カナダでの指導者研究会で、蔵持典与先生が講演。
鈴木鎮一先生の教えを、各国の指導者が真剣に学ぶ場になりました。
3月27日(日)、カナダ・オンタリオ・スズキ協会によるオンライン指導者研究会に、関東地区ヴァイオリン科の蔵持典与(くらもちふみよ)先生が、「トナリゼーションの歴史と哲学」と題したプレゼンテーションを実施。大きな反響を各国の指導者からいただきました。
オンタリオ・スズキ協会からいただいた当日の様子を伝える記事をお届けします。
■蔵持典与先生ご自身のメッセージです。
今回の催しは、私にとって、思ってもみない光栄な出来事でした。多くの国の先生方と、貴重な時間とスズキ・メソードの理念を共有できたことは、この上ない喜びです。その直後にいただいた多くのコメントの中で、最も印象的だったのは「大切なことは、私たちはなぜスズキの指導者なのかということ、そして音楽の力で、子どもたちに人格と美しい心を育むという鈴木先生の志に思いを馳せること」という言葉でした。皆様が誇りと自信をもって、世界の先生方とともに、今後もこの教育運動を推進してくださることを願っております。
“The History & Philosophy of Tonalization” by Fumiyo Kuramochi
『トナリゼーションの歴史と哲学』 ー蔵持典与
オンタリオ州スズキ協会とスズキ・ミュージック/ムジーク・カナダの主催で行なわれた、蔵持先生の感銘と感動を与える講演には、鈴木鎮一先生に師事したご自身の体験談や写真も含まれていました。聴衆の中には、鈴木先生のもとで学んだ経験のある方々もおり、これまで知られていなかった事々を興味深く伺いました。
この2年間コロナウイルス禍によって、スズキの生徒たちは、生のグループレッスンや個人レッスンによって得られる、”音に包まれるエネルギー”の中で生活し、演奏するという機会を失っただけでなく、多くの困難を経験しました。また、世界中のスズキの先生方は、「美しい音を、美しい心を」という鈴木先生の言葉を生かすために、接続の不具合や不安定な音質の中で、新たな工夫に懸命に努めて来ました。ですから今回のイベントは、蔵持先生が、音をより良くすることと音への取り組みが、全人的な人格形成の鍵となる、という鈴木先生の信念を思い起こさせてくれる、正に時宜を得たものでした。
以下の、アメリカから参加したSAA(アメリカ・スズキ協会)のティーチャートレーナー、キャロル・デリンジャー先生のコメントに、世界中から参加した多くの人々が共感しました。
"典与さんの声と心を通して、鈴木先生の精神に再び触れることができたことは、とても素晴らしいことでした。最近、このような機会はめったにありません。 先生と一緒に過ごせた時間を思い出しました。 特別な時間をありがとうございました。"
このユニークなイベントを準備するにあたり、カナダチームは、蔵持先生の知識を、世界のスズキの指導者たちとできるだけ多く共有するべきだと強く感じました。また、このパンデミックの間、最近研修を受けた指導者の多くは、スズキのグループレッスンやコンサートの感動的な音を、直接聴いた経験がまだないであろうことに気づきました。
"音楽するということは、絃に奉仕し、美しい音、美しい響きを響かせることによって、あなたの心―音楽の生命力―が音を通して歌うことです。" 鈴木鎮一
鈴木先生のメッセージが、約100年前に研究を始められた当時と同じように、今日もなお世界で必要とされ、タイムリーに響き続けてていることを改めて認識させてくれた蔵持典与先生に、心から感謝します。
オンタリオ州スズキ協会とスズキ・ミュージック/ムジーク・カナダを代表して:
レベッカ・アシュワース、ポール・バルサルウ、デビー・ハモンド、カレン=ミシェル・キメット、ジョアンヌ・マーティン、 ロブ・リチャードソン、ジュヌヴィエーヴ・シルム=ジョイス
(蔵持典与訳)