みなさまへの だいじなお知らせ
早野龍五理事長と東 誠三会長の就任について

 
 8月21日に、公益社団法人才能教育研究会の第13期定時社員総会が開催され、上程されていた理事および監事候補者が承認されました。続いて行なわれた理事会において、今期の役職が下記のとおり決まりました。
 
代表理事(理事長)   早野龍五(東京大学名誉教授)
業務執行理事      黒河内健(常勤業務執行理事)
          印田礼二(関東地区ヴァイオリン科指導者)
          寺田義彦(関東地区チェロ科指導者)
          西田加奈子(関西地区ピアノ科指導者)
理事(会長)              東 誠三(東京藝術大学教授)
理事          上野達弘(早稲田大学法学学術院教授)
          小口一夫(松本市文化観光部長)
          榊 直樹(学校法人東邦学園理事長)
監事          井上博文(株式会社井上副社長)
          林 一樹(弁護士)
 
 今期の理事会は、理事長と会長を別の者が務める形とし、法人責任者としての早野理事長と、教育面の責任者としての東会長の体制で運営していくこととなります。今後、会員の方々、生徒さん、指導者の方々が主に接するのは、会長の東先生です。
 
 この新しい体制について、早野龍五理事長、東 誠三会長からメッセージをお寄せいただきました。
 
早野龍五理事長からのメッセージ
 

早野龍五理事長

 このたび、私が理事長になり、東誠三先生に会長をお引き受けいただけたことは、本会の将来に向けて、大事な一歩となりました。私個人としても、これが実現できたことは大きな喜びです。

 この制度変更に至るまでの道のりを、これまでまとまって書いたことがないので、少し長くなりますが、記録として書かせていただきます。長くなりますし、途中でかなり面倒な法律論議も出てきますので、読み飛ばしてくださっても結構です。
 
東 誠三会長からのメッセージ
 
 皆さま、こんにちは!
 このたび、本会の会長を仰せ付かりました、東 誠三(あずま せいぞう)です。
 大変責任の重い任務に就きましたことに、身の引き締まる思いでおります。
 

東 誠三会長
photo by Terasawa Ariga

 私の専門とする楽器はピアノですが、幼少よりスズキ・メソードの空気を吸って育った私にとって、ヴァイオリンやチェロ、フルートといった楽器は大変身近なものでした。鈴木鎮一先生の「巨匠の演奏を聴く」という方針のもとに、何も分からない頃から古今の様々な楽器のための名曲を、素晴らしい演奏によって体験できたことは、私にとって何ものにも変えがたい財産です。

 時代は流れ、そして変化してまいります。しかし、人間の営みと、それに最も深い関わりを持つ芸術である音楽の素晴らしさは変わりません。人間と音楽を結びつける最善の方法の一つであるスズキ・メソードへの理解をさらに深め、多くの方に知っていただき、体験していただく、それが私の希望でもあり、夢でもあります。大変微力ではございますが、理事長の早野先生と密接な連携を取り、会員の皆様とのコミュニュケーションを図りながら、少しずつ前に進んでまいりたいと思います。
 
 どうぞ、よろしくお願い申し上げます!
 
詳細な経緯
 
 私(早野理事長)が本会の理事に就任したのは今から10年前の2014年8月、初めて会長に選出されたのは2016年8月のことでした。その時のルールでは、(会長も含む)理事の任期は最長で10年となっていましたので、私は、2024年8月、つまり今頃に退任することを念頭に、私の後任についてずっと考えてきました。
 
 その後、会長の任期が就任から10年とルールが変更され、2年の猶予ができたとは言え、会長を引き継ぐ道筋をつけることが、私の重要な責務の一つであり続けたことに変わりありません。
 
 本会の会長は、公益社団法人の代表として、公益事業、財務、法務、人事などに責任を負い、それに伴う多くの決定を下さなければなりません。その一方、会の内外からは、スズキ・メソードの音楽と教育の代表としての役割を期待される立場でもあります。
 
 この両方を一人で担うのは極めて難しい。私は、子ども時代に鈴木鎮一先生の生徒であったとはいえ、今は物理学者です。会長の役目のうち、後者については、私よりも適任者が大勢おられると、ずっと思っておりました。
 
 一方、それらの方々に、「会長を引き受けてください。財務や法務もしっかりやってください」とお願いするのは、実に酷なことですし、そもそも、そんなお願いを快く引き受けてくださる方はおられません。
 
 あれこれ悩んだ末、会長の仕事を二人で担えるように本会の仕組みを変えるべきだと決断したのは、今から3年ほど前でした。その時点では、相談した専門家の間でも、そのような定款変更が内閣府に認められるか、二重権威で会が混乱するのではないかなど、さまざまな意見があり、必ずしも「それは良い、ぜひおやりなさい」という感じではありませんでした。
 
 これらの問題について、東 誠三先生とは、以前から何度かご相談していたのですが、2年半ほど前、「いずれ会長の仕事を二人で担えるように制度変更しますので、その時には教育の方の責任者をお願いしたい」とお話しして、2022年8月に理事に就任していただきました。今回の体制変更の路線はこの時に敷かれたのです。
 
 その後、分離について理事会で協議し、また、教育部の運営委員の方々にもお伝えしましたが、二人の役職の名称をどうするかを、なかなか決めることができませんでした。今まで会長と呼んでいた役職(法人の代表権を持つ)を、理事長と会長に分ける(この場合の会長は法人の代表権を持たない)。これは混乱を引き起こすし、法的にも問題だろうというのが、監査法人も含む複数の専門家のご意見だったためです。
 
 最終的に、理事長と会長でOKという判断ができたのは、本会理事で早稲田大学法学学術院教授の上野達弘先生のご助言があってのことでした。
 
 これを受けて、1年前、2023年8月の第12期定時社員総会で、(旧)会長を(新)理事長と(新)会長に分離することができるように、定款変更をお認めいただき、それが今年の6月1日に発効しました。その時点で私の肩書きは理事長兼会長に変更されました。
 
 そして今回、8月21日の第13期定時社員総会後に開催した理事会で、冒頭に記したように、早野理事長、東会長、という新しい体制を作ることができました。
 
今後の運営方針
 
 この2年間は、私と東先生とで、どの場合は理事長、どの場合は会長、という仕事の分担を確認しつつ、不具合があれば手直しして、運営をしていきます。それとともに、理事会は、私が2年後に退任したあとの理事長をどのように選任するかということを視野に入れつつ、活動をしてゆきます。