0〜3歳児コースへは、歩仁(あると)が1歳6ヵ月頃に初めて参加し、3クール、お世話になりました。私の加入していた吹奏楽団体の仲間のお子さんが先に通っていて、体験会を紹介してもらいました。0〜3歳児コースのすべてのプログラムが、「生演奏」で進むところがよいと感じ、入会しました。お恥ずかしい話ですが、鈴木鎮一先生については松本に記念館があることぐらいしか、存じ上げませんでした。
1クール目。初めてヴァイオリンを触った頃 とにかく先生方が笑顔で接してくださること。また、興味や意思を尊重していただいたこと。危険がない限り、子どもの自由にしてくださいました。たくさん褒めていただき、子どももにっこりしていました。
お話が上手になってくると、教室から帰るとき「楽しかったね~」と毎回言っていました。あとは修了式の回の先生方のパッヘルベルのカノンの演奏が心に残っています。一緒に受講していたお母様が「カノンが1クールがんばった自分へのごほうび」と言っていました。聴いているとそのクールのことがいろいろ思い出されてジーンとしていました。
母親教室は、それぞれのお母様方が話す機会がわりと多く、どんなお考えをお持ちなのか知ることができ、発見があったりして楽しかったです。鈴木先生の著書「愛に生きる」の内容だけではなく、先生方のレッスンでの話や子育ての話も参考になりました。お母様方が、コースの最後には泣いて成長を振り返っていたのも印象に残っています。
参加する前から音楽は好きでしたが、より一層好きになったように思います。弦楽だけでなく、いろいろなジャンルの曲を聴いて、歌っています。0〜3歳児コースの教室に参加するまでは、周りのお友だちに世話を焼くのが好きなタイプだとは思っていなかったのですが、絵本やおもちゃの片づけを手伝ったり、名札探しをしたり、割とおせっかいなところがあることがわかりました。その性格は今でも変わらずにいます。また、ひらがなへの興味は、俳句がきっかけだったと思います。先生が指差して「あいうえお」とやっていたのを真似したがって、家で同じようなものを作って遊んでいました。今でも俳句は好きで、3歳の弟の秀仁(ひでと)をリードしては口ずさんでいます。
家では、俳句に関しては、初めは紙に書いて壁に貼って読んで聞かせました。ひらがなに興味を持ち出してからは、ひらがなでメモ帳に書いて、自分で読めるようにしていました。小さいうちは俳句カードをぐちゃぐちゃにしたり噛んだりしていましたが、手に届くところに置くようにしていました。
「あいうえお」に関しては、先生の真似事がとにかく楽しかったようで、よくやっていました。そのほかの部分は特に熱心にやった記憶はないですが、童謡からクラシックまで、CDをよくかけていました。 歩仁は、教室で目一杯楽しんでくるタイプでした。弟は、始めたのが兄より1期分早かったのもあり、初めのうちは寝っ転がったりだっこをせがんだりしていることが多かったです。今でもそういう時もありますが、ご挨拶がしっかりできるようになったり、お気に入りのプログラム(指人形)ができたりしています。そして、そのような状態でも本人なりに感じ取ってきているようで、うちに帰ると「楽しかったねー」というタイプです。
2クール目。お箸でヴァイオリンを弾く真似 0〜3歳児コース長野教室の宮下理恵先生からは、「お母様ご自身も、通う回数を重ねるにつれ、目に見えない変化や成長をキャッチできる素晴らしいお母様になってくださいました。小さなことに動じず、いつも安定した気持ちで子どもに接しようと心がけていらっしゃいました」とのお褒めの言葉をいただきました。正直、自分自身の変化はよくわかりませんが、心の持ちようは少し変わったと思います。また、母親教室の時に「親の笑顔は子の笑顔。いつも笑顔で。今日ここだけで笑っていても、わかっちゃいますよ」と宮下先生がお話しされて、ちょうどその頃、育児に疲れて笑顔が減っていたので心に響きました。また、鈴木先生の、「人は環境の子なり、環境にないものは育たない」という言葉にはハッとさせられました。親として未熟でなかなか思うようにいかないことばかりですが、できるだけ笑顔でいたい、子ども自身が選べるようになるまでは、親がよいと思える環境を与えたいと思うようになりました。
どの楽器も魅力的で、なかなか親が決断できず、ヴァイオリンのほかにピアノとチェロも見学させていただき、最後は子どもに決めてもらいました。親としては、ヴァイオリンは、いろいろな場所での演奏機会も多いと聞いていたのと、アンサンブルできる楽器であることが魅力でした。
3クール目。楽しみだったクリスマス会 その頃に、松本市への引っ越しもあり、鳥羽尋子先生にお教室に通わせていただくことになりました。ヴァイオリンのレッスン中は弟たちがうろちょろして、集中させてやれなくて申し訳ないのですが、鳥羽先生のことが好きで、レッスンに行くのを楽しみにしています。先生には歩仁の無駄弾きにもお付き合いいただいて、その中から今練習すべきことに繋げてくださるので、本人も気持ちよくレッスンを受けていることが多いと思います。
今はグループレッスンが楽しいようです。みんなと弾くこともそうですし、面倒をみてくれるお兄さんたちがいるのも嬉しいみたいです。
家では、楽器を出すと、幼稚園で覚えた曲やテレビやCDで聴いた曲などを弾いて遊んでしまい、なかなかお稽古にたどり着きません。でも、耳が鍛えられているということだと思い「まだ練習はじめないの?」と声をかけつつも放っています。
鳥羽先生の50周年記念コンサート(2016年11月)では、親子一緒に「キラキラ星変奏曲」を演奏。後列左がお母様、前列中央が歩仁くん
鳥羽先生のレッスン風景 A-durやD-durの曲からG-durの曲に移行する時、お遊びで弾いていた『山の音楽家』を「いつもミから始めていたのをレから始めてみたら」といったところ、自分で音を探しながら何とか弾いていました。遊びで弾いている曲も身になっているのだなと思いました。 鳥羽先生からも、「『習作』に入る時、ヴァイオリンでは1指と2指をつけることを覚えるのに、G durのおけいこをするのですが、歩仁君はその時に幼稚園で覚えた『山の音楽家』を弾いて、自分で身につけていました。長い間指導していますが初めての経験でした」とおっしゃっていただき、嬉しく思います。涙を流しながら練習する日もありますが、宝くじ・一緒に弾く・ご褒美シール・カルタなど、先生や先輩のお母様方のお知恵をお借りして、手を替え品を替え、やっています。
自宅でのおけいこ 0〜3歳児コースに参加したことで、親子とも、今、ヴァイオリンを学ぶ中で、「急がず、休まず、諦めず」ということが抵抗なくできていることは大きいと思います。1曲にかける時間が長くても、焦らないで練習できています。できないところは「できない」と泣きそうになりながらも、練習する根気も育っています。
それに、0〜3歳児コースで何となく聴いていた曲を自分で演奏できるようになったことは、誇らしいのではないかと思います。弟が今、通っている0〜3歳児コース松本教室にたまについていく時に、弾ける曲や知っている曲があると、とても嬉しそうな顔をします。本人は長野での0〜3歳児コースのことはあまり覚えていないようですが(笑)、根底にある音楽が好きな気持ちは、0〜3歳児コースの時期に身についたと思います。
私自身は、鈴木先生の名言に、親子の関わり方の大切さを学んでいると思います。特に、「親の笑顔は、子の笑顔」、 「人は環境の子なり」は、ことあるごとに思い出されます。なかなか思うように振る舞えないことも多いのですが、子どもの様子がいつもと違うときは自分のことも省みるようになりました。