今年の夏期学校では、このところ恒例の「おけいこ相談会」を開催しました。
7月28日の夕方の内容を紹介しましょう。

 
 夏期学校の中で保護者との懇談会というのが元々の始まりでしたが、コロナ禍のために、ネット交流会を3回、そして、昨年ようやく夏期学校期間中に「おけいこ相談会」広報委員会の保護者チームによって開催されてきました。その内容は以下の通りでした。
→第1回ネット交流会の様子  2022年8月20日
→第2回ネット交流会の様子  2022年12月25日
→第3回ネット交流会の様子  2023年6月4日
→第72回夏期学校おけいこ相談会の様子 2023年7月28日
 
 今回は、夏期学校が5年ぶりの対面での開催となりましたので、「おけいこ相談会」というタイトルで実現。回答者はお馴染みの皆さんです。進行役は、早野龍五理事長兼会長が担当されました。また、特別講師の東誠三先生、江口有香先生からもご回答をいただきました。
・早野龍五理事長兼会長
・東誠三先生(ピアノ科特別講師)
・江口有香先生(ヴァイオリン科特別講師)
・末廣悦子先生(東海地区ヴァイオリン科指導者)
・永田香代野先生(関東地区ピアノ科指導者)
・上杉亮子先生(中国・四国地区ピアノ科指導者)
 

 
早野 今回のご相談会には、13件の質問が集まりました。この中で、複数の方がおけいこの時にネットで動画を見ると書かれていました。そこで、まず最初にこちらからの質問ですが、本会がおけいこ動画を作って、会員の方に公開していることを知っていて、見たことがある方、どのくらいいらっしゃいますか。はい、逆に今日初めて知ったという方、どのくらいいらっしゃいますか。ありがとうございます。
 
 ピアノ科のおけいこ動画ですが、例えば1巻のおけいこ動画は、その通り弾けば1日のおけいこが成り立つというふうに作られています。正直に申し上げて、とっても面白いですよ。いろいろな速さで「キラキラ星」の演奏から始まって、最低3種類のテンポで弾いていますから、その通り弾くだけでだんだんテンポが速くなりますし、頭の中も追いついていきます。生徒さんの状況によってテンポを選べますし、右手、左手ごとの練習もできます。「これと一緒に弾いてみよう」とご家庭で試してみる価値があります。ぜひご覧になってみてください。
 
江口 ヴァイオリン科のおけいこ動画は、1巻〜3巻まで私が担当しています。20年前にCDの録音もいたしましたが、江口有香はそれから変わったんだということを確認いただける内容になっていると思います。内容も楽しんでいただけるものになっていますので、ご覧いただければと思います。
 
末廣 現在、4巻、5巻については竹澤恭子先生の演奏で準備しておりまして、まもなく公開する予定です。その昔、鈴木鎮一先生が「おけいこテープ」を作られたのですが、時代とともに変化するものと思いますので、どうぞ皆様にはご活用いただければと思います。
 
早野 YouTubeには、スズキの指導曲集を使った動画が溢れていますが、実は弁護士の先生から著作権の問題を指摘されています。お子さんたちが動画をご覧になる時に、本家がきちんとしたものを公開する必要があると考え、先ほどのお話に出た内容で進めております。
 それでは、いただきました質問に答えていただきましょう。
 

質問・相談内容
 4歳の女の子の母です。3歳6ヵ月よりスズキ・メソードにてピアノを始めて9ヵ月です。気分にムラがあり、毎日決めた練習メニューをこなすのに非常に苦労しています。また、日によっては改善点を指摘すると本人から「もうやらない」と言われることもあり、改善点を伝えるのにも一苦労しています。このようなことと上手に付き合いながら親子で練習を続けていくためには、どのようにしたらよいでしょうか?

 
 当然、気分にムラが出ると思います。もしご両親がピアノを習ったことがない場合は、理解が必要です。初歩の段階で88鍵ある鍵盤の場所を特定して、10本の指で決められたところの音に触るだけでも、ひと苦労だと思います。パソコンのキーボードの文字配列に最初、とても苦労されたのと同じで、一つの単語を入力するのに10秒くらいかかっていた時代がありましたよね。お子さんの小さい身体と小さい脳では、こうした時にすぐ限界に来てしまいます。ムラになって当然です。そうなった時は休憩することです。遊びの要素を入れることもいいでしょう。数回に分けて、1日15分程度さわることを習慣にするというのはいかがでしょうか。
 
永田 私もムラになって当たり前だと思います。お子さんがあまり疲れていない時間帯を見つけてあげることも大切ですね。それが見つかったら、毎日その時間帯にはピアノを弾くことを習慣づけてみてはいかがでしょう。1回に3分でもいいのです。それを何回かすることで、15分になりますから。
 

質問・相談内容
 5歳の長女でレッスンに通い始めて2年半くらいになります。今は1巻のメヌエットのおけいこをしています。娘は耳コピが得意で、2巻や3巻の好きな曲、保育園で覚えた好きな曲などを楽譜も見ずに音を取って勝手に弾いています。私が娘以上にCDを聴いたり、真剣に演奏を聴いていて、楽譜も少しは読めますが、同じようにはできないので子どもの力はすごいなぁと感心するとともにスズキ・メソードの恩恵だと感じています。一方で、大人の言う通りに弓の使い方や指番号を間違えずにその曲の正しい弾き方を覚えるということに関しては、まだあまり気が向かないようです。毎週の先生とのレッスンでも、少し前までは先生と毎回のレッスンができず、今日はやらないと言ったり、嫌な練習になると投げ出してしまうことも半々でした。先生が根気強く柔軟に付き合ってくださり、タイミングよく娘と話してくださったおかげで最近はようやく毎回のレッスンを受けて帰れるようになりました。
 家での30分~45分ほどの内容のおけいこは、朝ご飯を食べて身なりを整えた後に始めて、残った分は夕方に取り組んでいます。野性的に弾いている娘に対して、メニューを決めてシールを貼ったりしながらなんとか決めたものをこなすようにはしていますが、集中力は長く続かず、座ったり歩いたり寝転んだりしながら弾いたりすることも多く、前の曲のおけいこでも「弾ける曲をより立派に」という弾き方とは程遠い現状です。ときどき、80%くらいの集中力で弾いてくれることもありますが、全体を通すと20-30%くらいの集中力だと思います。一方で、おけいこの始めや途中にまだおけいこしていないヘンデルの「ブーレ」やミニヨンの「ガヴォット」、「ユーモレスク」など好きな曲を流して~!と言って、先の曲はキラキラ目を輝かせながら楽しそうに弾いています。それでテンションが上がってきたところで、「○○の曲も聴きたいな~」と言って、練習メニューの曲のおけいこを1つずつこなしていっています。楽しそうに弾いていると私も嬉しくなってしまうのですが、一方で決めているメニューが進まずに時間がどんどん長くなりますし、せっかく音がほどほどに取れるのでちゃんと生に教えてもらった内容のおけいこに集中できればどんどん弾けるようになるのになぁ~ともどかしく感じることもあります。
 また、先の曲では、弾くたびにだんだんパズルのピースが合ってくるかのように音の精度が増してくる一方、オリジナルの弾き方で弾いているので、違う形で覚えてしまって後から弾き方を直すのに苦労することになったら大変かなぁと懸念しています。娘には心から楽しく、美しくヴァイオリンを弾けるようになることで、音楽を良き伴侶にして豊かな人生を歩んでもらいたいと思って取り組んでいます。そのため、先を急ぎすぎることなく娘の段階にあったおけいこ時間を通して無理なくステップアップしていきたいと感じています。まだまだ先の曲との付き合い方と、このような時期の娘へのおけいこのすすめ方について、アドバイスをいただけたら幸いです。

 
江口 私の場合、ほとんど楽器を弾かない両親のもとで育ちましたが、いつもレコード針が擦り切れるくらいまで赤いソノシート(編集部註:普通のレコード盤と違い、薄くて柔らかいシート型のレコード)を聴いていました。母が、ほぼ1日中かけていたんです。何枚も買い直したそうです。両親ともスズキ・メソードに憧れて、信じていましたから、先生がおっしゃったことだけをこなす1週間でした。もしかしたら、このお母様は、いろいろと計画を立てられているのではないかと思いましたが、もう少しお母様ご自身が楽しくなるような気持ちで接してくださると、いいかなと。
 

末廣 それぞれのお子さんでやり方が違うので、この方の場合、そんなに心配することはないと思いますね。
 
永田 自己流になってしまうのではないかと心配されていますが、好きなことがあるっていいことだと思います。こういうお子さんの場合、先生からのご指導でなおせると思います。それで固まってしまうことはありませんから。好きに任せることも大事なことだと思います。
 

質問・相談内容
 レッスン内容が徐々に難しくなってきており、レッスン中の先生の指示を理解せずに帰ってきています。例えばどの弦を押さえるのかといった基本的なところから先生の指示を理解できていません。家に帰って、他の先生が出しているYouTubeの動画などを観て、やり直している状況です。限りあるレッスン時間の中で、子どもが、先生のレッスン内容を理解しつつ、わからない部分を、先生に具体的に聞くことが難しいです。このような場合、どうしたらよろしいでしょうか? 
★子どもは何を意識してレッスンに臨めば良いでしょうか?
★先生に対して、どのような質問の仕方をすべきでしょうか?
★ 親(ヴァイオリン経験なし)は、なにをすべきでしょうか?
★ 先生に対しては、どのような働きかけをお願いすべきなのでしょうか?

 
末廣 鈴木先生が、私の親によくこう言われたことを今でも覚えています。「私はお子さんに伝えていますが、お母様にお話をしています」と。それがすべてでしたね。
 
江口 私の母は、陸上の選手でしたが、とにかくヴァイオリンのおけいこのことは、100%先生のおっしゃることをきちんと守っていました。先生に言われていたことをメモする、あるいは録音することで、家ではそれを復習することの繰り返しでした。
 
 これは、その時に最適な回答を出すことが求められる事例だと思います。言えるのは、6歳で先生に質問することは、まだまだ無理ではないかと思います。それができるのは、小学3年とか4年くらいになってからでしょう。ここは一つお子さんにインタビューする気持ちで具体的にお尋ねになってみてはどうでしょうか。それによって、楽譜のわからないところに印をつけておいて、先生には事前にメールなどで連絡し、次回のレッスンで「もう少しここのところを教えてください」とお話ししてみてほしいと思います。
 

質問・相談内容
 子どもは8歳。親はヴァイオリン未経験です。今2巻の終わりあたりをやっていますが、楽譜に1、2、3と番号をふり、先生の動画を見ながら、主な箇所などの弓の上下をまだ、細かく書いています。この親の作業も仕事が忙しい時には、結構大変で、先生方が子どもの頃は、いつ頃まで数字で楽譜を見ておられましたか?

 
江口 個人差があると思いますが、私の場合、7巻のバッハの協奏曲まで親の字で指番号が書いてありました。8歳の時にモーツァルトの協奏曲を弾いていましたが、親は結構努力していたと思います。
 
末廣 ポジションだけ書いてある楽譜が私の場合、残っています。ですので、指番号ではなく、ポジションの移動のところだけ、母が書いていました。
 
 実は、私も5巻くらいまでヴァイオリンをスズキでやっていたんです。ですからヴァイオリンを弾かれる方を前にすると尊敬の念ばかりで、劣等生を経験していますのであまり役に立たないかもしれませんが、このお子さんは8歳ですね、ご自分で指番号を書いてみたらいかがでしょう。自分で書いたものって、人に書いてもらうよりも何倍も頭に入るものなんです。ピアノでもそうですから。お子さん自身がわかるところでいいと思います。それを実践してみましょう。あとは先生のご協力をあおいで、多少の間違いを許容してあげて、3ヵ月もやり続ければ、自分のものになると思います。
 

質問・相談内容
 9歳と12歳の子どもがピアノを5年、8年習っています。それぞれ小学校高学年から中学生になると、徐々に親子で練習から自主的な取り組みに変わっていくと思います。そうした主体性な学びにつなげていくために、小さい頃からどのようなことに留意しながら子どもと関わっていくとよいか、お考えやアドバイスをお聞きしたいです。

 
 もう相当な経験を積まれていますから、私の想像ですが、練習のペースや内容はある程度確立なさっていると思います。ここまで続いていらっしゃるということは、ここまでのレッスンがうまくいっているのでしょう。これからは、自分でできることをできるだけ増やしていくことでしょう。ピアノですと、指番号を自分で書き込んでいくことは、その最たるものです。ピアノは、一つの音を片手で出す場合、5本の指のどれを使っても同じ音程です。5通りあるわけです。それを自分で考え、この音はこの指と考えることで、頭に入ってきます。これを習慣にされるといいですね。上の子がそれをやると、下の子も真似していくものなんですね。それから、練習の1回1回を自分で評価する、ということも大切です。自分のイメージした演奏とたとえば3段階とか5段階で評価してみましょう。それで、たとえば「上、中、下」と分けます。それで「今日は3回しか弾かない」と決めたとします。どこかで「上」があればいい、と考えます。あるいは今日は、「中」でも明日、「上」になることを目指す、と思うわけです。それでやめていいのです。そうした自分で自分を評価するというおけいこをできるようになると、どれぐらい集中するとどのような結果になるか、蓄積されていきます。この蓄積が大切で、これがあると自分の練習の見通しがたちますね。
 

質問・相談内容
 9歳と6歳のヴァイオリンを学ぶ兄弟です。以下の点について、お尋ねします。
①楽譜の読み方の習得
②スズキ・メソードの指導曲集以外の曲集についてどう考えればいいか。
③目的を持って練習する姿勢をどう作ればいいか。

 
江口 私は、本人の耳に心地よく聴こえるものが一番いいものと信じています。ですので、おけいこは録音することをおすすめしています。録音する前で後で、自分がどこが上手になったかを自分で発見できることが1番の喜びになるだろうと思います。スズキのいいところはたくさんありますので、ぜひお教室の先生とご相談いただければと思います。
 
末廣 私もそう思います。先生に伺っていただければ、そのお子さんに合った形でお答えいただけると思います。
 
永田 スズキの指導曲集以外のものといっても、同じ音楽ですので、スズキとそれ以外を比較されるのは、何を心配されているのかなと感じました。ご心配なことは、やはり先生にご相談されるのが一番です。スズキは指導者とお子さんと保護者の皆さんのトライアングルの関係でやっていきますので、ぜひお尋ねになってみてください。
 

質問・相談内容
 8歳のヴァイオリンです。毎日おけいこする習慣はどうやったらつきますか?
 11歳と8歳のヴァイオリンです。先生方もやりたくないな、面倒くさいなと思ったことはありますか?
 14歳のピアノを学ぶ中学生です。学校行事が多く、自分の趣味や世界も多くなり、おけいこが面倒になっています。中学生が毎日、短時間でもおけいこするための秘訣があったら教えてください。

 
東 ピアノの場合は、蓋を開ける、ヴァイオリンの場合はケースを開けておけいこが始まるわけですが、実は困難が伴いますね。ケースを開けるまでが大変なんだと。ピアノですと、ピアノのところに行くまでが大変です。でもこれは当たり前のことですので、このことをまず受け入れることです。普段のモードと違うところに入るわけですから、けっこう集中力も入ります。「単純に音を出せばいい」ということではなく、まったく別世界に入っていくわけです。それが苦行だったら、誰もいきません。ですので、自分自身を騙しているというのが日常ですよね(笑)。とはいえ、まずはケースを開けてみましょう、ピアノの蓋を開けてみましょう。弓に松脂をつける、それだけの場合も1日だったらOK(笑)。「おけいこ動画」でも説明していますが、ピアノでは、「最初に腰に気持ちを集中しましょう」と話しています。これだけでもいいです。次の日は、それができたら「1曲、何か弾いてみましょう」と。そうした周期があって当然で、私たちも実は同じです。
江口 最近、テンチルドレンの時に一緒だった方と40年ぶりくらいにあった時に、その方は今クリニックの院長先生をなさっているのですが、週末には仲間と一緒にヴァイオリンを弾いているというのです。そのために、毎日ヴァイオリンをおけいこしていると。もう本当にすごいなぁと。私の場合は、1週間に1日は「今日は弾きたくないなぁ」という日がありますから、そういう日はおけいこをやめて、ヴァイオリンのケースは開けますが、自分の好きな録音を聴いたりしています。それは大学の時に師事した先生から言われたことで、ホッとしたことを覚えています。ですので自分の好きなことで充電することですね。
 
永田 おけいこをしたくない日ってあるんですよね。私も小学生の頃、「そんなにやらないんだったら、ピアノの蓋に鍵をかけます」と言われて、悲しくて泣いてしまったことを覚えています。今は、生徒さんに「この部分だけはやっておこう」と話すなど、嫌々毎日のおけいこをするのではなく、ポイントを決めてみることも進めています。小さいうちに道筋をつけてあげて、後や見守ってあげることも大切ですね。
 
上杉 同じような悩みを生徒さんから私も受けますね。「おけいことそれ以外のことをこれからどうしたいのか」ということを私の場合は、生徒さんと一緒に考えることにしています。「1日の中で、この30分なら練習できるね」と具体的にアドバイスをしたりしていますね。
 
早野 実は、本番があることが大切なんですね。アスリートも同じで、厳しい練習を続けるのは、あれは本番があるからなんです。先生方も同じですよね。コンサートがあるから、練習を重ねていらっしゃる。コンサートなどがなくても、普段のおけいこで「この日のために練習する」という緊張感があってもいいですね。僕も末廣先生もよく鈴木先生のお宅でコンサートをやりましたよね。
 
末廣 鈴木先生のご自宅には、本当のお客様が多くて、私たちはいつ弾かされるかわからない、という状態でしたね。ですから本番がしょっちゅうありました。
 
早野 普段一緒に住んでいないおじいちゃんやおばあちゃんの前で弾く、など、何かモチベーションアップにつながることを設定してもいいですね。
 

質問・相談内容
 9歳のヴァイオリンと4歳のピアノです。兄弟で異なる楽器を弾いている場合、どのようなアドバイスがありますか?

 
東 ピアノと弦楽器は相当に違いますね。私の時は、ヴァイオリンを習っている時、月1回、このステージでグループレッスンがあったんです。そこで楽しいレッスンがあったわけです。ピアノはとりあえずは音程が正しく出ますが、弦楽器はそうはいきません。ちょっとでも力が入るとぎこぎことなります。ドラえもんのしずかちゃんが、すごい音でヴァイオリンを弾いていましたよね(笑)。まったくあの音しか出ないことがわかります。
 練習の時間をお二人で分けるなど、ご家族で良い決定をされるといいですね。遊び感覚で。おうちの中でのそれぞれの役割を作られて、おけいこの時間を組み込んでみるとか。
 

質問・相談内容
 10歳のヴァイオリンです。7年間やってきたのに「辞めたい」と言っています。ここを乗り越えてほしいと思っていますが、先生方はどのように助言されますか?

 
末廣 自分の生徒でもよくあるケースです。必ずお話しするのは「初心に立ち戻ってみてください」と申し上げます。
 
永田 一生懸命やればやるほどダメな時もあると思います。そういう時は前の曲に戻って弾いてみるということも一つあります。それが上手く弾けて、褒めてあげます。そうした反復練習の良さをとりいれられたらいかがでしょう。いったん気持ちを休ませてあげる、ということも大切です。
 

質問・相談内容
 ヴァイオリンです。新しい曲に入る時に「自分でする」というのでやらせると、細かい部分で間違えてしまいます。どう助言をしたらいいでしょうか。

 
永田 やらせてあげたらいいと思います。あとは先生にご相談することですね。
 
早野 いただいた質問にだいたいお答えできたと思います。ここで一つ、会場の皆様にも聞いてみましょう。お尋ねになりたいこと、ある方いらっしゃいますか?
 
聴衆 今日の先生方のお話、とても感動して聞いておりました。隣の娘がこれから大学に進むのですが、スズキ・メソードを続けながらも、大学生活をどのように過ごしたらいいか、何かアドバイスをいただけますでしょうか?
 
江口 私から娘さんに質問させてください。ヴァイオリンですか?(はい) ヴァイオリンは好き?(好きです)それは素敵なこと。でも他のこともやってみたいんですね。やったらいいですよ。選択肢があることって素晴らしい。挑戦できる時にしてください。私はその選択肢はなかったけど、幸せは同じです。体に入ったものは出ていかないから、何年か先にヴァイオリンをやりたかったら、また必ず戻れるから大丈夫。がんばってくださいね!
 
早野 ということで、予定の時間におさまりました。質問してくださった皆様にも感謝します。そして壇上の先生方、ありがとうございました。