豪州のスズキを育て、現在に至る隆盛を築かれた
中村安樹先生の旅立ちに、お悔やみと深い感謝を申し上げます。

 

 オーストラリアは、スズキ・メソードの活動が盛んに行なわれている国の一つですが、この隆盛に多大なる貢献をされた中村安樹先生が9月17日に永眠されました。特設の デジタル追悼ボードには各国からお悔やみが多数寄せられ、9月26日の告別式は生配信されました。
 
 オーストラリア・シドニースズキ協会からの正式通知が、以下のように水島隆郎会長から、9月18日に全世界に向けて発信されました。

 
 皆様にお知らせしなければならない悲しいお知らせがあります。
 
 9月17日の夜、NSWスズキ名誉会長の中村安樹先生が亡くなられました。ご存知の方も多いと思いますが、中村先生はシドニーでスズキ・メソードのヴァイオリンを指導され、多くの優秀なヴァイオリニストを輩出されたことで国内外で広く知られています。
 
 故ハロルド・ブリッセンデン前NSW州スズキ協会会長は、鈴木鎮一先生に日本からスズキのヴァイオリン教師をシドニーに派遣し、ヴァイオリン教師を育成するよう強く懇願されました。その結果、1978年に中村先生は奥様の淑子様と当時幼かった3人のお子様(真樹、光、愛)とともにシドニーに移住されました。中村先生はスズキ・メソードの指導者として精力的に活動され、素晴らしい成果を上げられました。

 近年は活動のペースを落とされていましたが、ブリッセンデン夫妻とともにオーストラリア・スズキ協会の拡大と強化に尽力し、その成果は彼が育てた多くのスズキ・メソードの生徒や教師たちに現れています。

 中村先生の功績は協会内だけでなく、オーストラリアの多くの音楽団体でも知られ、認められています。私たちは、尊敬する中村先生を失ったことを非常に悲しく思います。中村先生の功績がなければ、現在のシドニーのスズキ協会は存在しなかったでしょう。

 私たちは、皆様とともにこのことを偲び、中村先生が生涯を捧げられたスズキ・メソード運動が次世代へと受け継がれ、さらに発展していくことを強く願っています。NSWスズキ協会では、中村先生の功績を正式に祝うイベントを計画しています。中村先生のご家族、中村淑子様、そして真樹、光、愛の皆様には、心よりお悔やみ申し上げます。

 デジタル追悼ボードが設置され、中村家の記念品となります。どなたでも写真、思い出、お悔やみのメッセージを追加することができます。
 →このリンクをクリックしてメッセージを追加してください。
 
 ※水島隆郎会長の許可を得ましたので、告別式で配布されたプログラムもご覧ください。
 Yasuki_sensei.pdf
 ※また、9月26日の告別式の様子は、こちらでご覧いただけます。
 →Funeral Service for Yasuki Nakamura AM
 ※なお、全国指導者研究会の開会式(9月26日)の「黙祷」の時間には、中村安樹先生のお名前も読み上げられました。


 

ブリッセンデン先生と中村安樹先生(メルボルンにて)

 スズキ・メソード機関誌編集部は、2009年4月にメルボルンで開催された第15回スズキ・メソード世界大会で、中村安樹先生とブリッセンデン先生にいろいろとお話を伺うことができました。この写真がその時のものです。大変懐かしい思い出です。デジタル追悼ボードに寄せられた各国からのお悔やみや思い出のメッセージや写真を拝見し、 その安らかな笑顔の中に、強い信念のもとに生涯をスズキ・メソードの真髄を広めることに捧げられた凛としたお姿を感じるのは私たちだけではないでしょう。

 2016年9月号のマンスリースズキには、各国から届いたスズキ・メソードの70周年をお祝いする動画が紹介されました。
 →こちら
 その中には、中村安樹先生からのメッセージも含まれています。
 →こちら
 
 また、かつて、機関誌No.183(2013年春号)では、中村安樹先生ご自身がご寄稿された文章を掲載したことがありました。長年のご活動がオーストラリア政府から勲章授与という形で表彰されたことへのメッセージだったのです。その時の記事をそのままここに掲載します。