リック・ムーニー先生の追悼コンサートに参加しました。

関東地区チェロ科指導者 寺田義彦
 

ムーニー先生が作られたスズキ・チェロ副教材や
アンサンブル作品

 スズキ国際版チェロ指導曲集の監修や同副教材を多数開発されたリック・ムーニーRick Mooney先生(アメリカ)が6月15日逝去されました。

弦楽専門誌にムーニー先生の業績を紹介した追悼記事が公開されています。→”The Strad”
 
 ムーニー先生と私との出会いは1999年3月に松本市で開催された第13回スズキ・メソード世界大会でした。先生のご指導中に担当通訳の方が不在となり、急遽、私が補助しました。御礼として先生が編曲されたチェロアンサンブル"B'ile Them Cabbage Down"楽譜を頂戴しました。
 

Ensembles for Cello 第4巻

NCI公式ステッカー

 この「キャベジダウン」はムーニー先生のチェロアンサンブル編曲の特徴である「幅広いレベルのチェロ演奏者がともに楽しめること」を実感できる曲であり、その後、日本のスズキ・チェロの貴重なレパートリーとなりました。
 
 当初、チェロ指導者がレッスン時に生徒の伴奏目的だった編曲集”Ensembles for Cello”ですが、巻数が上がることに、その名の通り3本以上のチェロによる合奏が加わりました。現在4巻まで刊行されており、第5巻の原稿はムーニー先生のコンピュータにあると関係者から聞きました。
 

2009年世界大会にて(Melbourne)
左がムーニー先生、右が寺田先生

 2009年春、オーストラリア・メルボルンの第15回スズキ・メソード世界大会で、ムーニー先生と私はともに指導する機会に恵まれ、同年夏に先生が創設されたカリフォルニアのチェロキャンプNational Cello Institute(NCI)への招聘を受けました。以降、2023年までNCIの指導を続けております。

 今回の第48回”National Cello Institute 2023”期間中に先生の偉業を讃える演奏会が開催され、私も参加出演いたしました。
 演奏会当日の朝、同じ指導者の仲間から次の連絡が届きました。
”If you have it, try to wear colorful clothes tonight! In honor of ricks Hawaiian shirt phase.”
 その通りに派手なシャツを着て、聴衆の皆様とともに、ムーニー先生を讃えることができました。
 近日中にNCI主催者による記録動画が公開されると思います。

 Rick Mooney先生による編曲や作曲は現代、古典、ハードロック、ブルース、ブルーグラスなど多岐にわたっており、現在、動画公開サイトにて鑑賞できます。
♪National Cello Institute 2019 : Copland/Mooney "Fanfare for the Common Man"
♪Quatracelli : Moony "Pain and Pleasure"
♪Quatracelli : Moony "Robot Blues"
♪Traditional/Moony "B'ile Them Cabbage Down"
♪Cello Orchestra: The Parting Glass by Traditional arr. Mooney/Dunford. National Cello Institute,7/1/22
 

A Program to honor Rick Mooney
NCI 2023 finish

 さて、明るい雰囲気の演奏会終了後、立ち上がった聴衆と演奏者すべてが鳴り響く拍手と笑顔でムーニー先生の奥様Mrs. Randee Mooneyをステージ中央に迎えました。私はご遺族を慰め励ます文化の違いを肌で感じ、故Rick Mooney先生を讃える演奏会に参加できたことを喜びました。この音響の良い素晴らしいホールが私の担当クラスの会場、贅沢でした。

 NCIの最終日に来年の開催(2024年6月)が発表されました。ムーニー先生の意思はしっかり引き継がれています。
 

NCI 2023 Yoshi Terada class


木陰で練習中の参加者