8月7日(土)に開催されたスズキ・メソード幼児教育研究会の夏期研修会。
今年はオンラインで「一茶の俳句指導への取り組み事例」を中心に展開!

 
 スズキ・メソードの理念に共鳴する幼稚園・保育園で組織される「スズキ・メソード幼児教育研究会」の第7回夏期研修会が、8月7日(土)、Zoomを使って開催されました。これまでのような松本の白百合幼稚園の会場などを使っての、各園から集合してのリアルな研修会はできませんでしたが、
・各園があらかじめ用意した動画で発表できる
・遠路の移動を伴わないため、より多くの講師に依頼できる
・これまでの限られたメンバーの参加から、より多くのスタッフの参加が可能
といった、オンラインならではの利点がありました。
 
 当日は、朝から夕方までという長丁場でしたが、この写真は最後のクロージングでのショットです。来年夏の再開を期して、お別れする場面。総勢80名ほどの皆さんの参加になりました。通常の30名程度の参加を考えますと、やはりオンライン開催による効果があったことがわかります。
 
 

一茶の俳句の世界を作品展につなげる試み
(双葉ヶ丘幼稚園)

 今回の夏期研修会のテーマは、0〜3歳児コースとのコラボレーションでも話題になった「一茶の俳句の取り組み事例」でした。各園それぞれのやり方でまとめてみようという幼児教育研究会の手法は、各園の独自性を尊重した内容となり、様々な工夫が凝らされていることがわかりました。

 
 さらに、昨年の0〜3歳児コースとのコラボレーションで素晴らしい発表をされたスズキ・メソードの関西地区ピアノ科指導者で0〜3歳児コース認定指導者の大路雅子先生による発表「スズキの独自性を活かした乳幼児期の俳句指導」を組み合わせたことで、前回の復習とともに、大路先生のアプローチを各園のスタッフの皆様が画面を通して、直接学ぶことができたことは、大きな収穫です。俳句も楽器と同じで、楽しさと繰り返しの実践を大切にし、幼児期の言葉の能力発達など俳句指導を幼児教育に導入することへの理解が進みました。大路先生の最後の言葉「できないとなげくのではなく、どうやったらそのお子さんにいいか、できることを考えること」は、とても印象的でした。
 
 そして、基調講演には、スズキ・メソードの早野龍五会長が登場。今や、早野会長といえば、十八番の和装姿がとにかく涼しげで、目をひきました。ご自身の歩みを縦軸に、幼児教育の世界の動きなど、今起きつつある様々なトレンドや最先端の情報を横軸に紹介していただきました。

 
 また、コミュニケーション講座として、「子どもも、園のスタッフも笑顔になる『ほめ達!』の極意!」のタイトルで、大分市出身で、ほめる教育研究所代表の竹下幸喜様によるお話もありました。まるで鈴木先生のような、ほめることの素晴らしさを想起させるような内容でした。自分の周りの人やモノ、起こる出来事の価値発見の達人となることで、素晴らしい人生を歩むヒントをお話しいただきました。「笑顔が笑顔が連れてくる」など、素敵な言葉が続きました。

 
  全体プログラムの流れは、以下のようでした。内容も盛りだくさんでした。
 

2021年度 スズキ・メソード幼児教育研究会 夏期研修大会

総合司会:下苙敏大(光が丘幼稚園園長)

8月7日(土) 
 9:15~    開校式 土居孝信幼児教育研究会会長
            オリエンテーション
 9:30-11:00  早野龍五 才能教育研究会会長 
         基調講演「スズキ・メソードと幼児教育」
              〜新しい世界をつくる0歳児からの育児国策~鈴木鎮一先生の今昔~
 11:10-12:10   大路雅子先生(スズキ・メソード0〜3歳児コース認定指導者)
         ご講話「スズキの独自性を活かした乳幼児期の俳句指導」
 12:10-13:00   お昼休憩(スズキ・メソード関連映像)
         ・未来を奏でるスズキ・メソード〜本会創立70周年記念動画
         ・第70回夏期学校記念「思い出の霧ヶ峰夏期学校」
 13:00-14:40   各園の俳句への個性ある取り組み事例の紹介
         ➀ももぞのこども園(大分)    
         ②双葉中央保育園(中津)
         ➂双葉ケ丘幼稚園(中津)  
         ➃白百合幼稚園(福島)
         ➄白百合幼稚園(松本) 
         ➅認定こども園五風会(岸和田)
         ➆光が丘幼稚園(宮崎)    
                              補足説明、質問、各園による感想
 14:40-15:00   休憩 
 15:00-16:30   コミュニケーション講座
                             講師 ほめる教育研究所代表 竹下幸喜氏 
        「子どもも、園のスタッフも笑顔になる『ほめ達!』の極意!」
 16:30〜     閉校式 土居会長ご挨拶


 
 実際に参加した園の先生方の感想をいただきました。
 まずは、宮崎の光が丘幼稚園の先生たちのご感想です。他の園も、届き次第、こちらで紹介させていただきます。

 たくさんの幼稚園、保育園の俳句の取り組みをお聞きすることができ、とても勉強になりました。特に、子どもたちが楽しんで参加し、積極的に発言することができていたので、参考にさせていただきながら保育に取り入れていきます。
 「叱る」から「ほめる」に変えたことで、生徒のモチベーションが上がり、優勝を取ることができたという話がとても印象に残りました。その話を聞き、子どもたちのできないことを見つけるのではなく、積極的にいいところを見つけ、褒めていきます。「悪いところは誰でも見つけられるけど、良いところはそのための目を磨いておかなければならない」とおっしゃっていたので、普段から一人ひとりの様子を見ておき、成長が見られたら子どもたちに伝えていきたいです。
 また、「ほめずにほめる」8つのポイントがあることを知り、様々な方法があることに驚きました。同じ方法で褒めてしまうと、子どもたちもモチベーションが上がらないかもしれないので、様々な方法を用いて、子どもたちがやる気を持って行動できるようにしたいです。

 

 子どもたちの非認知能力について、幼児期から大切にすることを改めて学ぶことができました。現時点では大きな成長の差は視覚的に見ることはできませんが、子どもたちの将来のために、今、育まなければならないことを大切にし、これからみんなの先生方と一緒にどのように意欲や忍耐力、協調性を育むことができるか考えていきたいです。
 俳句では、いかに子どもたちが楽しく積極的に楽しむことができるか、俳句によってどのようなことを身につけることができるかを学びました。子どもにとって必要不可欠な物をどう生かすか、遊びの中で知らず知らずのうちに学ぶことができるよう、どんな工夫を行なうかなど考えて実践していきます。幼児期という大切な時期の子どもたちにたくさんの可能性へと導くことができるよう、妥協せず、全力で関わって行きます。

 

 たくさんの園の先生方の工夫、子どもの姿を見ることができ、今までとまた違った視点から俳句や保育について考えることができました。俳句だけでなく、毎日読み聞かせをしている絵本からもたくさんのことを引き出すことができる素晴らしさや、俳句を子どもたちが主体的に楽しむためにゲームを取り入れたり、製作、俳句を作ったりすることなど参考にしていきたいと感じました。
 ほめ達!の竹下先生のご講演で、自分を振り返った際には、職員間同士では“褒めることができている!”と自信持って言えないなと改めて感じました。子どもたちのがんばりや成長を見つけて褒めていることは自信持って言うことができます。しかしその中で、私自身がその子のためにと思いながら話をすると、その子からは「先生から怒られた」という気持ちにさせてしまうことがありました。ほめる3つの極意を大切にし、その子の成長を信じて前向きな言葉をかけて認めることを改めて大切にしていきたいです。

 

 五感を刺激することで、子どもたちがより理解を深めることができることが分かりました。特に、視覚から得る情報が8割もあるので、積極的に視覚を使った取り組みを取り入れることの大切さを学びました。そして、カルタを用いながら俳句の指導の大切さを知りました。また、聴覚は最も早い時期から発達しているため、俳句を身近に聞ける環境づくりが大切であることも分かりました。