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デンマーク国立交響楽団が3月に来日。
スズキ・メソードで育った楽団員たち、
そしてソリストのアラベラ・美歩・シュタインバッハーさんとの
素敵な交流がありました。

オーケストラメンバーとスズキ・メソードで学ぶ子どもたちとの交流
 3月12日(火)、サントリーホール。この日は、初来日となった北欧の名門オーケストラ、デンマーク国立交響楽団の来日最初の公演が開催されました。デンマーク国立交響楽団は、日本で言えばNHK交響楽団のように放送局のオーケストラです。そのため、今回の初来日に合わせて、デンマークの放送局の取材カメラも入っていました。
 ニールセンの「仮面舞踏会」、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第5番「皇帝」、チャイコフスキーの交響曲第5番というプログラムAで演奏される本番前の短い時間でしたが、スズキ・メソード出身のオーケストラメンバー3人と、スズキでヴァイオリンを学ぶ子どもたちとが、サントリーホールの客席で一緒に演奏する交歓風景が展開されましたので、ここで紹介しましょう。
 なお、デンマーク国立交響楽団のコンサート写真は、すべてご提供を受けたものです。©️Rikimaru Hotta
 また、デンマーク国立交響楽団のfacebookでも動画が紹介されていますので、ご覧ください。

Johannes Soe Hansenさん(ヨハネス・セ・ハンセン:コンサートマスター)
 交流の場を作ってくださり、本当に嬉しかったです。子どもたちの演奏(aーmoll)を聴いて、昔のことがすぐに蘇ってきました!ユーモレスクとキラキラ星はすぐに思い出し、一緒に演奏しました。とても素晴らしい時間でした。
 
 当時、LPを何度も聴いて練習する時に聴きたい曲に針を合わせて、その音に調弦をして、という作業を一生懸命やったのを思い出します。グループで演奏した時に、他の子どもたちも揃って同じ曲を弾いたことも印象に残っています。デンマークに鈴木鎮一先生が来られた時にソロのレッスン、そしてグループレッスンを受けました。鈴木先生にお逢いする前は、もっと厳しくて怖い先生かな、と想像していたのですが、レッスンはユーモアに溢れていて面白く、楽しく教えてくれました。いつも優しい笑顔だったのを覚えています。目がキラキラ輝いていました。

Marianne Bindelさん(マリアンヌ・ビンデル:第2ヴァイオリン奏者)
 今日は、キラキラ星を弾く時に、私たちはセカンドヴァイオリンを弾かせていただきました。とっても懐かしくて、楽しかったですね。子どもたちとの素敵な出逢いをアレンジしてくださったこと、心から感謝しております。

 私が習ったのはデンマークに初めてスズキの教室を設立した女性の先生でした。地域でのグループ演奏などで、ハンセンさんとは、もう40年以上!の友人です。鈴木先生には、1979年6月にミュンヘンでの第8回スズキ・メソード世界大会の時に、初めてお目にかかり、レッスンを受けました。その後、1981年にデンマークに鈴木先生がいらした時に、ハンセンさんと同じく、私も楽しいレッスンを受けました。鈴木先生は、すごく早起きで、あまり眠らない人!と聞いて、すごいなぁと思ったことをよく覚えています。

Magda Stevenssonさん(マグダ・スティヴェンソン:ヴィオラ奏者)
 子どもたちと私たちは、お互い言葉を交わすことはできないのに、”音楽の言葉”で年齢も国も越えてこんなに深く交流することができるんだ!ということに本当に感動しました。ありがとうございました。

 私はスウェーデン生まれで、その地域のスズキのヴァイオリンクラスで習うのに、1年も待ちました。そして、待ちに待った初めてのレッスンが「きちんとした姿勢!バランス良く立つこと!」この2つで終わってしまい、シュンとして帰ったのをよく覚えています(笑)。小さかったので、その後のことはそれほど印象に残っていないのに、ワクワクして初めてのレッスンに行ったら”音を出せずに終わってしまった!”ということだけ、とてもよく覚えています(笑)。私はCDを毎日聴いてお稽古しました。そこに日本語があったのを覚えています。
 →横にいらしたハンセンさんとビンデルさんから「僕たちと時代が違うからね。LP~TAPE~CDなんだね」との感想も。


子どもたちと保護者からの感想です。
・コンサートでは、表現力豊かな演奏に感動しました。情熱的な音色や静かな音色など同じ楽器が奏でているとは思えないほどの違いがあり驚きました。私もあのような素晴らしい演奏に少しでも近づけるよう練習に励みたいと思いました。(田中優衣さん 12歳)

・先日は夢のような時間をご一緒させていただけたことに、心より感謝いたします。 デンマーク国立交響楽団の皆様の前に立った娘は、少し緊張した面持ちでしたが、演奏を始めると、何よりその音のきれいな響きに魅了され、子どもたちも立派に、一生懸命演奏を楽しんでいるように見えました。その後、団の皆様と一緒に演奏させていただきましたが、外国の演奏家の隣で弾けたことはとても貴重で、素晴らしい経験となりましたし、娘の自信につながったことと思います。娘が当日のことを日記に記しておりましたので、一部抜粋させていただきます。
「このまえの火曜日にヴァイオリンのコンサートがあり、aモールとユーモレスクときらきら星をひきました。デンマークの人ともいっしょにひいて、ちょっときんちょうしましたがうれしかったです。ホールもとても広くてびっくりしました。またちがうくにの人ともヴァイオリンをいっしょにひいてみたいです!」
 音楽を通じてスズキ・メソードで学ぶ世界の人と交流を持てる喜び知るきっかけになったと思います。本当にありがとうございました。(近藤優衣さん7歳とお母様)

・家族の仕事で海外に滞在する機会も多く、現地で子どもたちがヴァイオリンを弾くと「Suzukiですか?」と聞かれることがしばしばあります。「Suzukiです!」と元気に答える子どもたち。すると「私の先生もそうでした!」と笑顔が返ってきます。世界中に広がる大きなスズキファミリーの一員として、誇らしく、誠に嬉しい瞬間です。
 今回デンマーク国立交響楽団のコンサートマスターはじめ、スズキ出身の団員の方々と子どもたちが一緒に演奏させていただくという素晴らしい機会に接し、遥か北欧の国でもSuzuki Methodが定評ある教授法/教育法として定着していることを知りました。大柄な、いかにもノルマン紳士という風情のコンサートマスターと、小さな子どもたちがリハーサルなしでもキラキラ星やヴィヴァルディのaモールで、息を合わせて演奏できる! 言葉や文化や年齢の壁を超えて共鳴した瞬間でした。ここに改めて、このたびお声掛けいただきましたご厚意と先生方の熱意溢れる日々のご指導に厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(青井杏樹さんのお母様)

・デンマーク国立交響楽団と一緒に演奏させていただいて、すごく嬉しかったです。特に最後のキラキラ星を演奏する時奏するとき、ハモってくださり、いつものキラキラ星とは少し違う、より素敵なキラキラ星になったと思います。後でコンサートを聴かせていただいて、よりすごいことなんだなと思いました。(森下佳奈実さん10歳)

・このたび、デンマーク国立交響楽団のヴァイオリニスト、そしてヴィオリストの方々と合奏させていただくことができ、大変ありがたく思っております。「キラキラ星変奏曲」からの一曲一曲の練習が、素晴らしい躍動感溢れるステージでの演奏につながっていることを実感しました。娘は特にアンコール曲のコンサートマスターの演奏に聴き入っていました。今回のこの経験は、日々の練習で、もっと美しい音を奏でようという原動力になったのではないかと思います。(森下佳奈実さんのお母様)

・団員の皆様へのお手紙を書きました。
It was fun playing violin. I hope I can play violin with you again. I want to be an orchestra member like you.Your violin was wonderful! Thank you!
 いっしょにバイオリンをひくのはたのしかったです。またいっしょにヴァイオリンがひけるとよいです。わたしもみなさんたちのようにオーケストラのメンバーになりたいです。皆さんの演奏はすごかったです!(上地真理依さん6歳)

・外国の方とヴァイオリンを演奏するのは初めてだったので、とても楽しかったです。他の国の人と音楽を通してつながっていることを感じました。これからもヴァイオリンを続けて、つながっていたいです。(吉田絵麻さん7歳)

・団員の方々が、スズキの子どもたちに会いたいと言ってくださり、とても貴重な経験をさせていただいたことに感謝しております。鈴木鎮一先生の思いが海を越えて一つになっていること、この一つひとつの経験が子どもたちを育てていくのだと改めて実感している次第です。ありがとうございました。(吉田絵麻さんのお母様)

ソリスト・オーケストラメンバーと早野龍五会長らの交流
左から、石川咲子先生、鈴木裕子先生、ハンセンさん、ビンデルさん、スティヴェンソンさん、早野会長、黒河内業務執行理事 1週間後の3月19日(火)、同じくサントリーホール。この日は、デンマーク国立交響楽団の来日ツアー(各地で8公演)のうち、東京公演の最終日でした。演奏曲目はプログラムBで、ソレンセンのEvening Land(日本初演)、ブルッフのヴァイオリン協奏曲第1番、そしてベートーヴェンの交響曲第7番というプログラムでした。上記に登場の皆さんへの注目もさることながら、見事なヴァイオリン独奏をされたアラベラ・美歩・シュタインバッハーさんもスズキ・メソードで学ばれ、松本で鈴木先生やワルトラウト夫人にもお逢いになられた経歴の持ち主でした。指揮者のファビオ・ルイージさんとともにステージに現れたアラベラさんの美しい容姿と醸し出される気品は、そのまま演奏が始まると、さらに美しい音が紡ぎ出され、品の良さを確かに感じさせる素晴らしいひと時となったのです。
 公演終了後、早野龍五会長、前会長の鈴木裕子先生、黒河内健業務執行理事、石川咲子先生らと楽屋にお訪ねし、3人のオーケストラメンバーたち、そしてソリストのアラベラさんとお母様とも親しくお話をさせていただきました。今後は、7月と2020年3月にも来日公演を予定されておられるとのことです。改めてインタビューなどをさせていただく予定ですので、楽しみにお待ちください。