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創立30年の思いをこめて開催された国際音楽祭ヤング・プラハ

 

 11月7日(日)、東京のサントリーホール・ブルーローズで、「国際音楽祭ヤング・プラハ創立30周年記念演奏会」が開催され、2016年、2018年にチェコでの演奏会に出演した品川ジュニアストリングスオーケストラ(品弦)や本会出身のヴァイオリニストで、やはり2017年のヤング・プラハに出演されている辻彩奈さんなどが出演。創立30周年にふさわしい、華やかで心に残る演奏を披露しました。

 1991年、チェコ・ドイツ・日本の音楽家たちが集い、自由を回復した新生チェコにふさわしい音楽祭を、音楽の都プラハで開催しようと創立された国際音楽祭ヤング・プラハ。以来、未来を嘱望された音楽家たちが数多く、そのステージを踏み、世界に躍進していきました。今回の東京での演奏会には、コロナ禍のために海外からの参加はありませんでしたが、国内で活躍される皆様の豊かな音楽性を存分に発揮した演奏会となったのです。
 
 以下が当日のプログラムです。スズキ・メソード出身の皆様の演奏曲には、☆印をつけています。
 
国際音楽祭ヤング・プラハ創立30周年記念演奏会 in Tokyo
2021年11月7日(日) 15:00開演 
サントリーホール・ブルーローズ
出演
ピアノ:桑原志織・阪田知樹、ヴァイオリン:辻彩奈・中村友希乃、ファゴット:古谷拳一、ピアノトリオ:岩崎 淑・篠原悠那・笹沼 樹、品川ジュニアストリングオーケストラ(指揮:印田礼二)
曲目
第1部
・ドヴォジャーク:ロマンティックな4つの小品 Op. 75
・シューマン:3つのロマンス Op. 94
・クライスラー:美しきロスマリン
・ヤナーチェク:ヴァイオリン・ソナタ☆
・メンデルスゾーン:ピアノ三重奏曲第1番 二短調 Op. 49より
第2部
・スーク:聖ヴァーツラフのコラールによる瞑想曲 Op. 35a☆
・ヴィヴァルディ:2本のヴァイオリンの為の協奏曲 イ短調 RV.522☆
・ヴィヴァルディ:ファゴット協奏曲 ホ短調 RV.484☆
・林光:弦楽の為のアレグロ☆
・スメタナ:モルダウ〜連作交響詩「我が祖国」より☆
第3部
・ベートーヴェン:ピアノ・ソナタ第31番 Op. 110
・本祭ダイジェスト放映
・モーツァルト:幻想曲 ハ短調 K. 475
・ショパン:幻想ポロネーズ 変イ長調 Op. 61
 

林光:弦楽の為のアレグロの演奏動画

 第2部では、品弦の皆様がオーケストラとして出演していました。この演奏の中から、マンスリースズキのために、林光の「弦楽の為のアレグロ」の演奏動画をご覧いただくことが可能になりました。撮影・編集されたのは、コンサート当日8台の4Kカメラを独特のワンマンオペレーションで作品に仕上げられたアビレック (AVRec.)の鳥羽義浩さんによるものです。鳥羽さんは、スズキ・メソードのヴァイオリン科出身で、現在もアマチュアオーケストラで活躍されています。右の写真をクリックすると、高画質・高音質の演奏をお楽しみいただけます。
(他にも一部の曲を、記事の最後のリンクからご視聴いただけます)


最後に、この日のコンサートに参加した品川ジュニア弦楽オーケストラで首席奏者として活躍されたメンバーからの感想です。
 

後藤伶那さん 大学1年(コンサートマスター)
 私たちは2019年の夏に海外演奏ツアーを行ないましたが、その半年後に新型コロナウイルスの感染拡大が始まり、その後、半年近く、集まっての練習がまったくできない期間がありました。練習が再開され、久しぶりに集まることができた時は、ブランクのためか合わせることがうまくいかず、焦ったことを覚えています。そして、練習が再開されてからも今までのようにはいかず、短い時間の練習で、人との間隔を空けて行なう形でしかできないため、思うようにいかないことばかりでした。また、練習は再開されても、世の中はコンサートを開催できるような状況ではなかったため、目的がないまま練習していたように思います。そんなときに、記念コンサートに出演できると聞き、とても嬉しかったことを覚えています。
 ツアーに続き、今回もコンサートマスターを務めさせていただきましたが、実は不安なことばかりでした。限られた練習時間でなかなか演奏がまとまらず、自分の力不足を感じて落ち込むことがありました。指揮者の思う通りの音を出せなかったり、演奏でみんなを引っ張っていくことができなかったりする自分が、嫌になることもありました。ですが本番では、周りの音を聴き、みんなと気持ちを合わせて、楽しく演奏することができました。練習を重ねてきた成果が発揮できて達成感でいっぱいでした。
 また、素晴らしいソリストの方々と共演することができ、たくさんのことを学ばせていただきました。ソリストの音楽、息づかい、音色…感動で心が埋めつくされました。演奏中にソリストとアイコンタクトをとって音がピッタリ重なった時、本当にここで弾くことができているんだと実感できました。同じ音楽を一緒に奏でることの喜びを教えていただきました。
 このような機会を与えてくださり、本当にありがとうございました。

 

市川明葉さん 大学2年(第2ヴァイオリン首席)
 今回のコンサートでは、1つの目標に向かって仲間と音楽をつくっていく楽しさ、美しい音を目の前で聴いた時の感動などを改めて味わうことができ、とても幸せな時間を過ごさせていただきました。
 私は2016年のヤングプラハ音楽祭にで品弦のメンバーとしてドヴォルザークホールで演奏させていただき、その時の空気感や達成感、本番に至るまでの練習は、今でも忘れられないとても良い思い出です。受験で品弦を一度離れても、またこうして戻って30周年の記念公演に出演させていただけて、とても嬉しかったです。
 コンサートでのソリストの方との共演は、とても貴重な経験となりました。辻彩奈さん、中村友希乃さんとのヴァイオリン協奏曲は、リハーサルから音楽の感じ方を一緒に確認して弾き方を考えたりと、とても勉強になり、ソリストの音色がとても素敵でたくさんの刺激をいただきました。古谷拳一さんとのファゴット協奏曲は、オーケストラでしか聴いたことのなかったファゴットの音色がとても美しく、ファゴットの魅力を今まで以上に知ることができました。また現役のメンバーに加え、このコンサートのために忙しい中、参加してくださった品弦の先輩方とまた一緒に演奏できたことも、とても嬉しく思います。
 最後になりますが、今回このような機会をくださった先生方、辻さん、中村さん、古谷さん、たくさんの関係者の皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。

 

斉藤夏輝さん 社会人(ヴィオラ首席)
 この1年間は私たちにとって激動の1年間でした。演奏会も催行できず、また練習も時間短縮を余儀なくされ、苦しい日々が続きました。その中でも私たちは日々知恵を出し合いながら練習し、そのたびに少しずつ前進して行く感じをつかめられたと思います。
 今回のサントリーホールでの演奏は、それまでの練習の成果を存分に発揮することができ、今までのコンサートの中で一番嬉しかったです。その反面、私自身にとってはプロの方々と共演できる機会は2度とないかもしれないと思うと、少し残念な気持ちもあります。何年かすれば、必ずいい思い出になることでしょう。ここまで一緒に練習してきた仲間、先生方、ソリストの方々、関係者の皆様にこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。

 

堀内真名さん 高校2年(チェロ首席)
 辻彩奈さん、中村友希乃さん、古谷拳一さんという素晴らしいソリストの方たちと共演させていただき、とても貴重な経験になりました。本番直前までソロとの掛け合いのことなどで不安なことがたくさんあり、緊張しましたが、本番後、聴いてくださった方々から良かったよ!と声をかけてもらい、とても嬉しかったです。ありがとうございました。今回の経験を糧にこれからもチェロをがんばりたいです。