豊田耕兒先生によるヴィオラ研究会、2024年4月の報告です!
定期的に研究会を開催してきたヴィオラグループのヴィオラ研究会。最近は、以下のように活動しています。
→2019年12月開催のマンスリースズキの記事
→2022年4月開催のマンスリースズキの記事
→2023年2月開催のマンスリースズキの記事
→2023年4月開催のマンスリースズキの記事
→2023年6月開催のマンスリースズキの記事
→2023年11月開催のマンスリースズキの記事
前回に引き続き、豊田耕兒先生をお招きしてバッハの無伴奏チェロ組曲 ヴィオラ版を勉強するシリーズです。2023年2月に第1番、6月に第2番、11月に第3番と順に取り組み、今回開催の4月2日(火)には第4番を取り上げました。
バッハの無伴奏チェロ組曲第4番 変ホ長調 BWV1010 ヴィオラ版は、次の6曲で構成されています。
・プレリュード Prelude
・アルマンド Allemande
・クーラント Courante
・サラバンド Sarabande
・ブーレ Bourrée I, Bourrée II
・ジーグ Gigue
2名の指導者が3曲ずつ代表受講しました。
今回は豊田先生がご用意くださったヴィオラ版の楽譜を基に、各自が勉強を重ね、研究会に参加しました。
各曲、代表受講者の演奏に対する豊田先生のレッスンの後は参加者で斉奏のスタイルでしたが、斉奏の演奏にもテンポ感や音楽の軽やかさなど、とても熱心にご指導いただきました。
毎回、参加者よりたくさんの質問が寄せられるのも豊田先生によるヴィオラ研究会の特徴の一つ。
チェロの楽譜と異なる箇所(スラーや和声)についても豊田先生にご解説いただきながら、活発に意見が行き交う研究会となりました。
以下、代表受講された先生方からのコメントです。
○星めぐみ先生(関東地区ヴァイオリン科指導者)より
このたび、プレリュード、アルマンド、クーラントを受講いたしました。
豊田先生は大きな視点で音や時間の変化、空間の使い方などご指導くださり、「バッハといえばこう弾かなくては」という先入観にとらわれ、視野を狭くしていた自分に気がつきました。
また、レッスンの後に参加者全員で斉奏したのですが、「遊びがあって構わない、みんなで弾くと合わせる難しさがあるがみんなで遊べればなお結構ですね」とお声がけくださり、それこそ合奏の本質のように感じ、グループレッスンや演奏会でそのようにできたらどんなに幸せかと思いました。
今回いただいたものを生徒さんたちにも還元できるよう、バッハの世界を楽しみながらさらにこの4番の勉強を続けたいと思いました。
受講にあたり、委員の先生方のサポートが大変ありがたかったです。この場をお借りして感謝申し上げます。
○ 野口美緒先生(関東地区ヴァイオリン科指導者)より
バッハの無伴奏組曲第4番の代表受講の依頼をいただいた時、「準備する時間がなく、とても無理です」とお断りしました。その後、他の候補の方も固辞されたとのことで、3度目の打診で観念しました。今となってはとてもありがたい機会だったと思っております。
指導の現場では「譜面の音を弾くだけでは音楽にならない」という言葉がよく出ます。では、どうしたら音楽になるのか・・いつも悩みます。
豊田先生は常に、その視点を、ヒントを、答えの例を示してくださいます。楽譜には作曲家の思いが封じ込められていることと、それを解凍して音にする方法を。
私が受講した内容から少々ご紹介します。
・Sarabande の重音・・ポリフォニー(メロディーの重なり)の中から何がどう浮き出ると良いのか。
・Bourrée のどこがはずみ、どこでふっと息をつくのか。Bourrée II がどう広がるのか。
・Gigue をシンプルに、かつ変化を持たせられるのか。
グループ指導者からはチェロ譜と違う音やスラーを確認する質問も出て、アンナ・マグダレーナの写譜と見比べたり、様々なチェリストの解釈や奏法についての参考意見が出たり・・毎度のように活発なやり取りが行なわれました。豊田先生のお考えを先生方が日頃から実践されていることを体感し、このような横のつながりにも改めて感動しました。そして皆さんとの合奏ではヴィオラの音色に癒されます。
アドバイスのありがたさはもちろんのこと、会場に豊田先生がいらしただけで私たちの気持ちが和やかに、厳かに、前向きになり、自然と笑顔になります。「音は、芸術は、人そのものなのだ」と実感し、エネルギーをいただいています。
豊田先生と皆様とご一緒に、これからも一歩ずつ進んでいきたいと思っております。