豊田耕兒先生によるヴィオラ研究会、11月の報告です!
定期的に研究会を開催してきたヴィオラグループのヴィオラ研究会。最近は、以下のように活動しています。
→2019年12月開催のマンスリースズキの記事
→2022年4月開催のマンスリースズキの記事
→2023年2月開催のマンスリースズキの記事
→2023年4月開催のマンスリースズキの記事
→2023年6月開催のマンスリースズキの記事
バッハの無伴奏チェロ組曲第3番 ハ長調 BWV1009 ヴィオラ版は、次の6曲で構成されています。
・プレリュード Prelude
・アルマンド Allemande
・クーラント Courante
・サラバンド Sarabande
・ブーレ Bourrée I, Bourrée II
・ジーグ Gigue
3名の指導者が2曲ずつ代表受講しました。「ブーレ」はヴァイオリン科の生徒さんにも身近で、初等科の卒業課題曲でもあります。チェロ科の生徒さんは、研究科Aで、この第3番全曲を学びますね。
9月に卒寿を迎えられた豊田先生は12月には松本と東京銀座でのリサイタルを控えていらして、この前夜にリハーサルがあったそうです。そのバイタリティーには本当に頭が下がります。
今回も、あらかじめ豊田先生が(チェロ譜に!)書き込んでくださった楽譜を参照して参加者が各自準備をし、代表受講者の演奏後には合奏するスタイルで、質問も交えながら和やかに進みました。
以下、代表受講された先生方からのコメントです。
○伊藤達哉先生(東海地区ヴァイオリン科指導者)より
バッハ作曲 無伴奏チェロ組曲第3番の「プレリュード」と「アルマンド」のレッスンに向け、今回は新たな豊田先生の解釈の楽譜にてレッスンということでしたので、以前お配りいただいた楽譜をまず紐解き、指や弓順に慣れてから新しい楽譜にチャレンジしました。新しい楽譜には先生の中で様々な発見があることが伺え、少しチャレンジ?のような解釈もあり、読み解いていくことがなかなか難解でしたが、何度か練習を重ねるうちに少しずつ慣れてきて、ひとまず滞りなく弾けるよう準備してレッスンに臨めました。
久しぶりのレッスンでは、やはり豊田先生を前にすると大変緊張し、練習でできていたことが力みすぎて、できなくなってしまい、あまり良いできとはいえませんでしたが、演奏の内容より弾く上で大事な部分を丁寧に説明してくださり、またヴィオラの奏法の観点からも細かく指導くださり、多くの気づきを得られました。
その後は参加した先生方とともに、もう一度同じ曲を演奏し、和気藹々とした雰囲気でレッスンを終えました。ヴァイオリン指導者として普段は生徒のレッスンを行なっている立場から、久しぶりにレッスンを受ける側として壇上に立つことでレッスンを受ける生徒の気持ちが少しわかりました。今回の経験を持ち帰り、生徒たちへのレッスンに活かしたいと思いました。最後に、終始豊田先生がニコニコしてレッスンしてくださったのが印象的でした。
「クーラント」と「サラバンド」を代表受講いたしました。豊田先生とバッハ先生の尊い世界に触れることができました。豊田先生から教えていただいた大切なことを、生徒さんやお父様お母様にお伝えできるよう努めていきたいと思います。記事を書いていて、豊田先生の尊いご指導を文章で表すことは大変難しく思いました。多くの先生方に研究会の会場にいらしていただき直接感じていただけることを願います。
○ 松永朋子先生(関東地区ヴァイオリン科指導者)より
今回、「ブーレ」と「ジーグ」を代表受講いたしました。特に「ブーレ」はヴァイオリン指導曲集第3巻にも入っている曲ですので、指導曲集のボウイングと違うボウイングでの表現の違いなどが出せればいいなと思っておりました。
皆さんと弾いた後「鈴木先生も喜んでらっしゃると思いますよ」と豊田先生に言っていただき、感無量でした。 「ジーグ」は「ブーレ」と違う音楽の差が出るようにと心がけました。時間もない中でしたが、豊田先生の温かい笑顔の中で皆さんと弾くことができたことは喜びでした。
全体を通して、普段ヴァイオリンを演奏している私たちがヴィオラを弾く際に、移弦の準備や低音の鳴らし方には大いに注意が必要であること、バッハの耳にあったハーモニーをキャッチして音程を取ること(5度は難しい!)、ヴィブラートをどうかける?など、これらの探求はヴァイオリンの指導にも直結すると痛感しました。「1指2弓3発車」は奥が深いです・・・。
豊田先生の、「皆さんがこうして勉強してくださって嬉しいです」というお言葉に参加者の笑顔が溢れた後に「次は4番ですね」で背筋が伸びて、この日の研究会が終了しました。