第2回スズキ教育法研究会を開催
これまでにも様々なテーマ、場所で開催されてきたスズキ教育法研究会。テーマの一例を挙げると、「これからのスズキ・メソードの展望」「自立について」「スズキにおけるアンサンブル」「スズキ・メソードで何を育てるのか」「スズキの独自性、スズキらしさを求めて」「初歩時代をどう過ごすか」「スズキの原点を探る=親、指導者、生徒のトライアングルの確立について」など、多彩。しかし、一貫して指導者が自らの体験、経験を語り合うことで、互いを刺激しあう場となってきました。
昨年のスズキ教育法研究会は、才能教育会館ホールで開催され、指導歴20年以下の先生方にフォーカスをあてた内容でした。第2回となる今年は、まず、早野龍五会長からのご挨拶に続き、大ベテランの正岡紘子先生(関東地区ヴァイオリン科指導者)の基調講演から始まりました。
正岡先生のお話では、キラキラ星変奏曲からスタートするスズキ・メソードは、当時としては画期的であったこと。指の配置がしやすいA-durの曲が多く並び、よく考えられていること。5通りのリズムで、その後に勉強するかなりの曲のリズムを網羅していること。弓は横に動かすのではなく、真ん中で小さく、縦に使うこと、などをお話しされました。ドッペルのグループレッスンでは、鈴木先生は「タカタカタッタ」のリズムを必ず3回繰り返してからスタートされた話など、キラキラ星変奏曲を重視された鈴木先生の様子が偲ばれました。
また、卒業録音で研究科Aの課題曲(バッハ:ヴァイオリン協奏曲ホ長調BWV1042 全楽章)を聴かれている正岡先生は、全国から届いた100本の録音を聴いて、「とてもいい指導をされている」と評価されつつも、「音」を含めた表現の差が、かなりあることも指摘されました。正岡先生によれば、1/3が攻撃的な演奏、1/3が無機質な演奏、残りの1/3弱が癒される感覚を持つ演奏という割合だったとのことです。さらに、「スズキらしさとは何か」という点にも言及され、若い指導者の皆さんにとっても、今後の大きなポイントとなるお話でした。
続いて、キラキラ星変奏曲の各教室での録画事例を実際に視聴しながら、初歩の指導がいかに大切か、親と生徒と指導者の関係についても、意見交換がなされました。
その後、今回の大きな取り組みとして、グループ討論の場を5ヵ所設け、世代や地区、楽器科の違いを超えて、互いの考え方や取り組みの実際例などを述べ合う時間が設けられました。教育法研究会の委員会から、あらかじめ提示されたテーマは、以下の内容でした。
①キラキラ星変奏曲の指導ポイントで、一番重要視していること
②親への指導およびサゼスチョン
③次の曲に入るタイミング
④キラキラ星変奏曲卒業までに備わっていなければいけないこと
⑤困っていること
⑥その他
より課題を深めていくスタイルになったことで、若手指導者からベテラン指導者に対して積極的に質問される場面も多く、その結果、ベテラン指導者の長年にわたり蓄積された考え方や指導法をグループ全員で共有しあうようになるなど、充実した光景が見られました。
たっぷり意見交換した後、各グループの進行役を担われた指導者から、それぞれでの意見交換の内容などが発表され、今後も、さらに研究が継続されることが確認されました。
参加された指導者の感想を見てみましょう。
・キラキラ星変奏曲の録画を見て、興味深かった。グループ討議では、一人ずつの意見を聞くことができ、良かった。
・大切なことの再確認ができました。
・スズキ教育法を勉強される皆さんが、同じ気持ちを持ちながら、目標を持って取り組まれている姿を嬉しく思いました。
・キラキラ星変奏曲だけでも、先生方の意見がたくさんあることがわかりました。
・いろいろなアイデアを聞くことができ、大変勉強になりました。
・鈴木先生の音をもっと聴きたいです。良い音の定義が難しいと感じています。
・鈴木哲学、母語教育法、音楽を通して人間を育てるなど、もっと深く掘り下げていきたいです。
・もっと多くの指導者が参加してほしいです。
・「ご両親に伝えるスズキの心」について、ヒントが欲しいです。
・若い先生たちが、とてもよく考えられていることがわかり、嬉しかったです。