歴史ある合奏団による記念演奏会が開催されました!
1958年(昭和33年)に結成された「コンチェルティーノ・ディ・キョウト」は、才能教育研究会京都支部(現在はスズキ・メソード京都)のヴァイオリン指導者、故新井覚先生、チェロ指導者、故野村武二先生、そして指揮者の井出章夫先生によって創設された上級生による合奏団です。創立当初からのDNAを今に引き継がれている関西地区ヴァイオリン科指導者の江村孝哉先生から、メッセージをいただきました。
「コンチェルティーノ・ディ・キョウト」が、来たる11月18日(日)、京都コンサートホール小ホールで、結成60周年の記念演奏会を開催します。
歴史を紐解くと、第1回コンサートは、老朽化に伴って改築され、今ではロームシアターとして生まれ変わった旧京都会館が、まだ建設されていなかった1959年(昭和34年)に、祇園会館(現吉本祇園花月)で開催されました。以来、途切れることなく毎年1回定期演奏会を開催し、本年は60周年迎えることになりました。人間で言えば、還暦に当たりますが、この間、様々な出会いがありました。
創立以来、フルートの吉田雅夫先生に始まり、ヴァイオリンのフェリックス・アーヨ、チェロの林 峰男、モーリス・ジャンドロン各氏らの巨匠とも共演。演奏曲目は200曲以上、出演者はエキストラも含めると250名以上になります。合奏団の性格上、毎年巣立っていくメンバー、新たに加わるメンバーがいますが、「コンチェルティーノ・ディ・キョウト」ならではの音、そして音楽を追求しています。
今回は、「コンチェルティーノ・ディ・キョウト」のOGであり、内外で活躍中のヴァイオリニスト、石上真由子さんをソリストに迎え、モーツァルトのヴァイオリン協奏曲第3番などを演奏します。
スズキ・メソードは「才能は生まれつきではない」との鈴木鎮一先生の才能教育理論に基づく教育法で、音楽を通して子どもたちを育てるメソードとして世界的に知られています。その中で、ヴァイオリンやチェロを学ぶ子どもたちにとってアンサンブルの経験は、単に避けて通れないものと言うよりも、人としてこの上ない喜びを与えてくれるものです。このコンサートを通して、お越しくださった皆さまに、私たちの心を伝えることができればと願っています。子どもたちの生き生きとした演奏を生でご覧ください。
結成60周年の記念コンサート、無事終了しました。当日の写真を故新井覚先生の息子さんである新井順さんからご提供いただきましたので、合わせてご覧ください。
11月18日(日)14:00開演 京都コンサートホール小ホール
コンチェルティーノ・ディ・キョウト60周年記念演奏会
【会場】 京都コンサートホール小ホール
【入場料】 2,000円(全席自由)
【指揮】江村孝哉 ヴァイオリン独奏:石上真由子
【曲目】
・モーツァルト:ディヴェルティメント 第11番 ニ長調 K.251
・モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 第3番 ト長調 K.216
・バッハ:管弦楽組曲 第1番 ハ長調 BWV.1066
【主催】 スズキ・メソード京都
【問】 tel.075-661-5830(江村)
1曲目からカーテンコール。長い歴史で初めての体験
指揮・指導 江村孝哉(関西地区ヴァイオリン科指導者)
今回の60周年記念演奏会の準備は、2017年の定期演奏会前から、少しずつ準備をはじめ、卒業演奏会(2018年3月30日)直後から、練習に入りました。60周年ということで、現役ヴァイオリン6名に加えて、6名のOB・OGの参加を得ました。現役の練習は、毎週土曜日19時から21時、9月からは、それに加えて毎週日曜日17時から20時に練習を重ねてきました。
楽譜の準備は、新たなメンバーのために、フィンガリングを記入します。加えて、練習効率をよくするため、ボウイング、ダイナミックスを記入します。でも、練習していくうちに、どんどん変わっていきます。特に、今回は、ソリストとの打ち合わせが1ヵ月前からでしたので、変更点は、かなりありました。
コンチェルティーノ・ディ・キョウトは弦楽合奏団なので、基本的に管楽器の入る曲に取り組むことは少ないですが、今回は、60周年ですので、オーボエ1、ホルン2の加わるモーツァルトのディヴェルティメント第11番、オーボエ2、ファゴットの加わるバッハの管弦楽組曲第1番を選びました。モーツァルトのヴァイオリン協奏曲は、石上さんの希望で第3番を選びました。第4番、第5番との違いは、第3番だけは第2楽章がオーボエ2本ではなく、フルート2本になることです。このフルートは、スズキ・メソード京都フルート科OGの双子のお二人に参加してもらいました。
服装は、前半が協奏曲も入るので黒-黒、後半は60周年ということで女性はカラードレス、男性はまだ昼間でしたが、燕尾服としました。前後半参加のエキストラの方にも、ドレスを2枚待ってきていただきました。
演奏は、かなり良かったという思いがしています。1曲目のディヴェルティメントが終わった時にカーテンコールで、指揮者が再度舞台に出ていきました。私の記憶が正しければ、コンチェルティーノ・ディ・キョウトの歴史で、1曲目にカーテンコールがあったのは初めてだと思います。また、石上さんの独奏は、期待以上の名演奏で、曲の構成、音の繊細さ、どれをとっても、申し分ない演奏でした。オーケストラのメンバーは、同じ教室の先輩との共演で、多くの糧を得たと思います。
「死とはモーツアルトが聴けなくなること」(アインシュタイン)という言葉がありますが、後半のバッハを演奏していて、「死とはバッハが演奏できなくなること」みたいに感じていました。アンコールには、60年前の第1回演奏会の最初の曲、サンマルティーニのシンフォニア第1楽章を演奏しました。
コンサート後に、60周年記念パーティーが開催されました。オープニングでは、珍しく日本酒で乾杯しました(当たり前ですが中高生中心のメンバーはジュースで)。このお酒は、京都伏見の「招徳酒造」の純米吟醸 Pure Dropsを選びました。というのは、招徳酒造は杜氏さんが女性だということで有名で、テレビなどでも再三取り上げられています。この女性杜氏の大塚真帆さんは、スズキ・メソード京都ヴァイオリン科出身で、コンチェルティーノ・ディ・キョウトのOGです。一時期、数年間にわたり、セカンドヴァイオリンの首席奏者でした。OBの壁瀬宥雅氏のお言葉もいただきました。パーティに出席してくださった平山三重子さんは、コンチェルティーノ・ディ・キョウトのゴッドマザーみたいな存在であった中村英子さんのお嬢様で、パーティ出席者の中で唯一、第1回演奏会を生で聴かれた方です。
コンチェルティーノ・ディ・キョウトの次の活動は、2019年4月のスズキ・メソード京都の卒業演奏会です。卒業演奏会では、高等科の卒業演奏は弦楽伴奏、才能教育課程以上の演奏は、管楽器(オーボエ2、ホルン2)に加わっていただいて、オーケストラ伴奏で、モーツァルトの協奏曲などを演奏していただきます。ちなみに、これは1990年から続けています。