スズキ・メソード出身のOB・OGが室内楽でも大活躍。
京都弦楽四重奏団が、歌心に満ちた演奏で聴衆を魅了しました。
京都弦楽四重奏団は、2016年に発足した団体で、発足時の第2ヴァイオリンはスズキ出身の西川茉利奈さんでした。
現在のメンバーは、チラシにあるように、植村太郎さん(第1ヴァイオリン)、森岡聡さん(第2ヴァイオリン)、朴梨恵さん(ヴィオラ)、そしてスズキ出身の荒井結さん(チェロ)という布陣。
今回のコンサート、前半はヴォルフの「イタリアン・セレナーデ ト長調」に始まり、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第7番 ヘ長調 Op.59-1「ラズモフスキー1番」でした。実力者揃いの演奏は、迫力と歌心に満ちて、感動しました。
後半は、ゲスト・ヴィオリスト、チェリストを迎え,チャイコフスキーの弦楽六重奏曲「フィレンツェの思い出」。
第1ヴァイオリンの植村太郎さんは、宮田大さんとのジュピター・カルテットで、BS朝日で放送された「カルテットという名の青春〜太郎、マドカ、麻理子、大と歩いた1371日」に出演しておられたので、ご覧になった方も多いと思います。太郎さんのお母様は、太郎さんにはスズキの教本で手ほどきされたそうです。
スズキと縁の深い皆さんの活躍を、今後も期待して、見守りたいと思います。
最後に、チャイコフスキーの演奏に先立って、磯村さんが舞台からお話しくださった内容が印象的でしたので、ここに載せておきます。
「(カルテットは)本当に、何十年やっても、いつまでたってもキリがありません。ベートーヴェンの弦楽四重奏は素晴らしいですし、ベートーヴェンにとっても、彼が納得するような弦楽四重奏曲を書くというのは彼のライフワークだったと思います。最後の年なんか、弦楽四重奏しか書いてなかった人でした。
ですから、我々カルテット弾きにとってもベートーヴェンのカルテットを納得いくように弾くことは、本当にライフワークだと思います。
カルテットの素晴らしさというのは、そのレパートリーにあると思います。幸いハイドンあたりから本格的に弦楽四重奏の曲を書き始めてくれて、それはモーツァルトに続いてベートーヴェンが本当に素晴らしいところまで持って行ってくれて、その後のもちろんシューベルトですとかね、ブラームス、本当にレパートリーの宝庫ですよね。
ですから、(東京カルテットが)長く続いたその秘訣は、そのレパートリーを本当に愛し続けることです。愛し続けること自体はそう難しくないです。けれどもそれを4人で指揮者なしで、リーダーなしでやるわけで、ですから、キリがないですけれども飽きることだけはないですね。
そして、カルテットを弾き続けるにあたって一番大事なのは、4人の間の信頼感ですね。信頼感というのはやっぱり人間同士として、お互いに信頼できるかという意味の信頼感もなんですけれども、自分と同じくらいのレベルでカルテットを愛してくれているかという、そういったいろいろな意味を含めての信頼感が一番大事と思います」
(報告:関西地区ヴァイオリン科指導者 江村孝哉先生)
(写真提供:下田義博)