250927-23.jpg 250927-26.jpg 250927-25.jpg 250927-24.jpg 250927-6.jpg 250927-7.jpg 250927-8.jpg 250927-9.jpg 250927-31.jpg 250927-32.jpg 250927-33.jpg 250927-10.jpg 250927-11.jpg 250927-34.jpg 250927-30.jpg 250927-35.jpg 250927-12.jpg 250927-13.jpg 250927-36.jpg 250927-14.jpg 250927-15.jpg 250927-16.jpg 250927-17.jpg 250927-18.jpg 250927-19.jpg 250927-20.jpg 250927-21.jpg 250927-22.jpg

三春交流館「まほらホール」とともに歩んだ演奏活動の頂点、
その歴史的な時を刻んだ三浦章宏さんと東 誠三先生のDuo Recital

 

 9月27日(土)に福島県三春町にある三春交流館「まほらホール」で開催された三浦章宏さんと東 誠三会長とのデュオ・リサイタルは、お二人にとっても、またホールにとっても、そして両者をつなぐ三春交流館運営協会の皆さんにとっても、格別な想いに溢れたコンサートでした。
 

最初の演奏会チラシ①

 2003年のホール開館前に、縁あってホールの音響テストを担当されたヴァイオリニストの三浦章宏さん。あまりのホールの響きの良さに驚き、スズキ・メソードのテン・チルドレンツアー以来、半世紀以上にわたり盟友の東 誠三先生を伴って、「三浦章宏ヴァイオリン・リサイタル」を2003年4月24日(木)に開催。まさに、ホールの柿落としとなりました。その時の1曲目が今回と同じ、ヴィターリの「シャコンヌ」でした。また、同時に演奏されたクライスラーの「美しきロスマリン」は、9月27日のコンサートでは、アンコール曲として演奏され、みごとに「まほらホール」でのファーストコンサートに帰結する絶妙なプログラミングとなっていました。

最初の演奏会チラシ②

 2003年以来、クラシック音楽に造詣の深かった三春町元町長の伊藤寛さんとの繋がりが二人とも深く、三春町を訪れるたびに、懇親を深めあい、ホールへの様々なアドバイスやアイデアの提供も相談しあったと言います。惜しくも、今年1月に亡くなられた伊藤さんが願われていたのは、「二人で弾くヴィターリのシャコンヌをもう一度聴きたい」でした。それに応え、今回、追悼の意を込めた演奏をされたことは、大変意義深いものと感じます。ちなみに三浦さんのステージでの立ち位置は、最初の音響テストで確認した「ここがベストポジション」というお気に入りの場所でした。

 劇的で荘厳、重厚な和声と高揚感のある変奏が連なり、聴衆のハートをグイグイ引き込むようなこのヴィターリの「シャコンヌ」で、9月27日の聴衆は、いっぺんに魅了されたのです。
 
 曲間に挿入されたお二人のトークもこのホールならではの親密な空気を醸し出すのにぴったり。何度も録音を重ね、コンサート活動を展開してこられた二人だからこその地元に根ざした活動の集大成にも感じられました。
 
 そして、東先生の定評あるショパン、さらには今年生誕150年となるラヴェルの作品も、東先生お気に入りの「まほらホール」のスタインウェイで、拝聴することができました。三浦さんのもう一つの「バッハ=シャコンヌ」も壮大な世界に没入する感覚を味わうことができました。
 
 さらに、この日は、二人によるベートーヴェンのピアノとヴァイオリンのためのソナタ全集の最後を飾る第3弾のCD発売日でもありました。これまでの第1弾、第2弾も含め、すべてこの「まほらホール」で次のような日程で収録されてきました。
・第1番、第6番、第9番「クロイツェル」:2020年6月18日〜20日収録
・第3番、第4番、第5番「スプリング」、第8番:2022年6月27日〜29日収録
・第2番、第7番、第10番:2024年9月10日〜12日収録
 サイン会では、長蛇の列ができたのは言うまでもありません。
 →CDの詳しい内容はこちら
 
 第3弾のCDリリースに合わせて、二人が演奏したベートーヴェンの第7番は、聴きごたえ十分でした。冒頭から嵐のような緊張感とドラマ性に満ちていた第1楽章。主題が鋭いリズムで始まり、ピアノとヴァイオリンが対等にぶつかり合うように展開していきました。「ロマン派の先駆け」と評されるのもわかります。対比するかのように穏やかで歌うような旋律を持つ第2楽章では、ピアノとヴァイオリンの親密さが浮き彫りになります。軽快で機知に富んだスケルツォでは、中間部でハ長調の明るさも感じさせました。第4楽章では、激しいエネルギーと緊張感が続き、劇的な締めくくりとなるエンディングは鮮やか。その最高潮に至る演奏に、聴き入ってしまいました。
 
 「録音をしたホールで、その完成盤を初めて聴衆に届ける」というスタイルは、演奏者・聴衆・地域の絆を象徴するものでしょう。今回の全集完成は、二人の演奏家の業績であると同時に、三春町という地域に「ベートーヴェンの普遍的な遺産を刻んだ」文化的イベントとしても、大変大きな意味を持ちます。
 
 一方で、地元の中学生や県立高校の合唱部や吹奏楽を楽しむ生徒さんたちを招いた集客スタイルは、地域のホールとしての願いでもある、将来のクラシックファンの醸成にも大いに役立つものと感じました。
 
 スズキ・メソードの指導者も大阪・奈良・東京・福島から駆けつけ、コンサートを堪能されていました。


 
 マンスリースズキ9月号の記事を拝見し、東先生が大絶賛をされたホールとピアノの響きをぜひ聴きたいと思い、9月27日、福島県三春町「まほらホール」の「特別演奏会」を聴いてまいりました。
 一音一音の響きを大切にされる東先生のピアノの音がショパンの「華麗なる大円舞曲」でホールいっぱいに響いてくると不思議な感覚に陥りました。それは聴こえてくるのではなく、温かでまろやかな音に我が身が包み込まれるような不思議な感覚でした。「いつまでもこのままでいたい」と思う心地よさでした。響きの良いホールはいろいろありますが、この包み込まれる感覚は初めての感覚でした。
 プログラム最後のベートーベンの「ヴァイオリンソナタ第7番」では、しなやかなヴァイオリンの音とピアノの音が溶け込んでいくような絶妙なハーモニーを楽しむことができました。
 演奏会終了後に地元三春町の方が、「2003年のこけら落としの演奏会以来、毎回家族全員で聴きにきています。母は90歳を超えました。今日も車椅子で連れてきました。音楽はわかりませんが、聴いていると癒されて、涙が出てくるのです」と、福島訛りでお話しされているのを聞いて、音楽本来の姿がこの三春町にはあるのだということを感じました。
 またここを訪れたいと強く思いました。

関東地区フルート科指導者 宮地若菜

 
 三浦章宏さんとは1968年のテン・チルドレンツアーで一緒にアメリカに行きました。とても可愛く元気に走り回っていた記憶があります。
 三春の「まほらホール」に来てくださるようになって、ほぼ毎年演奏を聴かせていただいています。ここ数年、特に楽器とホールが一体化してきたような感じがして、音量、音色ともにとても素敵になり、ファンの方も増えました。東先生との共演はいつも素敵なプログラムで楽しみにしています。
 今回もダブル「シャコンヌ」とベートーヴェンの「ソナタ7番」という贅沢なプログラムで演奏者自身のお話を交えた暖かい雰囲気のコンサートでした。私の自宅からは車で30分という恵まれた場所に来てくださるなんて夢のようです。これからも応援していきます。

東北地区ヴァイオリン科指導者 田中洋子
 

三春町交流協会の皆さんと