印田千裕さんが大切にされているDuoリサイタルが、10年目。
ステージで生まれるこの瞬間をお楽しみください。

 
 スズキ・メソードのヴァイオリン科出身の印田千裕さんが、弟でチェリストの陽介さんと始めたDuoコンサート。来る11月23日(火・祝)には節目となる第10回となります。「弾けば弾くほど、この編成に魅了されます」という印田千裕さんが、思いを語ります。

 
以下、印田千裕さんからのメッセージです。 
 

デュオリサイタルVol.10について

 ヴァイオリンとチェロという楽器は、ともに演奏されることの多い弦楽器の仲間 でありながら、二重奏のレパートリーはそれほど知られていません。8本の弦ですべてを賄うため、終始高い技術とアンサンブル力が要求されるうえ、作曲の観点からもハードルが高いことが窺えます。

 姉弟でできる編成を、と陽介の帰国を機に始めたデュオリサイタルシリーズも今年で10年目を迎えました。弾けば弾くほどこの編成に魅了され、無名ながらも色彩豊かな数々の作品を紹介することに意義を感じています。この編成がもっとメジャーになれば、今後新たに素晴らしい作品が生まれるのではという希望もあります。
 
 10年という節目になる今年は、この編成の最も重要なレパートリーの一つであるコダーイの作品にあらためて深く向き合い、 今後に向けての大きなステップとなればと考えました。バルトークと並び、民謡収集からハンガリー音楽の確立に貢献したコダーイですが、その作品には古典的な形式やバランスを重視した独特な深みのある響きがあります。「ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲」は、マジャール民族の言語にも強く影響を受けていますが、マジャール語と日本語の共通点も実は少なくありません。深いところでの繋がりを感じつつ、コダーイの独創的な世界観を楽しめる、様々な意味での傑作だと感じています。

 他のプログラムは、例年同様、年代や国、曲調などバランス良く工夫して組み合わせました。二重奏曲の分野に大きく貢献したロッラはイタリアらしい朗らかな弦楽器の音色が魅力的、チェロ奏者としての技巧を発揮するクンマーは耳馴染みの良いスイス民謡を主題としたロマンティックでヴィルトゥオーゾな作品です。
 
 また現代に活躍する二人の作曲家を取り上げます。タンギーは楽章ごとに異なる独自のハーモニーで新しい世界観を表現しつつも、エキゾチックなメロディとテンポよく掛け合うリズムが高揚感を煽ります。
 
 梶俊男さんの「Hadeli」は昨年、私たちが初演したばかりの新作ですが、音を丁寧に整形、加工していくかの如く響きを重視した繊細さと豪快さを併せ持つ作品です。
 
 多彩な響きを表現することはもちろん、姉弟ならではの呼吸と、この瞬間にしか生まれない対話を生で体感していただけるようなコンサートになれば嬉しい限りです。



 チケットはそれぞれ下記よりお申込みいただけます。感染症防止対策を行なっての開催となります。皆様のご理解とご協力をお願い申し上げます。
 
王子ホールチケットセンター tel.03-3567-9990
(株)マリーコンツェルト tel.03-5944-2436


これまでの歩み

 
2012年11月9日 第1回デュオリサイタル

・ハイドン:ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲Hob.Vl.D1
・紺野陽吉:弦楽二重奏曲
・パガニーニ:ヴァイオリンとチェロのための3つの協奏的二重奏曲より第2番
・ヘンデル:パッサカリア(ハルヴォルセン編)
・ヴィラ=ロボス:2つのショーロス
・ラヴェル:ヴァイオリンとチェロのためのソナタ
(アンコール)
・グリエール:8つの二重奏曲Op.39より第2曲「ガヴォット」
・モンティ:チャルダッシュ
 
2013年10月15日 第2回デュオリサイタル
・ハルヴォルセン:サラバンドと変奏(ヘンデルの主題による)
・團伊玖磨: ヴァイオリンとチェロのための対話
・グリエール:ヴァイオリンとチェロのための8つの小品Op.39
・マルティヌー:ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲第1番
・パガニーニ:3つの協奏的二重奏曲より第3番
・コダーイ:ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲Op.7
(アンコール)
・パガニーニ:ロンド
・文部省歌「故郷」(倉上 大 編曲)
 
2014年10月26日 第3回デュオリサイタル
・マルティヌー:ヴァイオリンとチェロのための二重奏曲第2番H.371
・ストラヴィンスキー:イタリア組曲
・コレッリ:ソナタニ短調Op.5-7
・細川俊夫:デュオ(1998)ヴァイオリンとチェロのための
・ヴォルフ=フェラーリ:二重奏曲ト短調Op.33b
(アンコール)
・バッハ:インベンションより第1番
・シベリウス:水滴
 
2015年10月27日 第4回デュオリサイタル
・ベートーヴェン:二重奏曲第1番WoO.27-1
・ロンベルグ:「魔笛」の主題による変奏曲
・遠藤雅夫:「風の道」ヴァイオリンとチェロのための
・ヘルマン:華麗なる大二重奏曲 Op.12
(アンコール)
・バッハ:インベンションより第8番
・エルガー:愛の挨拶
 
2016年11月11日 第5回デュオリサイタル
・コレッリ:ソナタ第10番ヘ長調
・ヴォルフ=フェラーリ:序奏とバレエ
・寺内園生:Talk
・セルヴェ/ギス:”ゴッド・セイヴ・ザ・キング”による華麗なる変奏曲
・入野義朗:ヴァイオリンとチェロのための音楽
・バルトーク:ハンガリー民謡集
・オネゲル:ヴァイオリンとチェロのためのソナチネ
(アンコール)
・グリエール:8つの二重奏曲Op.39より第2曲「ガヴォット」
・シベリウス:水滴
 
2017年11月8日 第6回デュオリサイタル
・トッホ:ディヴェルティメント Op.37-1
・ホフマン:協奏的大二重奏曲 Op.5-2
・クンマー/シューベルト:歌劇「ザンパ」の主題によるデュオ・コンチェルタンテ
・クーカル:プレゼント Op.12
・西村朗:雅歌Ⅳ~ヴァイオリンとチェロのためのヘテロフォニー
・モーツァルト:ヴァイオリンとヴィオラのための二重奏曲 KV423
(アンコール)
・ダンクラ:魔弾の射手の主題による二重奏曲
 
2018年11月27日 第7回デュオリサイタル
・ロンベルク:“フィガロの結婚”の主題による変奏曲
・バハリッヒ:二重奏曲 Op.5
・倉内直子:共振ー呼応の相互作用 ~ヴァイオリンとチェロのための
・パガニーニ:協奏的二重奏曲 第1番
・サイバー:室内ソナタ
・ラヴェル:ヴァイオリンとチェロのためのソナタ
(アンコール)
・オコーナー:ライムロック
・赤とんぼ(倉上 大 編曲)
 
2019年11月17日 第8回デュオリサイタル
・ロンベルク:“魔笛”の主題による変奏曲
・ミヨー:ソナチネ Op.324
・ゴダール:オーバード Op.133
・ヴュータン/セルヴェ:”ユグノー教徒”の主題による二重奏曲
・チェレプニン:二重奏曲 Op.49
・木下正道:無明無声 Ⅰ
・ロッラ:二重奏曲
(アンコール)
・パガニーニ:ロンド
・キラキラ星変奏曲(フォドル編曲)
 
2020年11月29日 第9回デュオリサイタル
・ダッラーバコ:室内ソナタ 第12番
・リヴィエ:ソナチネ
・クセナキス:ディプリ・ジーア
・ヨンゲン:ソナタ=デュオ
・ダンクラ:ドンジョバンニによる二重奏曲
・遠藤雅夫:デュオスクロール 1b
・ベートーヴェン:二重奏曲(断章)
・ベートーヴェン:二重奏曲 第3番
(アンコール)
・ゴセック:ガヴォット
・菅野よう子:花は咲く