グランドコンサートに向けて助走する一年
理事長 早野龍五
皆さま、新年明けましておめでとうございます。
昨年、令和6年8月に、東 誠三先生を会長にお迎えし、また新設された理事長職に私が就任いたしました。これにより、鈴木鎮一先生の時代から会長が一人で担ってきた多岐にわたる業務と責任を、会長と理事長の二人で分担する新たな体制がスタートしました。東先生を会長にお迎えできたことは、本会の未来に向けた重要な一歩であると考えています。
これまでにもマンスリースズキの記事などでご説明してまいりましたが、東会長には、スズキ・メソードの理念、音楽、教育、研究といった核心部分についてご指導いただいております。一方、私は理事会を統括し、公益社団法人才能教育研究会の法人代表として、財務や法務、対外的な契約などの責任を担っています。
昨年8月以降、東会長と私で、具体的にどの業務を理事長が担当し、どの業務を会長が担当するかを確認しながら運営を進めてまいりました。その結果、大きな混乱もなく、会の運営が両輪として機能し始めていることを実感しています。たとえば、今回の才能教育通信の新年号の表紙挨拶を東会長が執筆されたことや、卒業証書が東会長のお名前で発行されることなどを通じて、皆さまにも新体制への移行を感じていただけることと思います。
話は変わりますが、先日、仁科記念財団主催のパーティーにて、カリフォルニア工科大学の理論物理学教授、大栗博司さんご夫妻にお目にかかる機会がありました。私が2008年、大栗さんが2009年に仁科記念賞(日本の物理学分野における最高の賞)を受賞したことから、例年、このパーティーに招待されています。
大栗家は米国在住ですが、お嬢さんが幼少期に米国スズキでヴァイオリンを学ばれ、2007年のグランドコンサートに合わせて一時帰国し、武道館で約3,000人の子どもたちとともに演奏されたそうです。その経験は、今でもご家族にとって感動的な思い出として心に刻まれているとお話しくださいました。
コロナ禍の影響で開催が見送られてきたグランドコンサートですが、今回の通信でもマンスリースズキでもお知らせしておりますように、来年2026年3月、本会創立80周年の記念すべき年に開催することが決まりました。大栗博司さんが「グランドコンサートで家族みんなが心に刻んだ感動は、今でも忘れられない」と話してくださったように、スズキのグランドコンサートは、参加されるお子さまだけでなく、ご家族全員にとっても貴重な体験と思い出となる場です。
来年3月、お台場でのグランドコンサートはまだ少し先のことですが、今からぜひ、みなさんのご家族で「その日はみんなでお台場に行こう」という心づもりをしていただければと思います。一人でも多くの方々と直接お目にかかり、この特別な機会を共有できることを心より楽しみにしております。