新たなスタートとなった鈴木バイオリンの新本社オープンセレモニー
1887年(明治20年)に名古屋に生まれた鈴木バイオリン。ご存知の通り、鈴木鎮一先生の父、鈴木政吉翁が創業した弦楽器製造のパイオニアとして、一時は世界最大のヴァイオリン工場として、国の内外に知られる存在でした。幼少時に鈴木製のヴァイオリンで練習をした方も多いでしょう。
その鈴木バイオリンが、名古屋にあった本社を大府に移転したのは、2021年1月。
少子化による楽器需要の低下、海外製の安価なヴァイオリンの台頭に加え、新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受け、厳しい経営状況に陥りました。しかし、2020年12月から2021年2月の期間、130年にわたって培われた会社の再建をかけて行なわれたクラウドファンディングにより、当初の目標金額を大きく上回る金額が集まったことは、大きな話題になりました。その結果、再スタートを切るためのスタートラインに立つことができたのです。
→クラウドファンディング
4月24日(土)14時、コロナの感染対策が十分に施される中、大府市桃山で再稼働した同社の新本社オープンセレモニーが、本社前のスペースで開催されました。以前はレストランとして使われていた建物外観は、とても印象的なスタイルです。マンスリースズキでは、Zoom画面を通しての取材となりました。
同社の鈴木隆社長は、「このたび、初心に帰るつもりで大府に移転しました。新参者の意識で、少しでも早く大府の皆様に認知され、貢献できるような会社にします」と挨拶。
続いて、来賓の岡村秀人大府市長からは、「待望の、念願の鈴木バイオリンの本社が大府に85年ぶりに戻ってまいりました。歴史を紐解けば、1935年に大府に分工場が生まれ、音の研究をする
済韻研究所が併設されました。戦争がなければ、大府一帯は”ヴァイオリンの里”、ちょうどドイツの楽器生産の村、マルクノイキルヘンのようなヴァイオリンの里になっていたはずでした。今回、縁あって、この大府に本社が移転してきましたことは、大変嬉しいことです。名古屋工場の本社入口にありました鈴木政吉さんの銅像については、現在修復中で、近いうちに皆様にお披露目することになります。また、大府に生まれ、スズキ・メソードで育ったヴァイオリニストの竹澤恭子さん、そして水野紗希さんにもご協力をいただき、今回の本社移転に伴い、大府をヴァイオリンの里として打ち出そうと、広報活動のメニューをいろいろと考えているところです。大府といえばヴァイオリン、と皆様に思っていただけることは、大変喜ばしいことです。”スズキ”が皆様に愛されることを願っています」とご祝辞をいただきました。
セレモニーの締め括りとなる祝賀演奏では、スズキ・メソードで育った同社の小野田祐真取締役らによるモーツァルトのディヴェルティメントK.138の第1楽章が軽やかに披露されました。