スズキ・メソード出身の小西真璃花さん(小学6年生)が
第73回全日本学生音楽コンクール「ヴァイオリン部門小学校の部 第1位」に!

 
 12月1日にみなとみらいホール大ホールで開催された第73回全日本学生音楽コンクール(主催=毎日新聞社)には、ピアノ・ヴァイオリン・声楽・フルート・チェロの5部問に、小学生から大学生までの計736人が参加しました。その全国大会のヴァイオリン部門小学校の部クラスで、スズキ・メソード出身の小西真璃花さんが見事一位に輝きました。毎日新聞のネットニュースで、概略をご覧になれます。
 
→毎日新聞の記事
 
 そこで、マンスリースズキ 編集部では、お母様の関東地区ヴァイオリン科指導者である小西麻紀子先生と、真璃花さんご本人にお話を伺いました。

小西麻紀子先生に聞きました。
 

お母様の小西麻紀子先生と真璃花さん

 実は、私は一つのことしかできない不器用な性分ですので、真璃花の出産を機に、一旦ヴァイオリンの指導を休止しました。とはいえ、元々子どもに教えることが好きだったため、ヴァイオリンに興味を持ち始めた2歳前の真璃花に1/32サイズの分数ヴァイオリンを与え、遊びの延長で始めることにしました。
 
 第1子ということもあり、3歳頃には1日3回、毎日お稽古する日々が続きました。ところが、自分の子どもとなると、これまで生徒たちを指導してきたような自分ではなくなり、自己嫌悪に陥りながら何度も「これで良いのだろうか」と考えるようになりました。
 
 この頃から、「やはり習うのなら、私自身が小さい頃からお世話になった正岡紘子先生のところで教えていただくしかない」と思うようになっていました。けれどその頃、第2子出産もあり、余裕のない生活がしばらく続き、娘が4歳の誕生日を迎えた頃にようやく正岡先生のもとへ行く決心がつき、4歳からお世話になりました。
  
 正岡先生クラスでお世話になってからも、家では私の熱が入りすぎるお稽古が続きましたが、レッスンのたびに先生は娘を認めてくださり、それが本当にありがたかったです。おかげで娘は伸び伸びと成長させていただきました。そして4歳から大きな舞台で何度か弾かせていただく機会をいただいたおかげで、人前で演奏することが好きになり、2018年の正岡先生クラスの45周年コンサートでは、合奏がメインのプログラムでしたが、独奏もさせてもらいたいと、自ら先生にお願いまでさせていただきました。本当に怖いもの知らずでした(笑)。
 
 真璃花のエピソードではないのですが、娘がちょうど研究科Cの課題曲であるメンデルスゾーン作曲ヴァイオリン協奏曲ホ短調(メンコン)のお稽古をし始めた8歳の頃、我が家では第3子が誕生しました。その後、生後1,2ヵ月の第3子がレッスンで先生がお話ししている時に愚図ったりすると、正岡先生はすかさず「さぁ、メンコン弾きましょう」と仰ったことがありました。毎日のようにその曲が家で流れていたため、いつの間にか生後数ヵ月の第3子はメンコンを聴くと泣き止むということになっていました。それをいち早く見抜かれたのは正岡先生でした。先生の子どもを見抜かれる力に、改めて驚かされました。
  

全国指導者研究会で演奏する真璃花さん。ピアノは臼井文代先生

 そして、目標としていたスズキ・メソードの最終課程を卒業し、そのメンコンを2017年の全国指導者研究会という大きな舞台で弾かせていただいたことは、間違いなく本人にとってさらなる自信に繋がったことと思います。その後はいろいろやりたい曲を先生と相談しながら意欲的に勉強するようになりました。 

 正岡先生と私の関係は、当時でもすでに25年以上にもなっており、私の性分もよくご存知で、「そんなにがんばらなくてもいいのよ」と事あるごとになだめてくださいました。頭ではわかっていたつもりのことでも、いざ母親となると見えなくなることもあり、先生には 何度も導いていただきました。
 
 レッスンではよく鈴木先生のお話や正岡先生が海外生活やオーケストラで経験されたことなど、ヴァイオリンを弾くことだけでなく、本当にたくさんのことを教えていただきました。正岡先生のおかげで私も娘と一緒に成長させてもらい、また指導者としても、さらにたくさんのことを学ばせていただきました。子育てがひと段落して今後指導を再開する時には、これまで以上の情熱が湧いてきそうです。
 
小西真璃花さんにも聞きました。
 
 全日本学生音楽コンクールを受ける2年前から、スズキ出身のお友だちを応援しに、このコンクールを聴きに行っていました。最初は皆上手だなぁと他人事のように見ていましたが、その翌年また聴きに行った頃から自分も出てみたいと思うようになりました。ちょうどその前に正岡先生から「何か目標がもてるようにコンクールでも受けてみたら」とお話もあったので(先生は覚えていらっしゃらないかもしれませんが)、そこからコンクールを意識するようになりました。
 
 2年、続けて聴きに行っていたものの、初めて受けるコンクールだったので、どんな感じかあまりわからず、とても緊張しました。特に12月1日の全国大会の時は、人生の中で一番緊張しましたが、ホールの響きが素晴らしく、とても感動しました。予選・本選を通して演奏した曲は、以下の内容でした。
 

 ・2019年8月24日 東京大会予選 課題曲
   バッハ:無伴奏パルティータ第3番より、メヌエットⅠ、Ⅱ、ブーレ
 
 ・2019年10月20日 東京大会本選 課題曲
   モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲ト長調第3番 第1楽章(カデンツァはフランコ版)
 
 ・2019年12月1日 全国大会 自由曲
   パガニーニ:ヴァイオリン協奏曲第1番ニ長調作品6から第1楽章

 
 1位という結果が出たときは、自分でも本当に信じられない気持ちでした。これまで育ててくださった正岡先生をはじめ、スズキ・メソードでたくさんのことを経験させていただき、感謝の気持ちでいっぱいです。 
  
 正岡先生の教室でいちばんの思い出は、2016年12月のクラスの勉強会(独奏会)でメンデルスゾーンの協奏曲を全楽章弾かせてもらったことです。その前の月に卒業録音を録り終えていたのですが、正岡先生からの提案もあり、また全楽章弾かせてもらえて嬉しかったです。おかげで大曲を全楽章通して弾くという経験がさらにでき、体力的にも精神的にも鍛えられました。 
 
 あとは、国技館でのグランドコンサートで、みんなとメンデルスゾーンの第3楽章を豊田先生のご指導のもと弾けたのも嬉しかったです。毎年参加していた夏期学校でも豊田先生のクラスで貴重なレッスンを受けることができたり、弦楽合奏などもあり、とても充実した時間でした。
 
 これからの夢は、オーケストラと共演してみたいです。聴いてくださる人の心に響くような、そして幸せにできるような演奏家になりたいです。そして、日本だけでなく世界で活躍できるヴァイオリニストになるのが夢です。