ピアノ科卒業式と卒業演奏会

 
 今年のピアノ科卒業式と卒業演奏会は、4年ぶりに全国各地の会場で対面開催されました。各会場では、早野龍五会長ご臨席のもと、各卒業科代表生徒と研究科B卒業生への証書授与式と各卒業科代表生徒による記念演奏会が開催されます。
 
 また、4月下旬に予定しているオンライン配信では、卒業生の投稿写真によるオンライン式典と各会場で収録された卒業代表演奏をお届けします。
 

2023ピアノ科卒業式・卒業演奏会 オンライン配信スケジュール
日程 時間帯 地区名 会場
3月19日(日) 12:30〜 東海地区・北陸越地区 三井住友海上しらかわホール
3月21日(火・祝) 13:30〜 甲信地区 才能教育会館ホール
3月26日(日) 13:00〜 関東地区・北海道東北地区 板橋区⽴⽂化会館 ⼤ホール
3月30日(木) 13:00〜 関西地区・中国四国地区・九州地区・沖縄地区 東リいたみホール ⼤ホール


3月19日(日)三井住友海上しらかわホール

東海、北陸越地区
 
 待ちに待った4年ぶりの対面開催による第47回東海、北陸越ピアノ科卒業式は、2023年3月19日(日)、名古屋市の三井住友海上しらかわホールにて行なわれました。
 

 久しぶりの対面卒業式に、指導者も緊張しながら準備とリハーサルを終え、いよいよ第1部の卒業演奏です。生徒の目標であり憧れでもある、才能教育課程卒業の3名によるコンチェルトで幕を開けました。今年の曲は、モーツァルトのピアノ協奏曲 第23番イ長調K.488、ピアノ協奏曲 第26番ニ長調「戴冠式」K.537でしたが、緊張した面持ちの中、オーケストラと共演する姿は堂々としており、立派でした。素晴らしい経験となったことと思います。

 続いて卒業式典です。

 例年行なってきた卒業生全員の登壇は叶いませんでしたが、各科の証書代表生徒と、最終課程である研究科Bの卒業生全員には、早野龍五会長から一人ずつに卒業証書の授与をしていただき、ご祝辞を賜りました。
 
 卒業課程の一区切りである才能教育課程の卒業生は保護者とともに登壇し、「お礼の言葉」の後、生徒一人ひとりが感謝を込めてご家族の皆様にお花をお贈りしました。本人の努力はもちろんですが、ご家族のサポートがあってここまで来られた姿は、感慨深いものでした。

 
 才能教育課程卒業生徒の「お礼の言葉」をご紹介します。

 僕がピアノをスズキ・メソードで始めたのは3歳の時でした。兄や姉がすでにピアノを始めていて、自然にピアノの世界に入っていきました。始めの頃は、なかなか思うように指が動かず、練習をすることがすごく辛い時期もありましたが、兄弟や年長のお兄さん、お姉さんが演奏する姿を見て、いつかあんなふうに演奏できたらと思い、がんばってきました。
 今日、この場で『戴冠式』を演奏することができたのも、今まで長い間ご指導いただいた先生、ここまで支えてきてくれた家族のおかげです。本当にありがとうございます。
 思い出として一番心に残っているのは、東 誠三先生に初めてご指導を受けたときのことです。響きのよい音色の出し方、指だけではなく体を用いて曲を表現する方法を丁寧にご指導いただきました。とても緊張しましたが、僕にとってとてもいい機会を与えていただいたと思っています。春から高校生になり、新しい生活が待っています。また新たな目標に向け、がんばって取り組んでいきたいと思います。これからもご指導のほどよろしくお願いします。

 

 最後は、第2部の卒業演奏です。
 今年は課題曲のみとなり、8曲中3台斉奏が2曲、その他はソロの演奏となりました。 オンライン卒業式とは違い、生演奏と会場の観客からの温かい拍手に包まれ、無事卒業式を終えることできたことは、私たち指導者はもとより、生徒をはじめご家族の皆様にとりましても、会場での開催に意義があることを改めて確認できた卒業式でした。舞台で演奏できた経験が、次へのステップに繋がることを信じています。来年も、以前のように式典には卒業生全員が登壇でき、対面開催となりますことを願っております。

 

東海、北陸越ピアノ科卒業式実行委員
三浦記代

3月21日(火・祝)才能教育会館ホール

甲信地区

 

 2023年3月21日(火・祝)、やわらかな春光の中で実に4年ぶりとなる対面での甲信地区ピアノ科卒業式が、松本市の才能教育会館ホールで執り行なわれました。
 
 初めに、早野龍五 会長と黒河内健 業務執行理事にご臨席いただき、各卒業科の代表生徒さんが早野会長から卒業証書を受け取りました。
 

 早野会長からの「お祝いの言葉」は、本会ヴァイオリン科のご出身でもある日本将棋連盟の佐藤康光会長にちなんで将棋のお話でした。将棋のプロ棋士がAIに負けて衝撃が走ったお話や、将棋の上達に大切なのは、藤井聡太棋士が「楽しむこと」、羽生善治棋士が「集中すること」とおっしゃったそうで、どちらもピアノのお稽古に通ずるものがあるという、とても興味深く分かりやすいお話でした。最後に、「今日これから演奏する皆さんは、ぜひ笑顔で!!」との激励のお言葉もいただきました。

 
 続いて、研究科B卒業生の巣山友梨香さんの「お礼の言葉」です。心に響く素敵なスピーチでしたので、こちらに紹介させていただきます。

 研究科卒業生徒のお礼の言葉
 
 3年前当時、中学2年生だった私は、この会場で夢だったオーケストラとモーツァルトのピアノ協奏曲「戴冠式を演奏する予定でした。
 しかし、コロナの影響で卒業式が中止となり、悔し涙を流した記憶があります。同じように様々なことが制限中止となりました。私ばかりでなく、多くの生徒さんがどうすることもできない悔しさを抱え、葛藤しながら乗り越えてきたことだと思います。私も、その時の悔しさをバネにピアノの練習に励み、本日すべての課程を卒業することができました。
 今回、こうしてコロナ禍前のように観客の皆様の前で演奏できるように卒業式を開催してくださり、今こうして早野会長から直接、卒業証書を受け取り、卒業を迎えることができて、本当に嬉しく思います。
 早野会長を始めとするスズキ・メソードの先生方、卒業 CDを聴いてくださり、また、卒業式の準備をしてくださった先生方、お家の皆様など、卒業式に関わってくださったすべての皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。本当にありがとうございます。
 これまでスズキ・メソードでピアノを習い続けてきたことで、私は「教育」に興味を持ちました。そして将来は、子どもの成長段階ごとに必要な教育とは何か、それらが社会にどういった影響をもたらすのかといったことを学んでいきたいと思いました。
 小学5、6年生の時に参加した夏期学校では全国から集まった生徒さんとグループレッスンや合奏、連弾をして、いつもとは違った音楽の向き合い方をして多くの出会いや学びがありました。
 中学1年生の時に出演した京都でのスズキチルドレン・ピアノコンサートで、全国から代表で選ばれた生徒さんたちの中でピアノを弾いたのは、とても刺激的でピアノへの取り組む姿勢が変わったように感じました。
 このようなスズキ・メソードでの様々な体験を通してきたからこそ見つけることができた私の目指す将来だと思います。
 そして今日、4年ぶりとなる観客の皆さんの前で演奏する卒業式。生徒一同、皆さんの前で演奏できる喜びや多くの方々への感謝の気持ちを胸に、晴れ晴れとした気持ちで、堂々と演奏したいと思います。
 本日は誠にありがとうございました。      巣山友梨香

 
 巣山さんの心のこもったスピーチで、才能教育会館ホール全体が温かな空気に包まれる中、卒業演奏が始まりました。今年は全曲ソロでの演奏でしたが、一人ひとりが日頃の感謝を込めて「これぞスズキの音!」という立派な音で演奏を披露してくれました。
 

 生の演奏が素晴らしいのはもちろんですが、温かい拍手が会場に響き渡るのは生徒さんや保護者の方々、聴きに来てくださったお客様、皆さんとともに卒業をお祝いできた事を実感でき、胸がいっぱいになりました。ステージの鈴木鎮一先生のお写真も嬉しそうにお祝いしてくださっているかのようでした。4月末のオンライン配信も楽しみですね。

 甲信地区ピアノ科卒業式のためにご尽力いただいたすべての皆さまに感謝申し上げます。来年も再来年も、この先ずっと、元気にこの会場で卒業のお祝いができることを願っております。
 

甲信地区ピアノ科委員長
嘉納尚代

 


3月26日(日)板橋区立文化会館 大ホール

関東、北海道・東北地区
 
 2023年3月26日(日)、4年ぶりに、待ちに待った対面での第53回関東、北海道・東北ピアノ科卒業式が、板橋区立文化会館大ホールで開催されました。
 
 東京は桜が満開とのことでしたが、この日は、あいにく雨の一日。しかし、会場入り口では、久しぶりにお会いできた先生方、緊張の中にも卒業式に参加することを心待ちにしていた生徒さんの笑顔が溢れました。
 
 オープニングは、青木博幸先生指揮、関東地区指導者オーケストラの皆さんによる祝賀演奏です。曲は、チャイコフスキー作曲「弦楽セレナード ハ長調 Op.48」より「第2楽章ワルツ」。この曲は鈴木鎮一先生がお好きだった曲とのことで、この日の幕開けにふさわしい素敵な演奏となりました。
 

 そして、誰もが憧れるオーケストラとともに演奏するピアノ協奏曲の演奏へと続きます。モーツァルト作曲 ピアノ協奏曲 第26番 二長調「戴冠式」K.537です。オーケストラの前奏が響いた瞬間、「いよいよ始まる」と胸が高鳴りました。独奏の生徒さんたちの演奏も見事で、何より、下手袖へ戻ってきた時の顔が生き生きと輝いていたことが印象的でした。

 式典では、各科卒業生代表へ早野龍五会長より卒業証書が授与され、研究科Bを卒業した生徒は一人ずつ紹介があり、会場からは祝福の拍手をいただきました。そして、早野会長、ご臨席いただいた東 誠三先生より、祝辞を頂戴いたしました。参加した生徒さんへは、いつも聴いているCDの先生からのお言葉は、しっかり届いたことと思います。

 また、研究科B卒業生は、早野会長、東先生とともに、鈴木先生のお写真を囲んで写真撮影をし、全課程修了した記念として大切に残されることとなります。

 
 第2部は、各科課題曲の演奏です。

 本番1週間前のリハーサルでは、東 誠三先生へレッスンをお願いしております。先生の熱意ある細部に渡るご指導に、子どもたちの表情は真剣さを増し、充実した演奏へと変わっていきます。そして、本番では、全員が立派な演奏を聴かせてくれました。
 
・最後に、卒業生を代表して述べられた「答辞」をご紹介します(抜粋)

 コロナ禍が続き、まだ学校生活にも制約がかかっていますが、このような素晴らしい卒業式が開催され、お世話になった先生、家族の前で代表として挨拶させていただくことに感謝の気持ちで一杯です。
 小さい頃はよく父と連弾してピアノを楽しんでいたような思い出があります。先生も「ゆっくりと自分のペースで音に触れていきましょうね」と、それが僕にあっていたのかなと、今となってはそのように思います。
とにかくピアノを楽しめる空間がそこにありました。スズキ・メソードの教本だけでなく、自分の弾きたい曲を発表会で弾いてみたいと、先生にお願いして、先生と一緒に練習し、発表会で披露したことは、今となっては良い思い出です。


 小学校高学年からは、中学受験のための準備であったり、そして中学入学後は部活動の時間が増え、ピアノの練習をする時間は減っていきましたが、それでも「自分のペースで全然構わない」といった先生の言葉に励まされ、何とかここまでやり遂げることができました。

 14年間ピアノをやってきて、一つ言えることは「ピアノ、音楽というのは、自分自身の心を落ち着かせてくれるもの、そして同時に人を楽しませることができるもの」と思います。
 ピアノ、音楽というのは僕の一生の財産になったと思いますし、これからの長い人生においても、ピアノを通じて、いろいろな人たちと交流していければと考えています。

 
 

関東、北海道・東北地区ピアノ科卒業式
実行委員長 鈴木祐子

3月30日(木)東リいたみホール 大ホール

関西、中国・四国、九州、沖縄地区

 

 「第52回 関西、中国・四国、九州、沖縄地区 ピアノ科卒業式」は、3月30日(木)に兵庫県伊丹市の東リいたみホール 大ホールにて行なわれました。午前中にリハーサルを終え、13:00に開演しました。
 

 第1部は、関西地区ヴァイオリン科とチェロ科生徒を中心とした「スズキ・メソード関西地区オーケストラ」(指揮:塩谷峰子先生)による、モーツァルト作曲「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」第1楽章の祝賀演奏で始まりました。華やかな管弦楽の音色が響き、会場が盛り上がったところで、皆の憧れであるピアノ協奏曲の演奏です。 今年はモーツァルトのピアノ協奏曲第26番ニ長調「戴冠式」K.537第1楽章と、第23番イ長調K.488第1楽章、第3楽章です。3人の演奏者は、オーケストラとの練習を重ね、息もぴったりで素晴らしい演奏でした。

 式典では、各科代表卒業生と研究科Bの卒業生が登壇し、早野龍五会長から卒業証書を授与されました。

 早野龍五会長は、「AIは、いくら優れていても、音楽を聴いたり、楽器を弾いたときに感動することはできない。あなたたちは、こんな素晴らしいことができるのですよ!」と、会場の皆さんに語りかけてくださいました。とても勇気が湧いてくるお話でした。

 式典の最後には、研究科Bの卒業生が、長年支えてくださったお母様にお礼のお花を贈り、感謝の気持ちを伝えました。

 続いての第2部では、2台のピアノによる斉奏、ソロで、卒業課題曲の演奏でした。みんな緊張しながらも、自分らしい音を奏で、表現しているのが伝わってきました。 演奏前には堅い表情だった演奏者たちが、弾き終わると満面の笑顔で舞台袖に戻って来るのがとても印象的でした。

 この3年間、新型コロナによる直前の中止、オンライン式典、動画配信など、いろいろな経験をしてきました。そして今年、やっと皆が一堂に集ってピアノ科卒業式を開催し、生で演奏を聴くことができました。
 
 「美しき音を 美しき心を」鈴木鎮一先生のお言葉が、心にひびいた一日でした。
 

関西地区ピアノ科委員長
中村直子