じしんをしるたび
「星をつなぐコンサート」を福島県浪江町で開催!

 

  前号でお知らせした「星をつなぐコンサート」の会場「道の駅なみえ」の大会議室で、9月16日(月祝)朝9時過ぎに皆様と合流しました。あいにくの雨模様、ぐずついた天気でしたが、前日から福島県内の有数の温泉どころの一つ、土湯温泉でリハーサルで練習を重ねた東北地区の子どもたちの元気な姿は、いいものですね。

 そもそもこのイベントの発端は、東日本大震災から10年以上が経過し、音楽を学ぶ子どもたちの中にも震災を経験していない子の割合が増えてきたことにありました。東北地区のスズキ・メソードの指導者たちは、震災のことを自分たちでできる演奏を通して、体験してみようと考えました。そのために具体的には、
①被害の大きかった地域に実際に出向いて学ぶこと。
②その見聞を自分のこととして記憶に留め、伝えていく機会を得ること。
を目的にしようと立案。企画されたのが今回のイベント「じしんをしるたび」でした。「地震」をとおして「自身」を学ぶ旅。自分たちの近くで起きた大震災を過去のこととして捉えるのではなく、未来のことにつなげる意味合いも含まれていました。
 
 実は、2023年5月20日(日)に、福島市あづま総合運動公園メインアリーナでは、全国から集結した500人のチェリストたちによる「2023ふくしまチェロ・コンサート」が開催され、その翌日には、福島県内の浜通り、中通り、会津・喜多方地区の7コースで数ヶ所ずつを回るキャラバンコンサートも開かれていました。被災地域の人たちに寄り添う中で、チェロアンサンブルを通しての演奏活動をボランティアで実行していたのです。その実行委員会の一人として活躍されたのが、福島市在住のチェロ科指導者、井上弘之先生でした。その際の体験(道の駅なみえでのコンサートや震災遺構・請戸小学校の見学など)を東北地区の指導者会議の折などで報告されたことがきっかけとなり、今回の企画につながりました。準備を進めてこられた福島・宮城で教室を持つヴァイオリン・チェロ・ピアノの各科の指導者が、お揃いのTシャツ(TONE HAS THE LIVING SOUL=音に命あり)を着て、手作りのコンサートを作り出す姿は、とてもハートウォーミングな気持ちを高めて行きます。
 

「道の駅なみえ」のロゴ

 コンサート会場となった「道の駅なみえ」は、福島県沿岸部の「浜通り」と呼ばれるエリアにあり、津波の大きな被害を受けたところでもあります。しかし、この「道の駅なみえ」の誕生がそのまま復興のシンボルとなり、かつての賑わいを感じられる重要な拠点となっていることは間違いありません。昨年訪れた時よりも、さらに施設は充実し、取り扱われている新鮮な野菜や海産物、オリジナル商品などの充実ぶりは目を見張るほどでした。

→「道の駅なみえ」公式サイト

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 その「道の駅なみえ」の大会議室でのリハーサルも順調に進み、いよいよ本番です。まずは、11時開演に先立ち、「道の駅」正面玄関前のロビーではプレ・コンサートが始まりました。曲目は、ピアノ科生徒による次の2曲と、ヴァイオリン科の小さな子どもたちによるキラキラ星変奏曲でした。
10:45〜プレ・コンサート
  1. ピアノ演奏 トルコ行進曲(モーツァルト)
  2. ピアノ連弾 「小組曲」よりバレエ(ドビュッシー)
  3. キラキラ星変奏曲(鈴木鎮一)
 ふらりと入ってこられたお客様たちが、立ち止まって子どもたちの演奏に耳を傾けてくださいました。「タカタカタッタ」のリズムで登場したヴァイオリンの子どもたちは歩きながらの演奏も披露。お客様も笑顔になる素敵なパフォーマンスになりました。
 
 そして、舞台は大会議室へ。いよいよ本番コンサートです。飯塚大先生の指揮で、以下の曲を演奏しました。
 
11:00〜星をつなぐコンサート
会場 道の駅なみえ大会議室(福島県双葉郡浪江町大字幾世橋字知命寺60)
第1部 ヴァイオリン、チェロ、ピアノによる名曲アルバム
  1. メヌエット(バッハ)
  2. ユーモレスク(ドヴォルザーク)
  3. 2つのヴァイオリンのための協奏曲二短調より第1楽章(バッハ)
  4. 亡き王女のためのパヴァーヌ(ラヴェル)
  5. 白鳥(サン=サーンス)
  6. ダンス・ラスティック(スクワイヤ)
  7. ワルツ(ブラームス)
  8. むすんでひらいて、こぎつね、ちょうちょう(外国民謡)
  9. キラキラ星変奏曲(鈴木鎮ー)
 
第2部 ご一緒に歌いましょう
  1. 浜辺の歌(成田為三)
  2. 「となりのトトロ」より「さんぽ」(久石譲)
  3. 請戸小学校校歌(渡邊義章)
 
 演奏曲に応じて、出演する子どもたちの降り番、乗り番が変わりますが、リハーサルで段取りは確認済みでしたので、スムーズに流れて行きました。外の駐車スペースからも自由に出入りできる環境でしたし、雨もやみ、曲が進むにつれ、少しずつ立ち止まるお客様も増えてきました。道の駅のイベント取材に訪れていた地元の放送局もしっかり映像を収録されていたようです。
 
 第2部の、お客様との合唱では、少し恥じらいがあったのか、あまり大きな声での合唱にはなりませんでした。この辺りは合唱をリードする進行役が用意されていると安心して歌えるかもしれませんね。それはともかく、最後の「請戸小学校校歌」はとても素敵な校歌で、一緒に歌っている方もいらっしゃいました。その歌詞「海近い 平和な土に 厳と立つ われらが母校」の一節は、特に心に刺さりました。
 →「請戸小学校校歌」楽譜

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午後 震災遺構・請戸小学校の見学
 
 昼食後、二つのグループに分かれ、「道の駅なみえ」からバスで10分ほどの「震災遺構・請戸小学校」を見学しました。実際に津波が押し寄せた高さが外壁に図示されていたり、重たいはずの金庫がその姿を変えるほどに倒れていたり、校舎内のそれぞれの場所で凄惨な姿が残されていました。卒業式の準備を進めていたという体育館の床がべこべこに波打っている様子も肉眼で確認できました。
 
 一つひとつの場所について、元はどういう場所だったのか、ボランティアガイドの女性による丁寧な語りで伝わってきました。そして、校舎の裏側に回ったところで、大震災当日の請戸小学校の子どもたちや教職員たちの動きには見事な連携プレーがあったことがわかりました。目の前に見える太平山への一斉避難で、山の入り口に迷ってしまった時も、小学4年生の男の子が知っていた道に行くことを先生たちがとっさに決断し、誰一人失うことなく、全員が避難できたというのです。
 

絵本「請戸小学校物語」

 この日、見学の皆さんに配布された絵本「請戸小学校物語」の最終ページは、「あなたにとっての太平山はどこですか?」で締め括られていました。日頃からの防災意識を高めることはもちろんのことですが、さらには互いを信頼し合う心のあり方、普段の人間関係が問われているようにも感じました。

 今回、参加された指導者、保護者、そして生徒の皆様の感想をこの記事の一番下に順次掲載して行きます。また、今回のような取り組みは、今後も2回、3回と継続していくことも、指導者の間で検討されているとのことです。
 
 最後にご参考までに、震災遺構・請戸小学校が作成したインタビューサイトをご覧ください。当事者たちのインタビューに心が奪われます。
→震災遺構・請戸小学校公式サイト


指導者の皆様の感想

 
塚本彩央先生(ピアノ科)
 コンサート本番の日は生憎の雨でしたが、前日の練習成果を発揮しようと生徒のみなさんが集中してのびのびと気持ちよさそうに演奏している姿が印象的でした。請戸小学校の校歌を演奏した際には、演奏に合わせて校歌を口ずさむお客様がいらっしゃったことが心に残っています。
 
 演奏のあとは、震災遺構となっている請戸小学校に向かいました。震災当日、教員・生徒全員が避難して生き延びることができた奇跡の小学校として語り継がれている小学校です。かつて町の中心にあった請戸小学校。周りはすべて津波によって流され、ポツンと当時のままの姿で小学校だけが残っている光景に大地震、大津波の脅威を感じました。
 
 実際に語り部の方のお話をうかがい、津波の被害の痕跡を目の当たりにすると胸が締め付けられる思いになり簡単に言葉に表現できないものがありました。
 
 震災当時、私は国際スズキ・メソード音楽院に在籍し、松本で暮らしていました。地元である仙台市の様子はテレビを通して知るしか手段はなく、次々と映し出される目を疑うような凄惨な光景に、言葉を失ったことを今も思い出します。両親と連絡がついたのは4日後のことでした。
 
 あれから時は流れ、親になり、震災を知らない娘が、今回、請戸小学校の一つひとつの展示物を見ては真剣な表情で何かを感じとる姿に、今回の合宿を通して様々な面からよい学びになっていると感じました。同時に、震災を知る今を生きる者として、後世に伝えていくことの大切さを改めて考えさせられました。
 
 被災地の復興をお祈り申し上げるとともに、今回のイベントに関わってくださった方々、そしてたくさんの御支援をいただきました世界中のスズキファミリーの皆様に、心より御礼申し上げます。


菅野由美先生(ピアノ科)
 足かけ2年にわたり、準備してきました。1回目で、まさに手探りでしたので、少しずつ具体化する中で、本会主催の公式のイベントになったり、配信することになったり…多方面からご支援いただき、無事に開催できたこと、感謝いたします。このイベントのベースにあったのは、長年にわたり、生徒さん方を連れて夏期合宿をなさったり、コロナ禍前は老人ホームで慰問演奏会をしたり、ご自身の演奏活動など、ヴァイオリン科の先生方の積み重ねてこられた経験だったと思います。ピアノ科として、いろいろと勉強させていただきました。
 
 今回、ピアノは会場の大会議室にはなかったので、高等科在籍の中学生2人の生徒は電子ピアノでの伴奏で参加しました。ふだん、なかなかそんな機会がないので、アンサンブルの体験をしたことは貴重でした。最初はなかなかみんなの呼吸を感じられなかったですが、短い練習時間の中で、微妙なリタルダンドの表現も合わせることができて、指導者としても嬉しい驚きでした。そのうえ、プレコンサートとして、ストリートピアノでパフォーマンスもでき、音楽がつなぐ時間や空間を喜びとともに記憶できたことは、大切な思い出のひとつになりました。
 
 生徒たちは、震災を知らない世代がほとんどでしたが、またいつ起こるか分からない災害に対して、生き延びる知恵を学ぶことは生命を守るうえで大切なこと。震災遺構の見学や語り部の方から直接話を聞く…そのことは、コンサート開催と同じくらいこのイベント企画の段階から重要に考えていました。その意図を理解して、みなさんとても真剣な眼差しで、胸に迫る津波被害の傷跡を見つめていました。ご帰宅されてからも、ご家族皆さまで話題にすることで、いざという時役立つ知識になるといいなと思います。請戸小学校の周りは、かつては多くの家が立ち並び、にぎやかな子どもたちの笑い声が響いていたのだと思うと、現在の荒涼とした様子に胸が痛みました。その地域の皆様の気持ちをすべて理解できないとしても、想像して寄り添う気持ちは常に持ち続けたいと思いました。子どもたちも、そうであってほしいと願います。

 このイベントは、東日本大震災の折に世界中のスズキの仲間から寄せられた義援金から支援いただいて、実現しました。そんな温かい気持ちを次は他の誰かの元へ…今回の参加者は小学生から、社会人の生徒さんまでいらっしゃり、そんな面からもスズキで学ぶ奥深さを感じ取れる会になったと思いました。


佐々木勲先生(ヴァイオリン科)
 当初、「道の駅」でのコンサートということで不安がありましたが、とても良いコンサートだったと思います。
 
 福島県の生徒さんの参加が多かったので田中洋子先生、折笠先生には大変お世話になりました。また菅野先生、塚本先生にはピアノの生徒さんの演奏、お世話を引き受けていただき、飯塚先生、平澤先生には計画の立ち上げ当初から様々な困難を善処していただきました。そして遠路はるばる手伝いに来て下さった関東地区の松永朋子先生、関西地区の宮原正治先生には心から感謝申し上げます。
 
 震災前の写真を見ると、請戸小学校の周辺は多くの住居があったのに、13年も過ぎた今もまだ荒涼とした何もない荒れ地のままで、心が痛みました。私自身、祖父母たちが住んでいた築百数十年もの家が津波で流されましたので、その時の思いがまたよみがえりました。
 
 あの震災の後、音楽家の道を捨てて医師になった人、逆に医師を辞めて音楽の道を志した人の記事が新聞に出ておりました。医学と音楽はともに人の身体と心を救うものなのでしょうね。私たちはありがたいことに鈴木鎭一先生という偉大な先生に巡り会え「どの子も育つ、環境次第」という考えに導かれ、素晴らし仕事をさせていただいています。そうした様々なことを今回のコンサートでまた思いおこしました。
 
 コンサートに関わったすべての方々に心からお礼を申し上げます。ありがとうございました。


井上弘之先生(チェロ科)
 今回の浪江コンサートのような東北各地区の合同行事は、以前、東北大会として演奏会を行なって以来久しぶりのことだったと思います。しかも今までの演奏会と違って前日集合して練習し、宿に泊まり、次の日バスで移動し、道の駅で演奏するという初めてのことだらけの日程で、それぞれの係を担当された先生方は大変だったと思います。改めて感謝申し上げます。
 
 生徒にとっては、地震や津波など東日本大震災の被害を理解する良い機会だったと思いますし、また一般の方々に自分たちの音楽を聴いていただく良い機会になったと思います。今後も今回の経験を元に、新しい試みに挑戦できたら良いと思います。


平澤敦子先生(ヴァイオリン科)
 今回は昨年の「ふくしまチェロコンサート」のボランティアキャラバンを土台にして、そこに震災遺構見学、語り部の方のお話、前日練習と肉付けをしていった印象。生徒たちは演奏だけでなく、震災について、あらためて考えるきっかけになった人が多く、この目的は達成できたと思います。
 
 運営としては、先生方がそれぞれに忌憚ない意見を出し合えたことにより、自然に役割分担ができて、うまく乗り切ったと思います。配信の先生方の力はとても大きい。プロ並みの編集と配信力で被災地も喜ばれるでしょう。撮影についてはどこも、好意的に許可が得られました。
 
 遠路はるばる、超多忙なスケジュールの中、当日日帰りの先生も遠距離、車を飛ばしてきてくださった先生もいらっしゃって、感謝の気持ちが大きいです。
 
 今回の意義を考えると、たまたまその場にいた方が足を止めて気楽に聴いてくださる環境が大切だと思います。震災遺構の請戸小学校校歌をプログラムに入れたのはとても良かった。実際に歌いながら笑顔で聴いてくださる方もいらっしゃいました。もう少し現地の方が足を運んでいただくようにするにはどのようにしたらよいか、と個人的に思います。
 
 両日とも大雨で運搬や移動は大変でしたが、震災遺構見学の頃には雨も上がり、涼しくて良かったと思います。次回については、参加者の感想に耳を傾けて、指導者それぞれの反省を活かしてより良いものにできればと思います。


折笠友紀先生(ヴァイオリン科)
 都合により、現地へお伺いできませんでしたが、生徒さんも様々な地域のお教室の生徒さんと交流する機会となり、また現地での請戸小学校の見学では、語り部さんのお話がとても印象に残ったそうで、おうちに帰ってから、津波がおうちにこないか心配していたようです。


遠藤初枝先生(ヴァイオリン科)
 道の駅でのコンサートということで、スズキをまったく知らない人にも聴いていただけるとても良い機会でした。ベビーカーを押しているお母さんが、「懐かしい、ママも昔習っていたんだよ」と言って、お子さんと一緒に1曲聴かれて言ったのが印象的でした。
 
 普段、震災を思い出すことも少なくなり、何かきっかけがないと見学することもなかったので、良い機会をいただいたと思いました。ガイドさんのお話がわかりやすく、子どもたちの何気ない質問にもすぐ答えてくれていて、素晴らしかったです。(防災や避難については)日頃から考えておくこと、できる限り備えておくことが大切だと感じました。


田中洋子先生(ヴァイオリン科)
 ホールでの発表会とは雰囲気が違って楽しく、適当な緊張感を持って弾いていたように思います。お客様の中には、小さなお子さんがリズムに合わせて踊っていたりして、会場の雰囲気が良かったです。請戸小学校校歌の時は涙ぐむ方が何人もいらして、感動しました。
 請戸小学校の見学で、語り部さんをつけたことはとても良かったです。以前、何度か行きましたが、伝わり方が全然違いました。


飯塚 大先生(ヴァイオリン科)
 ニュースを見ると、連日のように不幸な災害に関するニュースが流れてきます。こうした情報を目にすると、13年前のこととはいえ、東日本大震災のことを思い出します。同時に、あの時に国内のみならず、世界中のスズキの仲間の皆様から受けた支援もまた忘れることはできません。
 
 私たちが今こうして時間をかけて少しずつ立ち直り、生徒さんたちと元気に活動している姿を映像を通じて世界中にご報告することができれば幸いです。
 
 英語に ”Pay It Forward“ というアイディアがあります。自分の受けた恩恵を、それを与えてくださった方に直接でなくとも、誰かにバトンのように受け渡し、その連鎖を拡げていく行為のことです。本来の形とは少し異なりますが、我々が浪江町を訪れたことがきっかけとなり、その記録をご覧になった皆様が、また被災地を支援することに繋がるとすれは、それは望外の喜びです。
 
 現地には、3歳のお子さんも参加されました。事前にご家族が丁寧に説明してくださっていたのか、震災遺構の請戸小学校を見学した際にはその悲惨な状況を彼なりに理解し、ご家族に抱きかかえられながら疑問点を質問し、さらに理解を深めている姿がとても印象的でした。またそれほどのインパクトが請戸小学校にはありました。
 
 このイベントは今後、宮城、岩手と続けていこうと思っております。また新しい土地で、ペイ・イット・フォワードできればと思っております。


 

参加した子どもたちの感想

 
チェロ科 
 道の駅に何気なくいらした方が、足を止めて聴いてくださったのが、とても印象的でした。「歌を一緒に歌いましょう」では、歌ってくださる方もいらっしゃったのが、とてもうれしく思いました。震災当時、私は小学5年生でした。内陸の方だったので、津波がどれだけ恐ろしいものか、当時は知らないことがありました。大学生になり、大人になって、いろいろなことを学び、今回の見学を通して、次の世代にどのように伝えるかが改めて大切だと感じました。
 また、久しぶりの合宿で、仲間たちと一緒に演奏を行なうことができた貴重な体験でした。震災については、遺構を通して、イレギュラーな時に普段の常識が通じないということが印象に残ったため、まわりの人にも共有していきたいなと思いました。


ヴァイオリン科 中学2年
 郡山市のスズキの仲間とはグループレッスンで会っていますが、他の市の皆さんとは会ったことがなく、スズキの仲間がこんなにいるんだと知ることができ、また一緒に演奏したいと思いました。コンサートはたくさんの人たちに見ていただき、嬉しかったです。震災の怖さを知ることができました。請戸小学校の被害がそのまま残されていて、怖かったです。


ヴァイオリン科 小学6年
 コンサートを聴いてくださった方から、拍手をもらえて、嬉しかったです。請戸小学校には、以前、学校の学習で来たことがありましたが、また来られてよかったです。震災前の浪江町の状況と、震災後の復興の状況などがわかりました。僕は、震災時、生まれていなかったけれど、浪江町に来たことで、震災でどんなことがあったのかを知ることができました。いざとなれば自分の意見で進むことも大事だと思いました。また次回が楽しみです。


ヴァイオリン科 小学6年
 みんなのレベルが高くて、私もがんばろうと思いました。母と祖父の母校の校歌を弾けて良かったです。これからもたくさんの人の前で活躍していきたいです。


ヴァイオリン科 小学6年
 知った人としか合奏する機会がなかったので、新鮮味があって楽しかったし、ぜひ、またやってみたいです。お客様が立ち見までして聴いてくださったことが印象に残りました。聴きに来て良かったと思える演奏をこれからも届けたいです。請戸小学校を見学して、自然災害の恐ろしさをより深く知ることができました。そしていざという時の行動力は、とても大事だと感じました。今回のイベントに参加して気づいたことを、自分の演奏に活かしていきたいです。そして、自然災害の恐ろしさ、防災の大切さをもっと周りの人たちに伝えたいと思いました。


ヴァイオリン科 高校1年
 とても新鮮で楽しかったです。ドッペルなども人数が多くて、音に厚みがあったように感じられ、弾いていて楽しかったので、またの機会に他県の人と合奏したと思いました。スズキ・メソードで習っている人でヴァイオリン以外の楽器の人に会ったことがなかったので、チェロやピアノの曲も印象に残っています。小さい子たちもとても可愛いのですが、同年代の人もたくさんいて、楽しかったです。


ヴァイオリン科 高校3年
 いつもの人たち以外ともお話しできたり、たくさん曲を弾くことができ、楽しかったです。また機会があれば、参加したいです。通りすがりの方が立ち止まって聴いてくださったこと、曲を一緒に口ずさんでいる人もいて、嬉しかったです。音楽は一つの言語みたいなもので、誰とでも仲良くできるきっかけを作ることもできます。まだまだ震災の傷跡は残っていて、元には戻らないと思いました。機会があれば、またこのようなイベントに参加し、震災というものを伝えていきたいと思いました。


チェロ科 
 貴重な体験ができ、楽しかったです。意外と多くの観客が集まってくださり、最後まで聴いてもらえました。災害の脅威と防災教育の重要性を再認識し、次世代に教訓を伝えることの大切さを強く感じました。日頃から防災意識を高め、緊急時に冷静にかつ迅速に行動できるよう準備をしておくことを心がけようと思います。


ヴァイオリン科 小学1年
 みんなといっしょにひけて、うれしかった。もっといっぱいれんしゅうしたいとおもいました。つぎはぜったいパバーヌをひきたいとおもいました。じしんとつなみとげんぱつじこがこわいとおもいました。でんきをたいせつにつかいたい。つなみがきたらヴァイオリンをひけない。いま、ヴァイオリンをひけてしあわせです。Tシャツがとてもきにいりました。


ヴァイオリン科 小学1年
 メヌエット第3番をいっしょにひけてよかった。つなみの力はすごいとおもった。たいいくかんのゆかがおちていたり、まるたがひっかかっていたりして、びっくりした。みんなやさしかった。


ヴァイオリン科
 本番前日の1回だけの練習で合奏できるのは、同じ教本とシステムで学ぶスズキ・メソードの特色だと思いました。道の駅を訪れていた一般のお客様にも演奏を聴いていただき、良かったです。ガイドの方のお話を伺って、自分の母校が一瞬で廃墟になり、心の準備もないまま閉校になってしまった請戸小学校の皆様に思いを寄せました。防災に意識を持ち、日常の幸せに感謝したいです。


ヴァイオリン科 小学1年
 いろいろなきょくをひけて、たのしかったです。チェロのダンスラスティックがかっこよかったです。おきゃくさんにきいてもらえて、うれしかったです。またみんなでえんそうしたいです。大きなじしんとつなみで、がっこうのすがたがかわってしまった。じしんがおこったときに、うけど小学校のことをおもいだすとおもいます。つなみがこわいものだとわかったので、じしんとつなみがきたときにきをつけます。


ヴァイオリン科 小学3年
 いっしょにえんそうして、たのしかった。キラキラ星でこうしんしたとき、とてもたのしかった。いっしょにれんしゅうして、せんぱいと土湯おんせんにはいったことが、心にのこった。とても大きなつなみで、てつのドアでもまげてしまういりょくにおどろきました。自分で自分のいのちをまもって、たすけあいをしながら、ひなんする心をもちたいとおもいます。


ヴァイオリン科 中学2年
 はじめはとても緊張したけど、みんな、優しくて楽しく合奏することができました。また、初めて演奏を拝見する方々の姿を見てとても勉強になりました。「ドッペル」で少しもたついてしまったのですが、さんぽや校歌をいきいきと演奏することができ、とても嬉しかったです。また校歌を演奏したあとにとても嬉しそうにしている方がいて、参加して良かったと思いました。まず、こんなに海が近い学校があるのかと驚きました。海がとても近いのに、全員助かったと聞き、とっさの適確な判断が生死にかかわるのだということを深く理解することができました。 初めて会った方々と一緒に演奏するのは良い刺激であったし、とても嬉しかったです。そう思えたのは声をかけてくれたかのお陰なので、また機会があれば私もがんばってみようと思います。大変な思いをした方々などの誰かに届ける演奏は、すごく意味があるものだと思うので、何かを誰かに届けることを忘れないようにしたいです。


ピアノ科 中学2年
 ヴァイオリンやチェロのみんなと演奏することができ、とても楽しかったし、 良い経験になりました。 私が普段ピアノで弾かない曲をたくさんきくことができて良かったし、全部きれいな曲だと思いました。「さんぽ」のときにみんなが元気よく歌っていたので嬉しかったです。少し緊張したけど楽しいコンサートになりました。みんなで一つになって楽しい時間でした。 請戸小学校を見学して、改めてすごい大きな被害があったことが分かりました。また当時の先生や生徒の判断が良かったため、全員無事だったのですごいなぁと思いました。津波の影響で教室や教員室などがなんにもなくなってしまったことがわかりました。 今回のイベントではスズキのみんなといろいろな活動ができ、請戸小学校も見学することができたので、これからもみんなと演奏したいなとぁ思いました。またこのような機会があればぜひ参加したいです。土湯温泉もきもちよく、ホテルも良かったです。


ピアノ科 中学2年
 あまりヴァイオリンやチェロの人と合奏をしたことがないので、1回の目練習のときは、少し緊張しましたが、その後はきれいなヴァイオリンやチェロの音といっしょに合奏ができてとても楽しかったです。 たくさんの方々が聴きにきてくれてよかったです。有名な曲をたくさん聴くことができて、心を落ち着かせることができ、みんなが一生懸命ひいていたのが印象に残りました。これからもヴァイオリンやチェロやピアノをたくさんの人に聴いてもらいたいです。 実際の被害の様子が分かる、請戸小学校を見学して、災害の恐ろしさを感じることができました。自分が住むところもいつくるか分からない災害のために、今日、見学して学んだことえお心にのこしてこれから生活していきたいです。 初めは少し不安や緊張があったけど、小さい子たちや先生方みんなで力をあわせて1つの曲を作ることができてとても楽しかったです。良い思い出がつくれて楽しかったです。


 

参加した保護者の皆さんの感想

 
ヴァイオリン科 小学6年 母
 私の地元、浪江町で演奏できる貴重な機会と思い、参加しました。娘自身、皆さんのレベルが高く、もっともっと練習していろいろな曲を弾きたいと思ったようです。コンサートホールなどなく、ヴァイオリンの演奏会などまったくない小さな町で、みんなで音を奏でることができて、感慨深いものがありました。特に、私の母校、請戸小学校校歌は心に沁みました。
 震災で何もかもなくなり、久々に訪れても思い出を見つけられない場所になっていた浪江町。今回のコンサートで思い出ができました。家族一同、貴重な経験をできたこと、心より感謝しております。皆様から心を寄せていただき、ありがとうございました。


ヴァイオリン科 小学6年 母
 他の支部の方と演奏する機会がなかなかないので、貴重な体験となりました。初めて会った人たちとたった1日練習しただけで、アンサンブルができる子どもたちの力はすごいと思いました。地元の方たちも、いろいろな年齢の方たちが耳を傾けてくださっていて、嬉しかったです。請戸小学校の見学では、わかっていたつもりで知らなかったことがたくさんありました。自分で考えて行動することが大切だと、改めて気持ちが引き締まる思いがしました。もっといろいろな活動ができて、地域の方とも触れ合えれば良いなと思いました。


ヴァイオリン科 小学1年 母
 初めて会っても同じ教本で練習しているので、すぐに合わせて弾けて、素晴らしいと思いました。子どもたちそれぞれが真剣に弾いていました。地震があった当時を知らない娘です。参加の前に絵本で震災のこと、原発事故のことを読んで話して参加しました。実際に小学校を見学して、幼いながらに考えることがあったようです。私も思わず涙があふれ出てしまう場面がたくさんありました。これからも残していただき、私たちが学ぶ場にしてほしいです。仕事や家事、子育てが大変なことも忙しいと思うことも、本当に幸せなことだと心から想いました。忘れずに過ごしたいです。


ヴァイオリン科 小学1年 父
 みんな楽しそうに演奏していました。(見学は)刺激になりました。知識として知っていることと、現地で実際に見るのでは違うと感じました。子どもは子どもなりに考えていたようです。今後もできるだけ多くの経験をさせたいと想います。


ヴァイオリン科 小学1年 母
 娘は演奏していて弓があっていることを感じたらしく、みんなと一緒に弾けて楽しかったと言っていました。避難した児童や先生が全員無事で良かったです。他の学校では避難がうまくいかず、亡くなった子どもたちがいたと思うと、心が痛いです。今後、子どもがあり得ない危機に遭遇した時に、人に従うだけでなく、自分で考えて行動してほしいと想いました。


ヴァイオリン科 小学1年 父
 初めて会った生徒たちと合奏して、刺激になったら良いと感じました。請戸小学校の校歌の演奏と一緒に歌っている人たちがいたことが印象に残りました。震災前にあった日常が一瞬でなくなったことに怖さを感じました。


ヴァイオリン科 幼稚園年長 小学1年 母
 同年代のお友だちと演奏できて、楽しかったようです。また、お友だちの演奏を聴いて、自分ももっとがんばろうと思えるようになったみたいです。良い刺激になりました。請戸小学校の校歌の時に、涙ぐんでいる方がいらっしゃいました。地元の曲を演奏することで、思いが伝わる演奏になったのかなと思いました。3歳の息子が、「津波で流されてかわいそうなので、僕が工事して助けてあげたい」と言っていました。同じ福島に住んでいて、「浪江地区はひどかった」と聞いてはいたものの、実際に見るとより震災の悲惨さが伝わってきました。こんなにひどかったとは思っていませんでした。近年、災害が多くありますが、自分は大丈夫だと思ってしまっていました。日常生活の大切さや、震災などの非常時は自分たちと無関係ではなく、いつ起こるかわからないということを伝えたいと感じました。津波だけでなく、あらゆる災害に対しても事前に備えておくことが大切だと伝えたいです。このような素晴らしい機会をありがとうございました。


ヴァイオリン科 3人の子の母
 夏期学校やいつもの合同レッスンなど、スズキの仲間たちと合奏する機会が多いので、あまり緊張せず演奏していました。年齢を問わず同じ曲を演奏する機会をいただけて、楽しかったようです。東北地区はヴァイオリンやチェロのコンサートを行なう機会があまり多くないと思いますので、今後もっと一緒に演奏できる場が増えると良いと思いました。


ヴァイオリン科 中学2年 母
 同じ教本で同じ曲を習い、一緒に弾いてみたら弓使いなどが同じだということに感動いたしました。 娘が嬉しそうに「ご高齢の方が請戸小の校歌の後、笑顔を見せていただいた」と話していて、参加して良かったと思いました。 咄嗟の判断の大事さと、日頃からの防災の大事さを感じました。家族での防災への共有とまずは自分の命を守ることの大事さを伝えたいです。