国際スズキ協会(ISA)のオンライン理事会に出席しました。
早野龍五会長による報告

   
 日本時間で2020年10月17〜18日の両日、国際スズキ協会(International Suzuki Association: ISA)の理事会が開催されました。本来であれば、台北で開催の予定だったのですが、コロナ禍により世界各国が厳しい移動制限を課しているところから、オンラインでの開催となりました。
 
 ISAは、「スズキ」の名前と権利を保護し、スズキ・メソードの全世界での発展をはかるため、1983年に作られた非営利組織で、日本を含め、世界各国のスズキ指導者が納入する年会費によって運営され、スズキ・メソードの世界発展に大きな役目を果たしています。
→国際スズキ協会(ISA)

 
 投票権を持つ理事は、
・アジア地区代表(アジア地区スズキ協会 - ARSA)で昨年と今年の議長を務めるLan Ku Chenさん
・日本代表(才能教育研究会の英語名の頭文字を取ってTERIと呼ばれます)で副議長の早野龍五(2021〜2022は議長)
・アメリカ大陸代表(スズキアメリカ協会 - SAA)のPamela Braschさん
・今年からヨーロッパ大陸(ヨーロッパスズキ協会 - ESA)になられたAnke van der Bijlさん
・パシフィック地区代表(汎太平洋スズキ協会 - PPSA)のSimon Griffithsさん
・地域代表ではないmember-at-large(一般理事)として
 Carey Beth Hockettさん、
 新任のChristophe Bossuatさん、
 同じく新任のTherese Wirakesumaさん
の8名です。これに、執行役(CEO)のAllen Liebさんを加えた9名が、理事会の構成メンバーです。
 

 昨年までの20年間、豊田耕児先生が名誉会長として理事会に出席しておられましたが、今年からは才能教育研究会前会長の鈴木裕子先生が、新たに名誉会長に就任され、理事会にメッセージを寄せてくださいました。
 
ISA理事の皆様

 お元気でご活躍のことと思います。日頃は、世界のスズキ・メソードのために多大なご尽力をいただき、ありがとうございます。心から感謝いたします。

 このたびは、理事の皆様からISAプレジデントにというご依頼をいただきましたこと、大変光栄に存じております。私は、そのような責任の重い立場が務まるのかどうか心配です。ただ、スズキに対する気持ちは、皆様と同じように熱いものを持っております。
 
 スズキ・メソードが世界に広がった素晴らしいことは、伯父鈴木鎮一の理念の素晴らしさとISAの皆様の多大なる熱意であると思います。伯父もどんなにか喜んでいることでしょう。私も、このお話を謹んでお受けし、皆様とご一緒にスズキの発展のために出来る限りの努力を重ねていきたいと思っています。よろしくお願いいたします。皆様にお会いできるのを楽しみにいたしております。

国際スズキ協会名誉会長 鈴木裕子
 

Dear ISA Board members,

I hope you are all doing well.
I am grateful to all of you for your continued efforts for the Suzuki Method of the world. I would like to thank you from the bottom of my heart.
It is a great honor for me to be asked to serve as President of ISA. I am a little anxious to take on such a distinguished position, but I can say that my feelings for Suzuki are just as passionate as yours.
I think that the Suzuki Method has spread around the world not only because of the great philosophy of my uncle, Shinichi Suzuki, but also thanks to the tremendous enthusiasm of all ISA members. Shinichi sensei would be very happy.
I respectfully accept the position of ISA President, and I will do my best to work along with you for the development of the Suzuki Method. Please continue your kind support.
I look forward to the day when we can meet again.


Sincerely,
Hiroko Suzuki  

 各国代表からの報告、楽器科委員会からの報告など、毎回の議題に加え、今回は、「愛に生きる」の多言語への翻訳・出版の方針、指導者養成制度の各国間での比較と、国境を越えてオンラインレッスンを行なうことの扱い、幼児教育のあり方(日本の0〜3歳児コースに相当するもの)、などが議論されました。
 
 そして、今年の重要な議題の一つが、コロナ禍中での指導者養成のあり方でした。議論の末、理事会から各国に向けて、次のメッセージが発信されました。日本では、すでにこの方針で指導者養成が行なわれています。
 

コロナ禍中での指導者養成に関する理事会声明
「現在の状況では、ISAは各地域での指導者育成を維持するための一時的な解決策として、オンラインによる指導を認めますが、対面による個人指導は、スズキの指導者を育てる基礎であり、指導者育成の重要な要素です。テクノロジーは強力なツールではありますが、人と人とのつながりや生きた交流という本質的な要素に取って代わることはできません」
 
Consensus Statement.
In-person, individual approaches to training and mentoring teachers are foundational to the Suzuki Method and are an essential component in Suzuki Teacher Development.
In current circumstances, ISA supports virtual teacher training as a temporary solution for maintaining teaching programs in the regions.
Technology is a powerful tool but cannot replace the essential elements of human connection and live interaction.


上段左から、Simon Griffiths (環太平洋スズキ協会代表)、Therese Wirakesuma (一般理事)、 Allen Lieb(CEO)
中段左から、Christophe Bossuat(一般理事)、Anke van der Bijl(ヨーロッパスズキ協会代表)、 Pamela Brasch(アメリカスズキ協会代表)
下段左から、Carey Beth Hockett(一般理事)、早野龍五(才能教育研究会会長)、Lan Ku Chen(アジアスズキ協会代表)