言語脳科学者の酒井邦嘉先生が
英語を脳で「聞く、読む、話す、書く」ためのコツを伝授!

 

PHP研究所 1,650円、電子書籍 1,260円
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 スズキ・メソードとの共同研究や機関誌などでの連載原稿を通して言語脳科学の面白さや奥深さを紹介してくださっている東京大学大学院の酒井邦嘉先生が、「勉強しないで身につく英語」(PHP研究所)という、英語で何かと苦労し続けている私たち日本人にうってつけの本を書いてくださいました。9月27日に出版されたばかりで、早速、少しお安くなるKindle版(電子書籍)で読み進めてみたところ、膝を叩くほど、合点がいく内容ばかり。音楽を趣味とする私たちの環境にも当てはまる事柄がたくさんありました。その目次は下記の通りです。 
 

1日目 英語は勉強ではない!?

Lesson 01 日本固有の問題点を克服しよう!
・大事なのは「単語より文」
・沈黙は禁
・言語習得は効率と無縁!
・できる限り「自然な」方法を
・世界的に見た日本の英語力ランキングは!?
・英語が身につかない理由、その一「カタカナ読み」
・英語が身につかない理由、その二「ローマ字読み」

・英語が身につかない理由、その三「以心伝心」

著者の酒井邦嘉先生


Lesson 02 普遍文法を呼び起こそう!
・共通の文法は生まれつき備わっている
・間違った反復学習
・きれいな発音より「アーティキュレーション」
・子音の発音にも注意
・脳は記憶している音に自動変換する!?
・ネイティブスピーカーは誰でも英語を教えられる?
・北欧の英語力はなぜ高いのか
 

2日目 科学的に英語を習得する方法

Lesson01 語順は脳が決めている!?
・英語の語順は「逆転の発想」
・「四技能」は表面的な違い
・バイリンガルはなぜ両方の言語ができるのか
・大人でもバイリンガルやマルチリンガルになれる
・自分の好きなことで英語に触れるのが一番!
・アルファベット圏は英語が習得しやすい?
・意味で文法を決めることはできない
・子どもの言語獲得の謎
 
Lesson 02 すべての言語に共通の「普通文法」とは?
・記憶力だけで言葉は話せない!?
・言語の骨格となる「木構造」
・パラメータ・セッティングに臨界期がある?
 
Lesson 03 英語習得に必要な三つのポイント
・英語は文字からではなく音声から!
・単語ではなく文で考える!
・評価は減点法ではなく到達度で!
 
Lesson 04 英文法が身につかない三つの科学的理由
・英文法の公式は氷山の一角
・経験則には例外がつきもの
・文法性は現象論では説明できない
 

3日目 脳の「文法中枢」を活かす

Lesson 01 脳には「文法」を操る場所がある
・文法中枢は新たな組み合わせを生む
・脳の「言語地図」
・第二言語習得を母語の獲得に近づけるには
・脳から見れば言語と音楽は同じもの
・全体から部分へ
・海外の人はなぜ日本語がうまい?
 
Lesson 02 人間の脳は多言語にデザインされている
・子どもが日本語と英語を同時に学ぶと混乱する?
・子どもにとって言葉は一つ
・「英語脳」ではなく「多言語脳」
・スペイン語がわかると英語もうまくなる!
・英語が分かればすべての言語がわかる
 

4日目 脳で「聞き、読み、話し、書く」

Lesson 01 「脳で聞く」ための三箇条
・その1、耳コピに徹する
・その2、大波から小波へ
・その3、意味は後から
・言い換えをいろいろ試してみる
・言葉は話す人の心を反映する
 
Lesson 02 何度聞いても飽きないものを見つける
・刑事コロンボで英語の世界へ
・できるだけ本物に触れること
・何度聞いても飽きないものを探す
・刑事コロンボ「別れのワイン」で人生観を知る
・刑事コロンボ「溶ける糸」の最後のセリフ
 
Lesson 03 二ヵ国語音声と字幕の活用
・音声と字幕の使い分け
 
Lesson 04 「脳で読む」ための三箇条
・その1、単語より連語に注目
・その2、英語は前から訳す
・その3、書き込みながら訳す
 
Lesson 05 「脳で話す」ための三箇条
・その1、俳優になりきる
・その2、動詞から文を作る
・その3、TPOに合わせて
・英語にも敬語がある
 
Lesson 06 「脳で書く」ための三箇条
・その1、読み手を想像する
・その2、連語に忠実に
・その3、類語を使い分ける
 
最後に、英語習得プログラムGabbyの紹介


 
 全体を通して、女性ライターとの対話形式で、肩の凝らないスタイルを採用されているので、脳科学の話になってもスッと入っていけます。さらには、全編を通して「英語は本来、勉強しないと話せないものではないのです」という一貫した姿勢に、強い説得力を感じました。
 
 具体的な事例紹介も興味を増す効果テキメン。著者の小学生時代から親しまれたという「刑事コロンボ」を通しての英語への傾倒、さらには異文化への高い関心など、酒井先生のつきぬ興味の一端を垣間見ることもできます。
 
 「大事なのは単語よりも文」「好きこそ物の上手なれは、金言です」「できるだけ本物に触れることが望ましい」「仕事や趣味の世界で第一級の作品に触れるのが一番です」という指摘も、まさにその通りと思います。音楽に関する言及も多く、フレーズやアーティキュレーションを大切にされる姿勢にも共感します。中でも「英語も音で覚えるのが望ましい」という論点はスズキ・メソードの教えにも共通する部分ですし、繰り返しの大切さも指摘されています。スズキで学ぶみなさんにとっても、大きな関心を寄せるところではないでしょうか。
 
 ぜひご一読を。