1990年代

堤 剛先生による指導曲集の録音。
林 峰男先生を講師として招聘。

 

2014年の季刊誌の「先輩」インタビューで、
当時のことを懐かしそうに語ってくださった
堤剛先生(サントリーホール館長室にて)

 1992年には、現在、世界中で使われているチェロ指導曲集の録音が、テネシーとフロリダのスタジオで行なわれました。チェロが堤剛先生、ピアノが東誠三先生でした。この録音を堤先生にお願いをされたのには、7年前の出会いがありました。それが、エドモントン(カナダ)で開催されたスズキ・メソード第7回世界大会で、マスタークラスとコンサートに出演されていた堤 剛先生のお姿に、参加していた中島 顕先生が高い芸術性を感じられたのです。

 このエドモントンでの出会いをきっかけに、中島先生は「堤先生の演奏で教材の録音をしたい」と国際的なチェロ科の会議で進言されたところ、世界の指導者たちの圧倒的な賛成を得ました。堤先生は、この時の録音をよく覚えていらっしゃいました。「世界中の教室で使われるので、各国の偉い先生たちが、調整室にずらりと勢揃いでした。ヨーロッパでは、そう教えていない、ここはスラーにした方がいいなど、すぐに議論が始まります。指導曲集の後半はチェロのスタンダードな曲が並び、議論になりませんが、初歩の曲、特にキラキラ星変奏曲が一番大変でした。あれほど有名な曲が、あれほど難しいとは思わなかったのです」と2014年の季刊誌の「先輩」インタビューで、堤先生は懐かしそうに応えてくださいました。
 

第24回チェロ全国大会(2012年札幌)で
ご挨拶をされる林峰男先生

 1996年になって、才能教育研究会は指導者養成機関としての国際スズキ・メソード音楽院の充実を果たすため、チェロ科教授としてスズキ・メソード チェロ科出身で日本を代表するチェリストでもある林峰男先生をお迎えしました。林先生は、これから指導者になる人材を育てるばかりでなく、現役のチェロ科指導者の育成にも力を注がれることを念頭に、スズキ・メソード チェロ科の責任者として、引き受けてくださったのです。

スズキ・メソードでチェロを習われていた高円宮
憲仁親王殿下が「第1回1000人のチェロ・コンサ
ート」に3人のお嬢様とご一緒に参加されました

 1998年11月29日、「第1回1000人のチェロ・コンサート」が神戸で開催されました。これは、1995年に起きた阪神・淡路大震災の復興支援と世界平和を祈念して、国内外からプロ・アマチュアのチェリストたちが神戸に集結しました。このコンサートの名誉総裁を務められたのが、スズキ・メソードでチェロを習われていた高円宮憲仁親王殿下でした。2014年10月にご結婚をされた典子様を始め、スズキ・メソードでチェロを習われていた3人のお嬢様とご一緒に参加されました。

「第1回1000人のチェロ・コンサート」には、
スズキ・メソードでチェロを学ぶ生徒や指導者
たち計170名が参加しました

 70名以上の海外からの参加者を含めて、多くの出演者の関心は、小さな分数楽器を持った本会の生徒たちでした。練習の合間に、会場内の各所で、生徒たちは、モデル撮影会のようなたくさんのフラッシュを浴び、スズキチルドレンの存在をアピールしていました。

 
1990年4月22日 第15回チェロ全国大会を長野県県民文化会館中ホールで開催。
1991年5月4日 第16回チェロ全国大会を吹田市文化会館メイシアター大ホールで開催。
1991年 第60回日本音楽コンクールチェロ部門で本会チェロ科出身の菊地知也さんが1位と増沢賞を受賞。
1992年 佐堤 剛先生による指導曲集の録音が、テネシーとフロリダのスタジオで2回にわたり、行なわれた。
1992年4月1日 川手由紀先生が、指導者に認定され、甲信地区に教室を開いた。
1992年9月15日 第17回チェロ全国大会を愛知厚生年金会館ホールで開催。
1993年9月12日 宮田豊先生が、助教に認定され、関東地区に教室を開いた。
1994年11月13日 第19回チェロ全国大会を長野県松本文化会館大ホールで開催。
1995年 第64回日本音楽コンクールチェロ部門で中島 顕先生クラス出身の長谷部一郎さんが1位に。
1996年 チェロ科講師として林 峰男先生を迎えた。以後、現在に至るまで、全国指導者研究会や夏期学校、および国際スズキ・メソード音楽院や各地のマスタークラスで精力的な指導を行なっている。
1996年9月15日 第20回チェロ全国大会を名古屋市民会館大ホールで開催。
1997年5月1日 為貝 豊先生が、助教に認定され、関東地区に教室を開いた。
1997年9月14日 第21回チェロ全国大会をティアラこうとう大ホールで開催。
1998年11月29日 神戸ワールド記念ホールで開催された「第1回1000人のチェロ・コンサート」にチェロ科の生徒50名、指導者20名が参加。アンコールにも、スズキの子どもたち100名(高円宮様ご一家4名様を含む)が参加し、合計170名に。1,013人の記録達成に大きく貢献した。
1999年6月1日 森(現在 小澤)由季野先生が、指導者に認定され、九州地区に教室を開いた。後に東海地区に教室を開いた。