2024 春のこどもフェスティバル “楽器を持って みんな集まれ~!!”
3月20日(水・祝)、スズキ・メソードの会員の皆さんなら誰でも参加できる「春のこどもフェスティバル」(主催:関東地区三科地区委員会)を、すみだリバーサイドホールで開催しました。当日は、雨天の予想の中、朝から青空に恵まれたものの、午後3時頃からは春の嵐になるなど、目まぐるしい空模様でした。
それでもホール内では、ヴァイオリン、チェロ、フルートのグループレッスンに加えて、レッスンの合間には、カリブ海の島国、トリニダード・トバゴで発明されたドラム缶で作られた音程のある打楽器、スティールパンによるミニコンサートも2回開催され、大変盛り上がる1日となりました。
それでは、この日のプログラム順にみていきましょう。
⭐10:00 ~12:00 グループA【フルートとヴァイオリン】
午前中は、フルート科とヴァイオリン科合同グループレッスンでした。まず、最初に指導者たちによる「リュリのガヴォット」「ボッケリーニのメヌエット」の模範演奏を披露。フルート科が制作したオブリガート曲集もヴァイオリン科の2巻まで揃いましたので、こうして合奏ができるようになりました。
そして、守田千惠子先生と岩波寿美先生による指導で、ヴァイオリン科指導曲集1.2巻から、「キラキラ星変奏曲」「ちょうちょう」「こぎつね」「アレグロ」「メヌエット第2番」「楽しき農夫」「ゴセックのガヴォット」「狩人の合唱」など、そしてフルート科指導曲集の「ほたる」「アマリリス」を合奏しました。途中にスティールパンのお楽しみミニコンサート(約15分)がありました。
⭐11:00 ~11:15 スティールパン・ミニコンサート①
https://www.youtube.com/watch?v=vHxRH0hWcKo
演奏もカリブの音楽、映画「ピノキオ」主題歌の「星に願いを」など、耳馴染みのいい曲が続きました。スティールパンの音楽を聴いていると、自然に身体が躍動してくる感じがありました。ノリノリになるのです。そして、最後に子どもたちのヴァイオリン、フルートとスティールパンの合奏で「キラキラ星変奏曲」。「カリブ海のリズムについてきてね〜」と始まったリズムは楽しいリズムばかり。「今日はスティールパンと出会うことができましたね。音楽を通していろいろな出会いをしてくださいね」という伊澤さんのお話も素敵でした。
⭐12:00~13:00 楽器体験会
一般の方を対象とした楽器体験会は、とても賑わいました。ヴァイオリン・ピアノ・フルート・チェロを体験できるとあって、それぞれに行列ができたほど。お子さんが楽器に触れる姿を見守る保護者の皆様の真剣な表情、ニコニコの表情など、いろいろな場面を見ることができました。この機会をきっかけに、新しい音楽ライフがはじまるといいですね。
⭐13:00~14:00 グループB【チェロ】
午後の最初は、チェロ科のグループレッスンでした。宮田豊先生によるご指導で、「キラキラ星変奏曲」「むきゅうどう」「リゴ―ドン」「メヌエット第2番」「妖精の踊り」「アレグロモデラート」「シャンソントリステ」「ゴルターマンのロンド」「白鳥」を斉奏しました。
⭐14:00~14:45 グループC【チェロとヴァイオリン】
続いて、チェロ科とヴァイオリン科合同のグループレッスン。川沼文夫先生のご指導で、「狩人の合唱」「むきゅうどう」「キラキラ星変奏曲」「ロングロングアゴー」「むすんでひらいて」などを演奏しました。ユニークだったのは、チェロに合わせてヴァイオリンがニ長調で演奏したことです。いつも演奏する弦を1本下げ、E線の代わりにA線、A線の代わりにD線を使うことでニ長調になるわけです。いつもならチェロが合奏用の譜面を演奏することが多いですから、珍しい体験となりました。「アレグロ」のA線の3の指からの音色は、なかなか良かったですよ。川沼先生は、辛い音の「アレグロ」、甘い音の「キラキラ星変奏曲」など、曲ごとに味付けを変える演奏についても、指導されていました。「狩人の合唱」は指導曲集通り、ト長調での演奏でした。
⭐14:30 ~14:45 スティールパン・ミニコンサート②
途中にスティールパンのお楽しみミニコンサートの2回目がありました。「音楽には演奏することはもちろん、聴くことも楽しみだけど、楽器を作ることもとても面白いよ」と伊澤さんはお話しされました。手近にあった🥫から楽器を作り、発展させてきたトリニダード・トバゴの皆さんの創意工夫には、頭が下がりますね。「新しい未来の楽器を作る可能性があることを、このスティールパンから皆さんも感じ取って欲しいです」という伊澤さんのお話、とても素敵でした。演奏もノリノリで、最後の「キラキラ星変奏曲」のスティールパンとのコラボレーションは、指導者の先生たちも大感激。「キラキラ星」の新たなページが生まれたかのようでした。
⭐14:45 ~16:15 グループCのつづき【ヴァイオリン】
ここからは、ヴァイオリン科だけのレッスン。3巻~6巻くらいまでの曲から抜粋でグループレッスンを行ないました。同じく川沼文夫先生のご指導で、まずは「マルティーニのガヴォット」を皮切りに、「ユーモレスク」「バッハのブーレ」「バッハのg-moll」「フィオッコのアレグロ」と続きました。スタッカート、レガート、デタッシュなどヴァイオリンの基本奏法を織り込みながらのレッスンでした。窓の外は一時的に嵐のような風雨の時もありましたが、室内はホットなレッスンが続きました。
⭐16:30~18:00 グループD【バッハの2のヴァイオリンのための協奏曲全楽章】
この日の最終セッションは、スズキ出身のヴァイオリニスト、印田千裕先生による「バッハのドッペル」でした。全楽章のグループレッスンとあって、受講される生徒さんもかなり入れ替わりました。レッスンは、1楽章から懇切丁寧な説明と実演で進んで行きました。「大切なことは、耳でよく音を聴くこと。自分の音もだけど、相手のパートの音をよく聴く。それから呼吸。曲のことを勉強しながら身体を結びつけていきましょう」と印田千裕先生。8分音符をしっかり弾きながら、楽器を響かせる、ソロを弾いている時のピアノ伴奏の和音のリズムを手拍子で体験してみることで、急がないための実践に役立つ方法など、要所要所のポイントをしっかり教えていただきました。2楽章でも、印田先生はピアノ伴奏に何度も着目。特に2楽章は「和声進行を感じながら、ピアノを聴いて」と指摘されました。バッハの揺るぎない構築性をしっかり表現していこうという意図が感じられ、生徒たちの演奏もとてもいい感じでアップしていきました。3楽章は冒頭の弓のスピードが大切と指摘され、音の粒ダチをはっきりさせるレッスンでした。膝を少し曲げることもポイントとして言及されました。あくまでも拍感を感じるための便法ですが、これはなかなか難しく、小節の頭で下げると音楽が遅れた感じになります。この辺りは、自然な流れの中での工夫が必要なようです。
印田千裕先生のレッスンは、全楽章の細部にわたって、とても実践的で、わかりやすいご指導でした。第一線で活躍されるヴァイオリニストの音はさすがに美しく、音色も素晴らしいものでした。教えていただいたことを旨に、日々のお稽古に役立てて欲しいものです。
参加の生徒さんたちの感想
春の子どもフェスティバルにさんかして、はじめてスティールパンのえんそうをきけてうれしかったです。
川沼先生のレッスンで、マルティーニのガヴォットのフレーズをサンドイッチのパンとハムやたまごにたとえるほうほうがわかりやすくて、おもしろかったです。
印田千裕先生のドッペルのレッスンもたのしくて、あんなふうに上手にひけたらよいな、と思いました。
またらい年もさんかしたいです。(小1)
バッハの合奏の練習に参加したのですが、印田先生のご指導を受けることができ、今後の練習で実践したいと思うことがたくさんありました。また印田先生の演奏が素晴らしく、自分もこのような音を出すことができるようになりたいと思いました。今後バッハのドッペルを弾く際は、今回教えていただいたことに気をつけて自分の音が響くように弾きたいです。(大学生)
ヴァイオリニストの音を、何かステージで演奏しているのを聴くとかではなく、同じ舞台に立って間近で聴き、一緒に弾けたのがとても勉強になりました。印田千裕先生にリズムや響きのことなど教えていただき、ヴァイオリニストはこんなふうに考えて弾いているのだなと思い、ヴァイオリニストの思考が知ることができ嬉しかった。ドッペル全楽章を弾くことができたのも嬉しかったです。(高校生)
スチールパンとのキラキラ星はいつもとちがうリズムでちがう国に行ったみたいな感じがした。
いろんな楽器と一緒でたのしかった!
ドッペルのレッスンはVnだけでなく、伴奏もよくきくレッスンで勉強になった。(生徒数名)
よい意味でスズキらしくなく?すばらしかった!新鮮だった。
先生方が一緒にひいてくださり、素敵でした。
いつものお教室ではできないフルートとの合奏や、スティールパンとのセッションなど長時間でも飽きずに参加できた。
このような会を企画してくださった先生方がに感謝!します。(保護者数名)