質の高い幼児教育とは
会長 早野龍五
みなさま新年明けましておめでとうございます。
鈴木鎮一先生が幼児教育の重要性を訴えて才能教育運動を始められてから、73年目の春を迎えました。今年一年が、みなさまにとっても、スズキ・メソードの発展にとっても、良い年になることを祈念したいと思います。
さて、みなさますでにご存知かと思いますが、今年の秋から幼児教育・保育が無償化されることが決まりました。この事は、政府がようやく幼児教育の重要性を認識したという点で画期的ですが、なぜ幼児教育が大事なのか、どうすれば子どもがより良く育つのか、という本質的な議論が、あまり深まっていないことが残念です。
以下、新春の話題としては少し硬くなりますが、大事なことですので、お付き合いください。
幼児教育無償化の議論の元になったのは、米国の有名な研究です。「人生のどの段階での教育投資が最も費用対効果が高いかを調べたところ、幼児教育であった」という研究成果が、世界的に注目され、我が国にも輸入されたのです。
注意すべきは、その研究では「質の高い幼児教育」が重要だと強調されていることです。
ここで言う「質の高い幼児教育」とは、決して、学校で学ぶことを先取りして教えることではありません。子どものやる気、忍耐力、協調性、など、学校のテストでは測定しない基礎的な能力を幼児期に伸ばすことが大事だというのです。これらの能力は「非認知能力」と呼ばれ、学校の試験などで測られる「認知能力」と区別されます。
非認知能力とは、ずいぶん耳慣れない言葉ですが、その意味するところは、鈴木鎮一先生が仰っていた、「子どもたちが誕生の日から良い音楽を聴き、そして演奏することを学べば、子どもたちは感受性、規律、忍耐力などを発展させることができます」と、全く同じではありませんか。鈴木鎮一先生の先進性に、改めて驚かされます。
スズキ・メソードで育ったお子さんが、音楽はもちろん、それ以外の様々な分野で活躍できる秘密が、幼児期に音楽を通じて楽しく身につけた、非認知能力の高さにあるのです。
幼児教育が大事であること。そして、その「質」がもっと大事であること。スズキ・メソードで音楽を学べば、やる気、忍耐力、感受性、規律、強調性などの非認知能力が楽しく身に付き、子どもの生涯の宝となるのだということを、私も、先生方も、保護者の方々も、自信を持って世の中に発信し続ける一年にいたしましょう。