各分野で活躍される方々から、貴重なご提言をいただいた4時間。
報告書として取りまとめ、内外に公開していく予定です。
スズキ・メソード70年の歴史の中で、初となる外部評価委員会を、70周年記念行事の締めくくりとして、4月23日(日)、国際文化会館講堂で開催しました。この70年間に、才能教育研究会が人材育成で果たしてきた成果を振り返るとともに、発足当時からは大きく変わった社会情勢の中で、次世代にスズキ・メソードの理念をどのように伝え、才能教育運動を一層広めていくためには、何をすればいいのか。その指針となる道筋を得るために、様々な分野で活躍される外部評価委員の各先生方から、忌憚のない、そして真摯な意見交換をしていただき、様々なアイデアをいただきました。当日の内容は、後日、『外部評価委員会報告書』としてまとめ、評価結果についてはスズキ・メソードの公式サイトなどで発表する予定です。また、会員向け機関誌でも特集します。今回のマンスリースズキでは、概略のみを速報します。
評価委員として当日、出席されたメンバーは次の通りです。委員長を榊直樹様にお願いしました。
・桂川泰典様 (早稲田大学 人間科学学術院准教授)
・菊川 穣様 (エル・システマジャパン代表理事)
・小島正実様 (毎日新聞社 生活報道部 編集委員)
・小林和男様 (サイトウ・キネン財団評議員)
・榊 直樹様 (東邦学園理事長)
・堤 剛様 (サントリーホール館長)
・米原 徹様 (東レ株式会社 先端融合研究所長)
才能教育研究会からは、早野龍五会長、業務執行理事、理事、監事、事務局長、音楽院校長、顧問が出席しました。
委員会は、おおむね以下のような流れで進みました。
①開会の挨拶
②DVD「未来を奏でるスズキ・メソード」上映
③才能教育研究会70年のあゆみ〜特に人材育成の観点から
④才能教育研究会の組織
⑤才能教育研究会の目的と事業
⑥才能教育研究会の強みと弱みの自己分析
⑦スズキ・メソードのブランド力を高めるために
⑧指導者養成の考え方
⑨国際スズキ協会との関係について
⑩自由討論
様々な分野に多彩な人材を輩出してきたスズキ・メソードの姿を、各科の卒業生数や全国の指導者からの進路調査に基づく、出身大学、職種などのデータで浮き彫りにしました。鈴木鎮一先生が謳った「私たちは、音楽家を育てることを第一の目的とするのではない。良い市民を、立派な人間を育てたいのです」という理念が、音楽教育でありながら、人間教育に重きをおくスズキ・メソードの特徴を表していることを、改めて確認することができました。また、「スズキ・メソードで家族が仲良くなる」という指標も示してみてはどうか、という視点からも意見がありました。
会員数の減少がイベント開催に関係なく、鈴木先生がご存命中から始まっていたことや、指導者の高齢化が進んでいることもグラフなどで確認しながら、意見交換が続きました。若い指導者のところに生徒が少ない現実にも仮説を立て、調査する必要があるのではないか、また、子どもが少なくなっている状況でも拡大している音楽教室があることなどについても言及がありました。
自己分析手法として有名なSWOT分析(Strength-本会に内在する強み、Weakness-本会に内在する弱み、Oppoortunities-本会をとりまく有利な要素、Threats-本会をとりまく不利な要素)を用いた現状の整理も、今の本会の状況を端的に表していました。委員の皆さんからは、活発な意見が提供されました。
最後に早野会長からの締めくくりの発言がありました。「今日は、私たちが進むべき方向に向けて、やっていくべき具体的な提言をたくさんいただきました。ご発言をまずは書き起こし、それに対してみなさんに肉付けしていただき、こちらで報告書としてとりまとめることで十分ではないかと思われるほど、たくさんのお話をいただきました。今回やってみて次はどうするかですが、この結果を踏まえて、中期計画を作るなど、いくつかのことを実施し、その成果を確認していただく上で、3年後くらいにもう一度、この委員会を開催し、あの時の問題点はこういう進展があったとか、まだまだだ、という議論ができればと思っています。いずれにしても報告書をまとめ、内外に公開し、理事会でどのアイデアを実施するかと進めたいと思います。本日は、ありがとうございました」