皆様、引き続き鈴木鎮一記念館をよろしくお願いします。　　結城賢二郎

等々力由季子さんと結城賢二郎館長　私は、才能教育研究会で33年間仕事をさせていただき、その後、鈴木鎮一記念館に約10年間勤め、「人生の半分を鈴木鎮一先生のために」との思いで仕事をしてまいりました。振り返ってみますと、幼少の頃より私はたえず鈴木先生に見守られていたのだと、つくづく実感いたしますし、感謝の気持ちで一杯です。
　鈴木鎮一記念館は1996年４月12日に鈴木先生ご参加のもと開館式を行ない、オープンいたしました。

　私は、本部事務局在職中より鈴木鎮一記念館に関した仕事も担当していましたので、初代館長に誰になっていただくか、このことから手がけました。スズキを海外に普及することに多大な功績を果たされた望月謙児さんが、タイミングよくニューヨークの日本総領事館を退任され、松本に来られることが分かりましたので、初代館長は望月さんになっていただきました。望月さんにはいろいろとアドバイスをさせていただき、望月さんは８年間勤務されました。２代目の館長は、お二人のお子さんがスズキ・メソード出身の演奏家でもあることから、江口純弘さんに決まりました。その３年後、豊田耕兒先生より、江口さんを白百合幼稚園の園長にとのことで退任されましたので、その後、私が３代目として館長を務めさせていただくことになったわけです。

　鈴木鎮一記念館に赴任して最初に手掛けたことは、来館者に気持ちよく内覧していただくことでした。展示室の模様替え、家周りの手入れなど、半年間は、いろいろと大変な作業が続きました。次に、多くの来館者を呼び込むために、鈴木鎮一記念館コンサートの内容を変え、一流の演奏家のコンサートを、わずかな予算の中でも鈴木先生に聴かせていただければとの思いで、いろいろな方々に協力をお願いをし、記念館にお呼びしてきました。竹澤恭子さん、渡辺玲子さん、宮田大さん、堤剛さんなど日本を代表する演奏家が鈴木先生のためにと、快く引き受けてくださいました。コンサートは入場無料で、常に大勢のお客様に来場いただき、皆様にとても感謝されてきました。

　海外からの来館者も多く、アメリカ、ヨーロッパ、カナダ、オーストラリア、中国、韓国など世界のスズキ・メソードの方々にお越しいただきました。館内の展示物の撮影許可や鈴木先生に関する音源・映像などを積極的にご覧いただき、少しでも創始者の鈴木先生を知ってもらうためにも努力してまいりました。

　また、2013年3月開催の第16回世界大会の折には、高円宮妃久子殿下をお迎えし、鈴木先生のお人柄を説明させていただいたり、SPレコードの蓄音機によるスズキ・クァルテットの演奏をお聴かせしたり、楽しい思い出もありました。そして、鈴木鎮一先生生誕110年となる2009年1月23〜25日には、東京銀座の十字屋ホールに、松本から鈴木鎮一記念館をそっくり移動し、展示会を行ないました。スズキ・メソードで育った多くのOB・OGの皆様の講演・演奏なども盛大に同時開催されたことに感謝しています。

　鈴木鎮一先生生誕120年には、鈴木鎮一記念館に鈴木先生を支えた方々をお呼びし、基調講演、演奏などで盛り上げていただきました。


　私自身は、3月20日で鈴木鎮一記念館を退館いたしますが、2018年7月から半年間、後継者を育てようと、等々力（とどりき）由季子さんを指導しております。皆様、引き続き鈴木鎮一記念館をよろしくお願いいたします。

　また鈴木先生が、松本市芸術文化祭を立ち上げてから、今年で60周年を迎えました。鈴木先生の生誕120年も含めて今年の9月29日（日）に私の最後の鈴木鎮一先生に対する思いを込めて、「音にいのちあり〜鈴木鎮一・愛と教育の生涯〜」をまつもと市民芸術館で、昨年4月に公募で選ばれた出演者60名と松本市民300名による演劇として、上演します。才能教育研究会にも共催していただくことになりましたので、協力をお願いしております。

　ゲストには読売日本交響楽団コンサートマスターで、スズキ・メソード出身の伝田正秀さんのヴァイオリン、声楽家の青山貴さんをはじめ、スズキ・メソードの子どもたちも出演します。多くの方々にもう一度鈴木鎮一先生を思い出していただくためにも、素晴らしい演劇になるように、現在、努力しています。

新しくなった鈴木鎮一記念館で、お待ちしております。　　等々力由季子

　長年にわたり、鈴木鎮一先生の一番お近くにおられた結城館長から、昨年７月より直接研修を受けることができ、感謝しております。記念館所蔵の貴重な映像や資料を見ながらお話を伺い、また、結城館長から鈴木先生との秘話を聞かせていただき、知れば知るほど鈴木先生の偉大さに驚嘆するばかりです。

　音楽家であり、教育者である鈴木先生の目覚ましい功績を多くの方々にお伝えしなくてはと思いました。そして、もっとスズキ・メソードのファンを増やしていきたいと思います。

　展示室には、様々な写真が飾ってあります。鈴木先生の愛に満ちたお姿をご覧になって、スズキを知っている方もそうでない方も、みなさん笑顔でお帰りになるのを見ますとお見送りするこちら側も嬉しくなります。

　ぜひ、新しくなった鈴木鎮一記念館へお出掛けください。いつでも、お待ちしております。