疑問の部分が明らかになっていくかもしれないと思いを馳せることも、こうしたレクチャーコンサートでの楽しみです。
第2部のコンサートでは、第1部のレクチャーに関係する重要なヴァイオリンの作品が、水野紗希さんのヴァイオリンと鈴木孝彦さんのピアノで演奏されました。
曲目は、以下の通りでした。
・シューベルト:アヴェ・マリア
・ゴセック:ガヴォット
・ドヴォルザーク:ユーモレスク
・エクレス:ヴァイオリンソナタ ト短調 全楽章
・フランク:ヴァイオリンソナタ イ長調から第1、4楽章
・コレルリ:ラ・フォリア
・鈴木鎮一:前奏と名古屋の子守唄
アンコールは、大府市公式ソングとして水野紗希さんご自身が作曲された『HABATAKI』。さらに、聴衆の拍手と一体となった 『FUN!OBU』が披露されました。この日、演奏されたすべての曲が心地よく流れましたが、さらにアンコール曲で、大府市の明るい未来や健康都市おおぶをイメージする音感とノリの良さが印象的でした。お客様の表情からも、スズキ・メソードの子どもたちのロビーコンサートに始まり、井上先生のレクチャーで、政吉と鎮一の絆を学び、さらには、スズキ出身のヴァイオリニストの演奏で2時間余りを満喫された様子でした。このアンコール曲は、大府市のサイトから音源と楽譜を入手することができますので、ぜひお試しあれ! 素敵な曲です。
曲目は、以下の通りでした。
・シューベルト:アヴェ・マリア
・ゴセック:ガヴォット
・ドヴォルザーク:ユーモレスク
・エクレス:ヴァイオリンソナタ ト短調 全楽章
・フランク:ヴァイオリンソナタ イ長調から第1、4楽章
・コレルリ:ラ・フォリア
・鈴木鎮一:前奏と名古屋の子守唄
アンコールは、大府市公式ソングとして水野紗希さんご自身が作曲された『HABATAKI』。さらに、聴衆の拍手と一体となった 『FUN!OBU』が披露されました。この日、演奏されたすべての曲が心地よく流れましたが、さらにアンコール曲で、大府市の明るい未来や健康都市おおぶをイメージする音感とノリの良さが印象的でした。お客様の表情からも、スズキ・メソードの子どもたちのロビーコンサートに始まり、井上先生のレクチャーで、政吉と鎮一の絆を学び、さらには、スズキ出身のヴァイオリニストの演奏で2時間余りを満喫された様子でした。このアンコール曲は、大府市のサイトから音源と楽譜を入手することができますので、ぜひお試しあれ! 素敵な曲です。
なお、井上さつき先生の興味深いレクチャーコンサートは、2月11日(火・祝)にも安城市で開催されます。こちらのコンサートでは、新美南吉のピアノと鈴木政吉のヴァイオリンの共演という、井上先生ならではのコラボが実現します。
また、井上先生の執筆活動はとても旺盛です。最近の著作を二つ紹介しましょう。
一つ目は、作曲家ラヴェルに関する書籍が話題です。生涯篇、作品篇、資料篇の3部構成で簡便にまとめた大作曲家の定番伝記シリーズのラインナップに入りました。
二つ目は、ヤマハやカワイなどの日本の楽器メーカーが世界を席巻するまでに独自の発展を成し遂げた経緯を描いた「ピアノの近代史」。副題に「技術革新、世界市場、日本の発展」とあり、井上先生の視点が楽しみです。2月7日に中央公論新社より刊行されます。