無伴奏チェロ組曲第1番をテーマに、ヴィオラ研究会を開催
ヴィオラグループによるヴィオラ研究会が昨年4月に続いて、今年も2月24日(金)、東京都内で開催されました。最近の活動は、以下のマンスリースズキのバックナンバーからご覧いただけます。
→2019年12月のマンスリースズキの記事
→2022年4月のマンスリースズキの記事
今年の研究テーマは、バッハの無伴奏チェロ組曲第1番。チェロ奏者にとっては十八番(おはこ)の曲として普段から練習を重ねる曲ですが、実はヴィオラ奏者たちにとっても、バッハの無伴奏チェロ組曲はとても勉強になる曲ばかり。今回は3人の指導者が6曲に分かれた第1番の2曲ずつを演奏し、それに対して豊田耕兒先生からレッスンを受けるマスタークラス方式。そして残りの参加者たち全員で、たった今教わったばかりの豊田先生の教えを体で感じながら、全員で斉奏。バッハの奥深い世界を長年研究してこられた豊田先生から直接にご指導を受ける貴重な機会になりました。
まず、豊田先生のご挨拶がありました。
そして、以下の曲を3人の先生方が演奏されました。いずれも日頃の研鑽ぶりを垣間見られるような素敵な演奏が続きました。
Prelude・Allemande 大久保貴寛先生 (中国・四国地区ヴァイオリン科指導者)
Corrente・Sarabande 伊藤達哉先生
(東海地区ヴァイオリン科指導者)
Menuetto 1・Menuetto2・Gigue 野口美緒先生
(関東地区ヴァイオリン科指導者)
1曲終わるごとに、豊田先生からの指摘が入ります。たとえば、Preludeなら「バッハはハーモニーが一番大切です。バッハの頭の中では少なくとも4声部が響いているわけで、バスの音を多めに弾いてもいいと私は思っています。耳の中に残っているような形で弾いてほしい。カザルスの音もC線の音がずっと残っていましたね」「それでいて、一人で弾くわけですから、音楽は相当に自由であっていい」「音楽はその人の心、それを感じる、それを表すのが芸術家の使命です」など豊田先生の金言が続きました。受講生たちである指導者たちの真剣にメモをとる姿が印象的でした。
指導者自身の、さらにバッハを極めたい、さらにヴィオラに習熟したいという学びへの意欲もさることながら、それぞれの教室での生徒さんたちへの指導に通じるお話も随所にあり、それを今年89歳の豊田先生からダイレクトに受け止めることができるという幸せな時間にもなっていました。
全員でそれぞれの曲を斉奏する姿はスズキ・メソードならではでしょう。豊田先生のご指摘が見事に心を合わせての演奏にブラッシュアップされていきました。大きな宝物をこの日も豊田先生からいただけたことになり、確かな手応えを感じることができたのです。