The 8th Asia Suzuki Music Conference に参加して
中島 顕(東海地区チェロ科指導者)
木曽原基道(東海地区ヴァイオリン科指導者)
第7回が2018年にシンガポールで行なわれており、コロナ禍を経て7年振りの開催でしたが、活気あふれる大会となりました。今回は290名の講師、指導者、生徒、保護者を含み、1,150名の参加者があったそうです。海外からはフィリピンからの参加が最も多く、シンガポール、香港、タイ、マレーシア、台湾、インドネシア、オーストラリアなどから集まり、
講師としてはアメリカからブライアン・ルイス先生、タニア・キャリー先生、キャリー・ホケット先生 ヨーロッパからはマルティン・ルッティマン先生、クン・レーン先生、オーストラリアからは中村あい先生、水島隆郎先生などおなじみの先生が参加され、日本からは中島、木曽原の2人が参加いたしました。
日本では冬期キャンプの経験はなく、まして寒い韓国でのキャンプでしたが、参加の子どもたちからもエネルギーをもらい、また、久しぶりにお元気な韓国スズキ協会の会長Hwang先生にお会いでき、先生の大きな働きによりスズキの関係者以外にも韓国の様々な大学や教育機関からのゲスト講師の方々がたくさん参加されていたことがうらやましく、また印象的でした。
日本の夏期学校より少し細やかな設定で、1月6日の午後からプログラムが始まりました。
レッスン
・クラス別レッスン(小、中)
・テクニッククラス(1~5巻、6~9巻)
・アンサンブルクラス(5グループ)
・各楽器に指導者のためのセミナー
・各講師別マスタークラス
(私、中島は1コマ30分で8コマ受け持ちました)
コンサート
・ウエルカムコンサート
Hwang先生の開会のあいさつの後、参加各国のアンサンブル演奏や各楽器の演奏が続きましたが、韓国の上級生20数名でクライスラーの「中国の太鼓」の演奏がありました。演奏している子どもたちそれぞれからほとばしるエネルギーに一昔前の日本でのテン・チルドレンや各地区での斉奏を思い出しました。これぞスズキ…また日本でも聴きたいと心から思いました。
・ガラコンサート
ガラコンサートはバスで場所を移動して近くの町のプロのオーケストラとの共演となりました。これまたHwang先生の関係でボランティア的に協力いただけたそうです。
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・アンサンブルコンサート
それぞれのグループがアンサンブルの曲を演奏するというよりも参加各国の民族文化や伝統の曲を演奏するのに接してほのぼのとした雰囲気が伝わってきました。左の写真は、韓国の民族衣装をまとっての演奏。右の写真はフィリピンからの参加生徒による演奏です。
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・お別れコンサート
各科それぞれ4日間の成果発表を行ないました。最初はグループレッスンで譜面を見て演奏している生徒がいることが先生方の間で話題に上がっていました。各クラスでそのことを話して、当たり前のことですが、お別れコンサートでは皆、暗譜で演奏しました。
写真は、左から水島隆郎先生(オーストラリア)、中島顕先生(日本)、昨年ご逝去された中村安樹先生(オーストラリア)の次女、中村愛先生(Airena Nakamura先生)、そしてHwang先生。3名の先生方に韓国スズキ協会より功労賞の盾が贈呈されました。(木曽原)
最後にHwang先生の次女でもあり、チェロ科委員長のSunkyung Hwang先生よりメッセージをいただきましたので、紹介します。
「韓国スズキ協会の設立と発展の初期には、数十人の日本の先生方が韓国を訪れ、中には30年以上も訪問を続けていただいている先生もあります。TERI(才能教育研究会)の積極的な支援のおかげで、韓国スズキ協会は繫栄し、スズキ・メソードは韓国にしっかりと根付きました。これまでと同様にKSA(韓国スズキ協会)はTERIとの人的交流と情報の共有が今後も活発に行なわれていくことを期待しております」
今回、私たちも世界中のどこにでもスズキ・メソードがその国の文化の上にしっかりと根付いて発展していることを実感するとともに、この発展途中のエネルギーが、今、私たちには一番必要ではないのかと考えさせられた1週間でした。