超遠距離をものともせず、
「YAMADA TRIO」がデビューコンサートを開催!
YAMADA TRIO Début Concert
7月29日(土)16時開演
会場:ハタ楽器菊名コンサートホール
松本有希子先生(ヴァイオリン科・横浜市)、山田慶一先生(チェロ科・札幌市)、佐々木瑞枝先生(ピアノ科・弟子屈町)の3人は、国際スズキ・メソード音楽院でともに学んだ仲間同士。現在は、それぞれの地域で、スズキ・メソードの指導者として、子どもたちの指導に携わりながら、お互いの超遠距離をものともせず、7月29日に横浜で、トリオのデビューコンサートを開催しました。
トリオ結成のきっかけを松本有希子先生に伺いました。
「トリオをやろうね、と初めて話したのは実は3年前です。私は、クラシックの中でも室内楽が最も好きなジャンルですが、その中でもピアノトリオは、各パートが輝ける素晴らしい名曲揃いだと思っています。
私たち3人は松本の音楽院での友人同士なのですが、私自身の卒業演奏会で、それぞれ二人とは共演していますので、二人の音楽性はとても好きでした。山田先生とは、私がヴィオラを勉強していた頃はクヮルテットも一緒に組んでいました。
2014年の10月に、ピアノの佐々木先生と都内でコンサートを開いたのですが、次にコンサートをするならトリオをやりたいね、と話し、チェロは誰にお願いするかを考えた時に、私も佐々木先生も山田先生以外思いつかなかったので、連絡をとったところ快く引き受けてくださいました。
音楽院を卒業後、私は横浜に、山田先生は札幌、佐々木先生は弟子屈と離れてしまいましたので、少ないリハーサルで完成させなければならないことなど、壁はたくさんありますが情熱だけで乗り切っています。今後も3人のペースで、少しずつレパートリーを増やしていけたらと思っております」
弟子屈町で(2016年11月6日) 山田先生から補足です。
「松本先生から話をいただいたのは3年前ですが、初めての練習は2016年の全国指導者研究会の後に半日行ない、同じ年の11月6日には、佐々木先生がお住まいの弟子屈町にて3人で演奏しました。その後は今年の研究会まで3人合わせての練習はできませんでした。それでも、研究会で室内楽の公開レッスンがあり、2枠があるという情報を松本先生がキャッチされ、応募した結果、あのようにレッスンをしていただけることになったわけで、とても大きなステップになりました。
また、YAMADA TRIOという名前ですが、私が決めたわけでも主体でというわけでもなく、松本先生の発案で決まりました。(私は恥ずかしいので反対しましたが、多数決でYAMADA TRIOに決まってしまいました…)」
コンサート前に意気込みを、語っていただきましたので紹介しましょう。
■松本有希子先生
音楽院にいたころから、ピアノトリオをずっとやりたかったので、夢が叶ってとても嬉しいです。卒業後は歌手の伴奏の仕事でライブサポートやレコーディングに参加することが多いのですが、そこで出会ったお客様はほとんどクラシックを聴いたことのない方々です。そのお客様方が私のコンサートにいらしてくださり、クラシックにご興味を持ってくださることが、私にとって一番嬉しいことです。クラシックに興味があってもなくても、最終的にはハートに届くかどうかが大事だと思っています。3人でそういう瞬間が作れたらと思っています!
■佐々木瑞枝先生
素晴らしいヴァイオリニスト、チェリストと一緒にコンサートができることを、とても楽しみにしています。2人とは学生時代からの付き合いで、気心の知れた仲間と音楽が奏でられると思うと、とても幸せな気持ちでいっぱいです。今回のコンサートでは誰でも知っている有名な曲や、松本さんのオリジナル曲、メンデルスゾーンのトリオなど、様々なカラーの内容となっています。お客様に楽しんでいただけるよう演奏できればと思います。
■山田慶一先生
最初にお話をいただいた時には、本当にコンサートを行なえる日が実現するとは想像もつきませんでした。私にとってお二人は音楽院の先輩なのですが、学生時代から良い意味で上下関係などの分け隔てがなく、仲良くさせていただきましたので、今回の演奏はとても楽しみです。それぞれの個の良さを生かしつつ、美しい音の調和を目指したいと思いますが、一番は聴衆の皆様に音楽の素晴らしさが伝えられるような演奏になれば幸いです。加えて松本先生のお教室に生徒さんが入会するきっかけになれば、これほど嬉しいことはありません。
この日のプログラムは、次の通りでした。
・モリコーネ:ニュー・シネマ・パラダイス メドレー
・松本有希子:地球
・松本有希子:祈り
・ニッポンメドレー
・シャーマン兄弟:小さな世界
(休憩)
・メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲第1番ニ短調作品49
(お揃いのオリジナルTシャツに着替えて、アンコール)
・ロジャース:映画「サウンド・オブ・ミュージック」より「私のお気に入り」
ライブのノリと、クラシック音楽をきちんと聴いていただきたい、という二つの趣旨が上手にミックスされ、前半の編曲もののピアノトリオでは、耳馴染みのある曲で聴衆の心を見事に掴んでいました。ヴァイオリンを演奏された松本有希子先生自作の作品は、この日のためのトリオ版に編曲され、地球と、限りある資源と、生命を大切にしたいという祈りを込められたもので、真摯なアプローチとともに、聴きごたえがありました。
全国指導者研究会の室内楽公開レッスンの時の様子(6月7日) 一方で、ウィットに富んだトークや景品付きのクイズ、CDやTシャツ、カレンダーなど物販の紹介もあり、手作り感にあふれた場面も。それが、後半のメンデルスゾーンになると、一転して、ピアノトリオの名作をしっかり聴かせるあたり、デビューコンサートとは思えないほど、バランス感覚の良さが光っていました。また、6月の全国指導者研究会の公開レッスンで、ゲスト講師の三浦章宏先生(ヴァイオリン)、中木健二先生(チェロ)、東 誠三先生(ピアノ)から指摘された点にも、しっかりとした精進の跡を感じさせました。
帰り際には、満席の聴衆のみなさんが、それぞれに出演者と声を交わす光景も見られ、温かな雰囲気でいっぱい。スズキ・メソードの若い指導者たちが、こうした演奏会を自分たちでクリエイトしていくことで、音楽的にも人間的にも大きな成長が見られ、今後の教室でもパワーがみなぎっていかれることを予感させました。
さて、最後に、3人による本番後の感想です。
■松本有希子先生
学生時代から二人の音楽性や音色が(性格も…)大好きだったので、演奏していてとても楽しかったです! アンサンブルは音楽の最大の楽しみ。それを友だち同士でできるということは、本当に恵まれたことで、二人の存在は私の宝物です。それから、今年の指導者研究会の公開レッスンと、実はその前に5月に、館ゆかり先生のレッスンも受講させていただくことができたのですが、音楽院を卒業したあとも一生懸命勉強できる機会があるということも、とてもありがたいことです。
今日は私の数少ない生徒さんが聴きにきてくれたことが本当に嬉しいです。その中のまだ4歳の生徒さんが、普段のレッスンではなかなか集中できませんが、長いメンデルスゾーンのトリオを最後まで聴いてくれたことは、本当にうれしかった!
これからその子の未来に、素晴らしい音楽の世界が広がっているということを、レッスンと、私自身の音色を通して、伝えていかなければなりません。そのために、これからもレッスンの中で伝える自分の音を日々磨き続け、スズキ・メソードの指導者として精進してまいります。
■佐々木瑞枝先生
普段は離れて生活をしている3人ですがこうして機会をいただき、ともに音楽を奏でることができて本当に幸せだと演奏会を通して改めて感じました。ピアノは1人で演奏する機会の多い楽器ですので、コミュニケーションを取りながら音楽をすることの楽しさをいつもお二人から教えてもらっています。
企画や準備に奔走してくださいました松本先生をはじめ、共演の山田先生、レッスンを通して大切なことを教えてくださった先生方、会場に足を運んでくださったお客様に感謝の気持ちでいっぱいです。
■山田慶一先生
メインのピアノ三重奏曲第1番は、今年の全国指導者研究会で公開レッスンを受講させていただき、本会ピアノ科教授の東 誠三先生、そして招待講師の三浦章宏先生(ヴァイオリン)、中木健二先生(チェロ)から、アンサンブルをする上での極意やメンデルスゾーンの音楽の捉え方など多くのことを学ばせていただきました。特にレッスンで何度もご指摘いただいた第1楽章のアウフタクトについては、本番では緊張感を持ち、情熱的に捉えることができたのではと思います。
個性的な三人と言われますが、気心知れた仲間で気持ちを合わせて音を奏で、聴きに来てくださった多くのお客様と音楽の素晴らしさを共有できたことは何にも代えがたいものでとても幸せな気持ちでした。終演後、松本先生の生徒さんをはじめ、想像以上に反響がありましたので、またこのような機会を創ることができたら嬉しいですね。