早野会長が、ラジオ版学問ノススメに出演!
スズキ・メソードの早野龍五会長がインタビューを受けるFMラジオ番組「ラジオ版学問ノススメ」の放送が明日、5月7日(金)の早朝にオンエアされました。その内容は、以下の通りです。新潮社から出版された「科学的は武器になるー世界を生き抜くための思考法ー」をもとにインタビューが進みました。
ラジオ版学問ノススメ 2021年5月7日(金)5:30~6:00
インタビューアー 蒲田健
エキスパート 早野龍五
僕がこの本で言いたかったことは、科学は人間の外側にあって正解があるわけではなく、科学は人間の営みである。私たちと切り離されて存在するものではありません。ですので、この本は科学的なお作法を箇条書きに書いたハウツー本ではない。どうやって科学者として育ったか。先人、先輩から何を得たか。後の人に何を受け渡そうとしているか。
僕がこの本で言いたかったことは、科学は人間の外側にあって正解があるわけではなく、科学は人間の営みである。私たちと切り離されて存在するものではありません。ですので、この本は科学的なお作法を箇条書きに書いたハウツー本ではない。どうやって科学者として育ったか。先人、先輩から何を得たか。後の人に何を受け渡そうとしているか。
諸説ありますが、ニュートンの言葉と言われる「私が遠くを見ることができたとすれば、それは巨人の肩の上に立ったからである」という言葉。私たちは一人だけで科学をやっているわけではなく、世界の人とのコラボでやる。それだけでなく、昔の人から学ぶ。そして自分が巨人の肩に立って、自分としてコントリビュートできるものを付け加え、次の世代に伝える。それが大切です。過去から学ぶといっても、オリジナル、一番最初にそれを考えた人から学ぶことを大切にしていました。大学のゼミでは、ノーベル賞論文を読むことを勧めていた。科学的を武器にするには、このオリジナルから学ぶことがとても大事なんです。
たとえば、ニュースを見て面白いと思った時に、ネットで見出しだけ見てやり過ごすことがありますが、その元の情報、第一情報にあたる、ということ。今は、元の情報が英語でも今は比較的楽に読める時代です。それをやっていくと、良質な情報と悪質な情報がわかってきます。
もっと重要視しているのは、オリジナルには「感動」があります。最初に発想した人、見つけた人、気づいた人。「これはすごいよ、人に伝えたい」という熱意があります。感動を得られることが大事と思っています。
日本では高校時代に理系と文系とに分かれますね。多くの場合、数学が嫌い、こんな方程式が解けなくても社会人になっても困らないということで、なんとなく消去法で進路が決まります。
僕はバリバリの理系で、東京大学で実験物理学をしていました。紙と鉛筆ではできない分野で、自分で装置を作って、今まで人が見たことがないものを作ろう、新しい発見をしてやろうと。そういう分野です。でも文系が苦手、ということではありません。音楽でトレーニングを受けて今でもヴァイオリンを弾きますし、月1回は歌舞伎を見ています。本を読んで涙することもあります。これと逆で文系の人も科学のことに感動したり、興味をもつことがあっていい。文学部物理学科というのがあったら、そこの教授になってもいい、と書いています。感動することを通じて、文系と理系の境目を超えてもいい。感動を持って物事に当たる。科学はかけ離れたものではなく、人間の営みとして積み重ねてきたこと。間違いもあるけど、世界中でよってたかって協力して、あるいは競争することで、いずれは間違いも直してゆく。私自身の育ちを書きながら、そういうことを書いています。
本の中でも繰り返し出てくるテーマですが、「アマチュアの心でプロの仕事を楽しそうにやる」。よく初心という言い方があります。アマチュアの時のあのドキドキするような気分を思い出すと、自分がどれだけそれで救われたかと。研究者は打率が低いのです。ホームランになるようなことなど滅多にありません。プロ野球の3割バッターなど本当に羨ましいと思います。何年もダメで、スランプのときは落ち込みます。本当は楽しくないけど、「楽しそうにやる」というのが大事。自分の精神衛生上でも救われます。
歳を重ねてチームを持っていると、トップがダメな顔をしているとダメです。やはり楽しそうにやっていると、チームの力が出る。このことを東京大学の最終講義でも話しましたら、多くの方々から共感されました。これを大学院の時の先生から伝授されました。今でも民間の会社で、自分に「楽しそうにやっているかい」と問いかけながら仕事をしています。これは多くのいろいろな分野の皆さんに伝えたい言葉であると自負しています。
福島の事故、飛び散った放射物に関しては、健康被害については心配しなくていいよ、ということに関して確認され、国連の科学委員会でもレポートされています。その面では良かったのですが、依然として4割くらいの方々が福島の影響が次の世代につながると思っていらっしゃる。だけどこれは間違い。多くの専門家が断言されています。広島、長崎のことで70年以上の追跡調査で影響がないことが証明されています。これを払拭するためにも、国、教育界、メディアの方々の長期にわたる取り組みが必要ではないかと、10年経って私が思っているところです。
ビックバンなんて、アインシュタインだって知らなかったんです。そういう、宇宙には初めがあったことを知ったからといって、明日会社が儲かるわけではない。でも、それを知ることで世の中をどう見るかが変わる。138億年も前のことを人類はどうやって、これほど確かにありましたと見つけたのか、それを掘り下げてみると、ものすごく感動します。そんなことどうしてわかったのと、心に響いたら、見出しだけ読むだけでなく、本を見る、あるいはお子さんの教科書にはいろいろ書いてありますから、読んでみる。文系の方でも感動を得て、人生が豊かになると思います。
東大の教授だったから、小さい頃から目標があって、ひたすら物理を極めるというふうに思いがちだと思いますが、この本を読んでくださると必ずしもそうではないことがわかると思います。僕も進路に迷いつつの人生でしたし、研究でも周りの人に巻き込まれる人生でした。途中からは自分から好んで巻き込まれました。
人との出会いや偶然の力は、人生を豊かにするきっかけかもしれない。偶然を味方につけられるために力を作っておく。躊躇しない人生も面白い、と若い方々に伝えたいですね。今思っていること、自分探しをすることだけではない。その意味からもビジネスの方にも学生さんにも、この本を手に取ってもらいたいですね。いろいろなヒントがあると思います。本の中にも置き去りにする教育と書いています。チャンスを作って、リソースを作って置き去りにする教育、それが大切です。
以下の放送局でオンエアされました。
・FM青森
・FM岩手
・FM秋田
・FM山形
・FM仙台
・FM福島
・FM群馬
・FM栃木
・TOKYO FM
・K-MIX(静岡)
・FM長野
・FM新潟
・FM富山
・FM石川
・FM福井
・FM岐阜
・FM三重
・FM滋賀
・KISS―FM(兵庫)
・FM岡山
・FM山陰
・広島FM
・FM山口
・FM香川
・FM徳島
・FM高知
・FM佐賀
・FM長崎
・FM熊本
・FM大分
・FM宮崎
・FM鹿児島
・FM沖縄
以上33局予定
※アプリradikoでも聴取可能(放送後1週間、タイムフリーで聴取可能)
また、放送ノーカット文字起こしがnoteにて有料配信されます。
https://note.com/gakumon_susume