2020年代

特別講師に新たに3名のチェリストが着任

 
 2019年11月28日〜29日のチェロ科指導者研究会で、それまで長い間、特別講師としてチェロ科を牽引されたチェリストの林峰男先生から、2020年4月より、あらたに3名の特別講師の先生方にバトンタッチされることを決定。倉田澄子先生、菊地知也先生、山本裕康先生が新たに4月から、特別講師として着任されました。
 
 3人の先生方からメッセージとプロフィールをいただき、チェロ科公式サイトで紹介しました。詳しくは、下記リンクからご覧ください。指導者研究会や夏期学校でご指導をいただくだけでなく、毎年実施されている卒業録音を通して、具体的なアドバイスをお願いしています。
 →倉田澄子先生
 →菊地知也先生
 →山本裕康先生
 

コロナ禍に突入!

 

 国内初の感染者が2020年1月に確認され、その後、大型クルーズ船の感染を皮切りに、私たちの生活に徐々に浸透した新型コロナウイルス。マスクが店頭から消え、東京オリンピックは延期。全国に緊急事態宣言が出され、3密の回避など、日常生活は一変しました。
 
 スズキ・メソードの活動も例外ではありませんでした。
 夏期学校だけをみても、2020年は開催を中止し、「おうち夏祭り」をオンライン開催。2021年は全プログラムをオンライン配信、2022年はハイブリッド開催を予定していたものの、直前のコロナ禍拡大により、急遽オンライン配信のみに変更。2023年は、対面とオンラインのハイブリッド開催。そして2024年は、全面的に対面での開催を人数制限を行ないながら、実施しました。まさに、コロナに翻弄された期間でしたが、指導者たちによるオンライン配信を実現したばかりでなく、毎年のようにその技術の飛躍的向上を図るなど、得られたものも大きい時期だったと言えます。
 チェロ科独自の企画として、若手チェリストたちの飛躍を大きく後押ししようと企画された「リサイタルシリーズ2020」は第1弾のみ予定通り実施されたものの、続く第2弾、第3弾は相次ぐ公演延期の憂き目に。奏者たち、実行委員会をはじめ、関係者の忍耐強い努力と、会場となった東京オペラシティ側の温かな心意気による全面的な協力のもと、すべての公演が終わったのは、2022年3月のことでした。
 

卒業課題曲の見直し

 

 長年、変わらなかった卒業録音の各課程卒業曲を2021年に見直しました。対象は、才能教育課程と研究科A、研究科Cです。以下の表組のように変更しました。
 ただし、2024年から、研究科Cの課題曲から、ブラームスのソナタの削除が決まりました。

2020年1月15日 日本で最初のコロナ感染者が確認され、日本をはじめ、全世界でコロナ対策に追われることに。
2020年2月11日 リサイタルシリーズ2020の第1弾として、河地正美先生クラス出身の水野優也さんのチェロ・リサイタルを東京オペラシティリサイタルホールで開催。
2020年3月7日 リサイタルシリーズ2020の第2弾、故久保田顕先生クラス出身の香月麗さんのチェロ・リサイタルは、新型コロナのため、やむなく2021年1月30日に延期することに。
2020年3月13日 緊急事態宣言(1回目)。5月25日まで続いた。
2020年4月1日 特別講師を一新。長年にわたりお世話をいただいた林峰男先生から、新たに倉田澄子先生、菊地知也先生、山本裕康先生の3名にバトンタッチ。
2020年8月8日 リサイタルシリーズ2020の第3弾、佐藤明先生クラス出身の森田啓佑さんのチェロ・リサイタルは、新型コロナのため、やむなく2022年3月5日に延期することに。
2020年10月29日 第89回日本音楽コンクールチェロ部門で河地正美先生クラス出身の水野優也さん(ハンガリー国立リスト・フェレンツ音楽大学)が第1位と増沢賞(聴衆賞)を受賞。
2021年1月30日 延期されていたリサイタルシリーズ2020の第2弾、故久保田顕先生クラス出身の香月麗さんのチェロ・リサイタルは、新型コロナのため、再度2021年8月5日に延期することに。
2021年6月7日〜10日 オンラインで全国指導者研究会を開催。チェロ科は特別講師の倉田澄子先生による「模擬卒業検定」(ビデオ検定)、「教材研究」、全科を対象とした「教えることについて」のお話など盛りだくさんな内容で開催。
2021年7月30日〜8月2日 第70回夏期学校をオンラインで開催。特別講師の山本裕康先生によるグループレッスンや、山本先生のバッハの無伴奏チェロ組曲第3番などを会場とオンラインでハイブリッド視聴。
2021年8月5日 延期されていたリサイタルシリーズ2020の第2弾、故久保田顕先生クラス出身の香月麗さんのチェロ・リサイタルは、東京オペラシティリサイタルホールでようやく開催。3度目の正直だった。
2021年 チェロ科卒業曲を改訂。才能教育課程で、それまでのボッケリーニの協奏曲から、ボッケリーニもしくはハイドンの協奏曲ハ長調のいずれかを選択に変更(ただし両曲を終了後)。研究科Aは、バッハの無伴奏組曲第3番全曲から、次の3通りのいずれかを選択に変更。①バッハの無伴奏組曲第3番全曲、②バッハ無伴奏組曲第3番プレリュード+フランクールの協奏曲第1、2楽章、③バッハ無伴奏組曲第3番プレリュード+ポッパーのハンガリアンラプソディ。研究科Cは、ブラームスのソナタのみを、ブラームスのソナタ、もしくは、次の2曲のいずれかを選択に変更。①ハイドンの協奏曲ニ長調、②ラロの協奏曲二短調。
2022年3月5日 延期されていたリサイタルシリーズ2020の第3弾、佐藤明先生クラス出身の森田啓佑さんのチェロ・リサイタルは、東京オペラシティリサイタルホールでようやく開催。
2022年7月 3年ぶりの対面参加が期待された夏期学校は、直前にオンラインに切り替え、開催。そんな中でも教室別レッスン、グループレッスン、マスタークラス、午後のコンサート、特別講師の先生方のコンサート、そしてオーディションで選ばれた生徒さんによるスペシャルコンサートを実施。配信技術の充実が図られた。
2022年12月1日〜2日 3年ぶりに対面でチェロ科指導者研究会。倉田澄子先生をゲストに、長野県上諏訪温泉「鷺の湯」で開催した。
2023年3月3日 香月麗さんが、紀尾井ホールでデビュー・リサイタルを開催。
2023年10月13日〜15日 第3回国際ティーチャー・トレーナー会議を松本で初開催。これからのスズキを考える多くの課題に対して、世界のスズキをリードするベテラン指導者による活発な意見交換が行なわれた。
2024年 チェロ科卒業曲を改訂。研究科Cの課題曲からブラームスが削除された。
2024年4月1日〜2日 チェロ科の若手指導者たちによる第1回スズキチェロキャンプが、東京北区の北とぴあ「カナリヤホール」を中心に開催。
2024年5月1日 チェロ科創設70周年を記念する第26回チェロ全国大会を、2025年4月6日(日)に文京シビックホールで開催することを決定、マンスリースズキなどで告知開始。併せて、マンスリースズキでチェロ科70年の歴史を掲載開始。
2024年6月23日〜29日 アメリカのカリフォルニア州Pomona Collegeで開催されたNational Cello Instituteが主催する夏のチェロ・キャンプに寺田義彦先生が招待され、指導された。
2024年7月9日〜15日 ニュージーランドHamiltonで開催されたチェロのワークショップ“Cello Collective Winter Cello Retreat 2024”に寺田義彦先生が招待され、指導された。
2024年11月1日 チェロ科創設70周年を記念する第26回チェロ全国大会の続報をマンスリースズキなどで公開。
2024年11月3日 チェロ科創設70周年第26回チェロ全国大会でゲスト演奏される「CDの先生」こと、日本を代表するチェリストの堤剛さんが、文化勲章を受賞。