8時15分 ヒロシマ 父から娘へ
ぜひ見ていただきたい映画です 

 

 1945年8月6日、広島。至近距離で被爆した父の壮絶な体験を、娘の美甘章子(みかもあきこ)さんが長い時間をかけて聞き取り、2013年英語で出版。翌年、日本語版で執筆・出版された「8時15分 ヒロシマで生き抜いて許す心」(講談社エディトリアル)を原作として、2020年に映画化された作品(監督:J.R.ヘッフェルフィンガー)に、関西地区ヴァイオリン科、宮原正治先生のかつての生徒さんのお父さん、エディ・⼤野・トオルさんが出演されています。
 
→映画公式サイト
 
 ⼤野さんは、二人のお子さん(大野太陽くん12歳、ひなたさん10歳)を0〜3歳児コース和泉教室を経て、宮原先生のもとでヴァイオリンを学ばせたお父様です。さらに、2013年の松本での第16回世界大会では、ボランティア通訳を務められるなど、スズキファミリーとしてご活躍されています。
 
 数年前に俳優、表現力のコーチング、舞台映像アーティストとしてアメリカ・ニューヨークにご家族で移住されましたが、コロナ禍で宮原先生が着想されたテレワークアンサンブルにも、お子さんたちの出演を積極的に支援されるなど、今もなお親しい交流が続いています。今回の映画では、主人公の祖父という大変重要な役を演じていらっしゃいます。コロナ禍による全米映画館の封鎖でテネシー州のナッシュビル映画祭もリモートになる中、このドキュメンタリー映画「8:15(原題)」がオーディエンス・アワードを受賞し、広島国際映画祭にもセレクトされています。
 
 マンスリースズキのために、大野さんからメッセージをいただきましたので、ご紹介しましょう。


 

子どもたちや日本の未来を担うすべての方々に

エディ・⼤野・トオル

 
 このたび、日本でアメリカのドキュメンタリー映画「8:15 (邦題) 8時15分 ヒロシマ 父から娘へ」の全国公開が始まりました。この映画の一部が昨年、75周年広島平和記念式典で紹介されたのをきっかけに、アメリカの映画祭で受賞し、広島県内の学校などで教育題材として今後使用されることも決まりました。
 
 主演俳優の一人として関わっている私自身もいろいろ思いがありますが、この機会に若いアメリカ人たちが制作した映画を、子どもたちや日本の未来を担うすべての方々にぜひ見ていただければと思っています。
 
  「才能は生まれつきではなく、人は環境によって育てられる」 世界的に有名だった鈴木鎮一先生の教えに魅せられて、私の相方が生後半年の娘と大阪和泉市の小川恵子先生の0〜3歳児コースに通い始めたのは10年前。その時に出会ったスズキ・メソード新大阪の宮原正治先生にお願いして、その時3歳の息子にヴァイオリンを教えていただくことになりました。その1年後には私自身、松本の世界大会でボランティア通訳もさせていただく機会があり、世界中のスズキの方々との絆に感動したのは、昨日のことのようです。
 

赤い○印が大野さんのお子さんたち

 その後、仕事の都合でニューヨークに移りましたが、家族で松本での夏期学校には毎年帰国し参加させてもらいながら、子どもたちは現在も宮原正治先生、宮原千都先生ご夫妻や友だちとテレワークアンサンブルなどで繋がりながら、お世話になっています。
 

School For Stringsでの大野さんファミリー

 もちろん渡米前にご紹介いただいたスズキ・ニューヨークのSchool For Strings にもフルタイムで通い、6年間が過ぎました。スズキの理念には私自身も俳優として深く共感しつつ、日々少しでも社会のお役に立てないものかと思っておりましたところ、宮原先生から、今回のマンスリースズキでの掲載について、ご連絡をいただきました。

 この映画は、原爆被害者の悲惨さに焦点を当てたものではなく、人は絶望に直面した時、そして自分を困難に落とし入れた者や環境を恨まず、前を見て生き続けた美甘進示 (みかもしんじ)さんの実話で、被曝二世の娘、章子さんが書かれた本「8時15分」が原作です。「回復力」と「許し」のストーリーであり、激動の時代のこれからを幸せに生きるヒントがたくさん詰まっています。そして上演時間も1時間でとてもコンパクトで観やすくなっています。
 
 最後になりましたが、今回貴重な誌面にメッセージを載せていただけることにあたり、スズキ・メソード新大阪の宮原先生はじめ、才能教育研究会の皆様には感謝の気持ちで一杯です。音楽や芸術でますます世界が豊かになり、皆様の心が愛と思いやりの気持ちで満たされることを確信しています。このたびは本当にありがとうございました!